2018/05/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にマイさんが現れました。
■マイ > 明るい月に照らされた深夜の富裕地区。
規則正しい者は寝静まり、いつもの静かな夜になる…はずだった。
遠くの方、富裕地区でも特に金と権力を持っていて、黒い噂も絶えない者たちが住まう大きな屋敷にて、数多の人がひっきりなしに出入りしては大騒ぎをしている。
どうやら泥棒に入られたご様子だ。
「大変そうだな~」
そんな喧騒を遠目に、誰かの屋敷の屋根の上にて呑気にそんな言葉を口にする当の泥棒…というより怪盗。
黒い衣装に目元を隠すマスクを身にまとった小さな怪盗は、夜風に衣装をたなびかせながら月夜にその姿を晒している。
と言っても、こんな時間に屋根の上へ目を向ける人がどれだけいるだろうか。
ましてや衛兵や野次馬は、本人の起こした喧騒のほうへと意識が向けられているのだ。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にフトコロ・ニーレルさんが現れました。
■フトコロ・ニーレル > 「なんだか騒がしいですね」
遠くの方が何やら騒がしい。折角今日は月がきれいで少し明るくてドキドキ出来る日であったのにこれでは台無しである。
大きなかばんをえっちらおっちらさせながら今日はもうとっていた宿にもどってしまおうかと思いながらも少しそれはもったいないと感じてしまう。
「だって、こんなに月がきれいなんですもんね」
ふいに上を向いて月を見る。
何か人影のようなものがある気がする。大人にしてはずいぶん小さいし子どもだろうか?
よく見ようと望遠鏡をカバンの中から取り出して、先ほどまで人影の合った場所に望遠鏡を向けてみる。
■マイ > 泥棒はこそこそしているが、怪盗は大胆さこそ醍醐味。
というわけでこんな場所で戦利品の確認を。
怪盗の手の中で輝くのは、手の平に収まるサイズのペンダント。
巧みな銀細工の品であり、きめ細やかかつ繊細な装飾はこれを施した者の技術の高さをうかがわせる一品。
そんな装飾の中心には紫色だろうか、あまりにも妖しく輝く一粒の宝石が付けられていた。
そう、このペンダントはマジックアイテム。
淫魔の魔力を封じ込めた宝石に、銀細工師の執念まで込められてしまったこのアイテムは、身に付けた者を淫乱の底へ貶める呪いのアイテム。
いったいこれを使ってあの貴族は何をしていたのだろうかと、言わずともなものだ。
「こんなの使わなくてもね」
女の子をその気にさせてみせろよと、調子の良いことを思いながらこのマジックアイテムが二度と表に出ることの無いよう、持ち帰って厳重に封印しよう。
破壊することも可能だが、それだと放出された力がどうなるかわからないため、そのまま封じ込めるのが最もベターな対処法だ。
まぁそんな感じでアイテムを確認し、隠れ家へ向かおうかと思っていると、不意に感じる視線…。
「………あ」
視線のするほうへぐいーと首を動かしてみると、なんだか大きなカバンを持った人の姿。
しかも何か長いものを覗き込んでいるようにも見える。
なんてのんびりしていたものだから、その人物が望遠鏡を覗いて屋根の上にいる少年を見れば、いかにも怪盗の格好をした少年の、マスク越しの赤い瞳まではっきりくっきり見える。
というより視線もばっちり合うことになるだろう。
■フトコロ・ニーレル > 「あ、こっちみてますね。ずいぶん目が良い様子ですが……んー?おっと何かてにもってますかねあれ」
実際に手に取ってみたわけではないので正確にはわからないが、装飾と言い、色と言い全てが高級品であることを物語っているペンダントを少年が屋根の上で見ている。
怪しさしかない状況である。
この騒がしいのはあいつが原因なのだろうか?だとしたらちょっと何かしてやりたい気分ではあるのだがあいにくとあそこまで届く武器を持っていない。
