2018/05/23 のログ
ご案内:「マグメール 富裕地区/音楽堂」に紅月/アカツキさんが現れました。
■紅月/アカツキ > ーーーからころ、からころ。
とある昼下がり、音楽堂から矢鱈と目を引く人間が出てきた。
鮮やかな色彩の不思議な装束、風に舞う紅の髪…手には楽器のようなもの。
ただし、顔はよく見えない…顔を隠すようにケープを身に付けているのだ。
身長や肩幅から、何となく男と察するが…装束が女物で張りのある生地だからか、中性的な印象を受けるだろう。
その紅髪は、噴水の所に来ると…音楽堂を背にするように噴水の縁に座り、調弦を始めた。
…何か、弾くのだろうか。
■紅月/アカツキ > 「やれやれ、今日もやりきった…」
ほんのりと疲労を乗せて独り言つ。
音楽堂で大勢とセッションできるのは楽しい…楽しいが、やはり、お客人方の視線が痛いのだ。
理由は簡単、この格好。
和装というだけで珍しいのに花魁、それも、男が着る花魁衣装。
見世物としては華やかだろうが、眺められる自分としては、何とも…まぁ、それも弾き始めるまでの話ではあるが。
ついでにいえば、己は別にプロの楽士ではない。
もう間違える事もない程に弾きなれているだけであって、専門家などでは全く無い。
…だからこそ、飛び入り参加状態で行ってもバンバン応用技術やアレンジを加えてアドリブ任せに乗り切れるのかも知れないが。
「やったら気ぃ使うからなぁ…弾き足りなくていけねぇや」
調弦しながら苦笑する。
そう、此処に来たのは憂さ晴らしというか…思いっきり、心置きなく弾く為である。
■紅月/アカツキ > べべん、と、音を鳴らしてみる。
………うむ、上々。
にぃっと笑みを浮かべて、一度三味線を撫でる。
もう永らく共に在るそれは、例えば刀であれば妖刀、鏡であれば魔鏡などになるくらいずっと側にある。
穢れに触れさせる気は無い故、音色は実に清いが。
おもむろに、一曲。
先ずは準備体操と言わんばかりに曲調は緩やか。
次いで一曲、今度は雅やかに。
更に一曲…朗々と、謌も添えて。
…水分補給の一休憩。
人だかりが出来初めているが知ったことか。
また一曲、激しく凄絶に。
そして、また、一曲…哀しい戀の謌。
■紅月/アカツキ > そこまで弾いて気付く…観客に東の楽士仲間が混ざっている。
お前ら何をしているんだ、打ち合わせはどうした…何、終わった?
じゃあ練習は、打ち上げは…あっ、後でやるんスかそうッスか。
何だか冷やかしが入ったが、気にせずいこう。
ハァ、と、溜め息ひとつ。
「……次は、何にしようか…ねぇ」
ぼんやりと空を眺める。
実に美しい、程よく雲の流れる晴天だ。
■紅月/アカツキ > 「折角だ、遊びも入れてみるか…」
視線を三味線へ戻す。
そうして弾き始めたのは、音楽堂に出入りするようになってから知ったマグメール国の定番演奏曲。
所謂耳コピだけれど、別に本番じゃあないし、良かろう。
何曲か奏でて、シメとばかりにマグメール国歌を弾いてみる。
…なんだろうこの熱気は、調子っ外れの大合唱が始まってしまった。
「……、…御静聴、ありがとう御座いました」
あくまで自分の為に弾いていたのだが、場の雰囲気的にそう言って一礼してみせる。
何だか凄く、和やかな空気。
国歌で一体感が生まれたのか、集まった者同士で談笑し始まっているようだ。
■紅月/アカツキ > こうなってしまっては、己はアウェイだ。
だって、この国出身じゃなければ、この国に忠誠を誓っている訳でもない。
この国の国教を信仰している訳でもないし…っていうかこの国からは神の気配がしないんだが、どうなってるんだろうか。
…いやまぁ、己が気にした所で詮無き事なんだが。
ぽりぽり、頬を掻いて。
とりあえず撤退準備でも、と。
こんなに騒がしくなっちゃって…怒られたら困るし。
三味線をケースに…入れようとしたら、おひねりが。
…そうか、チップというやつか。
貰えるモノは有り難く貰っておく事にする。
ご案内:「」に紅月/アカツキさんが現れました。
ご案内:「」に紅月/アカツキさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」に紅月/アカツキさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」から紅月/アカツキさんが去りました。
ご案内:「マグメール 富裕地区/音楽堂」に紅月/アカツキさんが現れました。
■紅月/アカツキ > 「よし、片付け完了。
あとは着替えに…戻るの、面倒くさいなぁ」
思わず苦笑する。
気分的にはこのまま帰りたい。
しかし、それをすれば全力で身バレする訳で…それは、ちょっと、なぁ。
さすがに女装を知り合いに見られるリスクは、な、うん。
音楽堂に視線を送る…はぁ。
紅髪の楽士は、誰にも気付かれることなくこっそりと音楽堂へと帰っていき。
また、こっそりと…上手く人波を避けつつ、広場を上手く通過すると帰路へとついたのだった。
ご案内:「マグメール 富裕地区/音楽堂」から紅月/アカツキさんが去りました。