「選択肢は二つ……叫んで助けを呼んで自分は逃げる」
あちらの目の良さはわからないが、こちらに気が付いた様子からわかる通りこのカバンを見られているだろう。これ以上にない目印である。騎士とかがうまくあいつを捕まえてくれればいいがそうでなかった場合、報復が怖い。
あんまり現実的とは言えない手である。
「だったら……」
ちょいちょいと少し手招きを屋根の上の人影にしてみる。これで向うが来なかったら来なかったで見て見ぬふり。来てもらえるならばきちんと話し合いで解決しようといったところである。
もちろん反撃準備もしっかりぬかりなくしておくことはしておくのだが。
■マイ > 見られた、というより現在進行形でガッツリ見られている。
いや見られたりすることはままあるし、そうじゃなかったら怪盗騒ぎも起こらないし懸賞金も掛かったりしないが。
遠目ではあるが、こちらを狙った賞金稼ぎではないようだ。
賞金稼ぎだったらとっくに目の色を変えて襲い掛かってきているだろう。
でかいカバンだから旅人か、商人あたりだろうか…なかなか良い望遠鏡を持っている様子。盗んだりはしないけど。
こういうとき、怪盗はサッと消えるものだけれど、なんか手招きしてるように見える。
何考えてるんだろうと、不思議そうに望遠鏡の人を見る。こっちの方が不審者なのに。
彼女が手招きをしてしばらくすると、屋根の上の怪しい少年は屋根の影へフッと消えてしまう。
どこにいったかいろいろ確かめたりするだろうが、もうその望遠鏡に少年の姿が映ることは無いだろう。
「何かご用?」
唐突に背後から明るく声を掛けてくる少年の声。
望遠鏡に映らないとは言ったが、接触しないとは言っていない。
少年が屋根の上から消えてたぶん5秒くらいで、彼女の背後に立っているのだ。
エライびっくりさせてしまうだろうか、勢いあまって攻撃してきたりするかもしれないけれど、まぁそれもそれで面白い。
■フトコロ・ニーレル > 「さて、反応はどうですかねー」
じーっと望遠鏡で赤い瞳の人影を見る。
こっちにくるかなとみていると急に消えた。下や上、左右に首を振って探してみるが見当たらない。
「もしかして、落ちた?」
そんなドジを踏むなら上には上がっていないだろうけれど、ともかく視界から消えてしまったのは確かなので焦ってきょろきょろしてしまう。
一度望遠鏡から目を離すべきかなと考えていた所に声をかけられる。
「うっひゃああ!?」
極力声を小さくして悲鳴をあげながら望遠鏡を覗いた状態で声がした方へ体を動かす。
身体強化を施しながらの急な振り向きで望遠鏡がぶぉんと音が鳴るほどの速度で動いた。
「あ、あぁ、び、びっくりした。え、えぇ、御用があって呼びました」
質素なシャツに質素なズボンを着用した女性というか少女に見えるその人の姿に違和感を覚えるかもしれない。
胸にぽっちが見えているし、ズボンにはくっきりとワレメが見えているしで……ノーブラノーパンであることが窺い知れるかもしれない。
■マイ > はいいただきました。
しっかりびっくりしていただき、しかも声を抑えての悲鳴のおかげで人が集まってきたりすることもない、完璧なびっくりの作法。
ここまで急いで来たかいがあったというもの。
「あぶなっ」
ものすごい速度で望遠鏡がブン回されてきたけれど、そこは屋根の上が通勤経路の怪盗。
きちんと頭を下げて回避をしてみせる。
間近で見てみれば、黒いタキシードに黒いマスクの、怪盗のテンプレートみたいな格好の男の子。
目元だけをマスクで隠しているだけだが、不思議と顔立ちが想像しにくいのはマジックアイテムであるマスクのおかげ。
「ふぅ、それで御用ってのは……」
わざわざ呼びつけて用とはいったいなんだろうか。
別に接触したからといってお命頂戴なんてするつもりはない、そういうのは怪盗の流儀に反するのだ。
なんて言いつつ、目の前の女性の全身をじっくり見てみると、なんか…下着付けてないんじゃねと言いたげな視線を向けてきて。
「不審者?」
どの口が言うのか。
■フトコロ・ニーレル > 「あっぶなっこれ一応売り物なんです。ナイス回避」
ほっと息を付きながらカバンの中に望遠鏡をしまい込む。
なるほど、この黒さなら風景に溶け込んでより一層小さく見えるというか見えなくなる。自分もよく気が付けたなと思うほどだ。顔立ちはよくわからないけれど悪くなさそうだと勝手に判断する。
「不審者ってなんですか!地に足付いてるこっちの方がまだセーフですよ!」
不審者と言われてすこしご立腹のようだが要件を話すべく少しだけ深呼吸をして落ち着くことにする。
もちろんわざわざ呼びつけた理由もきちんとあるのだ。
「えっと、あなたはあれですよね?たまに話題になってる怪盗ですよね?賞金首というか懸賞金かかっていた気がしますけれど」
思い出そうとするもぱっとは出てこない。お金に関わることではある物の自分には縁遠いものだと思っていたので忘れかかっていたらしい。
それはともかくとして
「目撃者は殺すとかはしないですよね?一応その確認だけしておきたかったのと。文句だけでも言っておこうと思いまして……あなたのせいで今日、ちょっぴりお外で露出とか楽しもうと思っていたのにできなくなっちゃったじゃないですか!」
もう、きっと二度と出会うことはないだろうと思っているのかかなりぶっちゃけた話を突然し始める。
傍から見たらきっとどちらも立派な不審者である。
■マイ > 不審者と言われて何故かご立腹している様子、間違ってないのにおかしいな。
そんなことよりこっちの方がセーフというセリフは、まるでこっちも不審者みたいな言い方で、眉をひそませる。
持っている望遠鏡が売り物ということは、予想どおり商人なのだろう。
ただ、商人がこんな富裕地区の住宅地で何をしているのだろうか。
「あー、そうだけど」
賞金の掛かっている怪盗かと聞かれれば、あっさりと認める。
こんな状況で「イエ、チガイマス」と言って納得するはずがない。
その賞金額については記憶していない様子だが、彼女の見た目からしてその額の桁を知れば目の色を変えたりするかも。
「殺人はしないよ、あくまで僕は怪盗であって、強盗じゃないからね」
怪盗であることに誇りを持っているらしく、胸を張って偉そうに振舞う。
人によっては何が違うのか、といったところだろうが、マイの怪盗論として、人を傷つけず、華麗に美しいものを盗み出すのが怪盗であるという考え方をしていた。
まぁそんなことより、彼女の続けた言葉のほうが興味深いものであるが。
「…やっぱり不審者じゃないか」
露出ってのはたぶん想像どおりの露出のことだろう。
下着付けてないっぽいし間違いない。
ぜんぜん、セーフじゃなかった。
はたから見れば変な格好をした小さい者同士が、口喧嘩をしている不思議な光景だった。
■フトコロ・ニーレル > 「殺さないと聞けて安心しました……しましたがっ!!人の趣味の時間を奪うとはなにごとですか!折角、物価が高いこの辺りの宿を借りて、安心安全に露出とかしようと思っていたのに……」
この辺りなら治安がいいから露出しても見つからなければ割とセーフ。
平民地区や貧民地区では何が起こるかわからないから怖いのである。
だからこそ高いお金を払って泊まり込みにきたのにこれではあんまりだと再びご立腹。
「あなたは不審者以前に自他ともに認める犯罪者ってレベルじゃないですか……!」
ぶーぶーいいながら目の前にいる怪盗にとりあえずのうっぷんを全てぶつけたらしくすっきりとする。
怪盗捕まえてお小遣い稼ぎというのは一瞬頭によぎったもののたぶん、この距離からではこっちの方が分が悪い。何よりこっちは大事な商品を背負っているのだ。盗まれてはかなわない。
「とりあえず、責任とれとはいわないですが……おかずになるものください」
うっぷんはすっきりできたが性欲はすっきりできていない。
宿に戻って発散するしかないのだが、今日はお外というドキドキ感だけを頼りにここにきていたのでおかずの持ち合わせがないらしい。