2018/01/26 のログ
バルジリス > 「ああ、元気なら何より……俺も、元気だぜ」

そう言いながら、タバコの箱を取り出して……

「吸うか?」

そう聞き、自身もタバコを咥えるだろう。そして、相手からの問いの声には、流石は冒険者だなと感心しつつ……

「……ああ、会ったぜ」

嘘を言っても仕方がない。正直に話す。
そして、タバコに火をつけながら……

「あれは……今年の初めだった。街を歩いてたら……偶然な」

そう言うバルジリスの目は、薄いサングラスの黒の奥で優しく細まっている。

「姿も、声も、俺との記憶も……全部、俺の愛した相手だった。
なんでアイツがいるのか…俺には、見当もつかねぇ。
でも……本当に、よかったと思ってる」

そう語る声色は優しい。そして、セインを真っ直ぐに見つめ。

「セイン……俺は、テメェに……謝らねぇといけねぇ。
テメェは……女の体と精神があった時だったとはいえ、俺の……
俺の、ガキを孕んでもいいって言ってくれたよな。それについては、深く感謝してる。
そして……テメェから女の部分が消えて、そして、現れたほぼ同じ存在を、同じように愛してる……
テメェを、あの頃のテメェからの気持ちを裏切ったことに、間違いはねぇ。
……すまねぇ……」

そう、謝罪しながらも……

「でも、俺は、アイツとの関係をやめる気はねぇ、それは……
女だった時のテメェの気持ちも、アイツの気持ちも、踏み躙ることになるからよ……」

そう、真っ直ぐに言うだろう……

セイン=ディバン > 「……そうは見えねぇよな。……お互いに」

苦笑しつつ言う男。どうにも、互いに探し物が上手くいっていなかったり。
他にも悩みがありそうだな、と察する男なのであった。

「いや、結構。オレぁこっち派だ」

相手のタバコをやんわりと断り、懐から細巻を取り出して吸う男。
そうして、相手が素直に男の言葉を認めれば。

「……。ほぉ~……。偶然、ね。
 ……見当もつかない、か。……そりゃまあ。そうだよな」

ぷかぷかと煙を吐きながら。男は相手の言葉に逐一相槌を打つ。
相手の声色、そして様子から。
相手が、その出会いを喜んでいることが判った。

「……はっ。変な顔してるかと思えば。そんなこと悩んでたのか?
 お前、ほんっとクソバカ真面目だよなぁ。
 一々そんなこと気にすんな、っての。状況が変われば、その状況に合わせるしかねぇ。それが俺たち、『人の世で生きる者』の摂理、だろ?」

真っ直ぐな。本当に気持ちいいほど真っ直ぐな謝罪の言葉に、男は呆れたような声を上げるが。
すぐに笑顔になり、相手の肩をばしばしと叩きながらそう笑い飛ばすのだが。
次の言葉を聞いた瞬間、男の目が細くなる。それは笑みではなく。
……しいて言うのなら。冷徹な、処刑人のような表情で。

「それなんだがな……。お前、それ本気か?
 相手の正体も、何もかも判らない。言っちまえば、世界が生んだ歪んだ事象だぞ?
 ……そういう存在ってのはよぉ……。

 消されるのが筋道、ってもんじゃねぇか?」

冷たい鋼の様な。そんな声色の一声。男のその言葉には、おふざけの色など無い。つまり。
本気で。そう思い、そう口にしたのである。

バルジリス > 「いて!叩くなよ……こちとら、真面目に謝ったんだぜ?」

肩をバシバシと叩かれば、ほっとしたような表情で苦笑して……
だが、それに次いで聞こえてきた言葉には……表情を、硬くして……

「セイン……テメェ、何、言って……」

相手の声に、ふざけや、冗談の色はない……相手は、本気で……?
セインからばっと離れれば、真剣な表情で……

「何言いやがる…!セイン、世界が生んだ歪みだぁ……?」

しまった……とこの時バルジリスは思った。思えば、セレーナはセインの呪いの部分が独立したようなモノ……だと思う。
呪いを、一体誰が好き好むだろうか…?

「セイン、消されるのが筋間だと……!テメェ、魔族も、ミレーも人間も、全ての生きる者が手を取り合える世界を、目指してたんだろうが…!」

そう口では言うが、冷静な内心、その中に、セインの守りたいものの中に、セレーナは入っていないだろうとは理解している。
だが、理解はしたうえで、納得はしない。

「……セイン……俺は……あいつが、大切だ。
テメェの事は……ワルセイ様の次に、大切な男だと思ってるが…
アイツは、別のベクトルで大切な奴だ。
だから、頼む。アイツに、手を出さないでくれ。
世界の歪みが、罪だって言うなら……俺だって、十分罪人だ。
テメェも知ってる通り、俺は、バジリスクとドラゴンの合いの子……本来、存在しちゃならねぇキメラだ。
俺みてぇな存在を、世界の歪みと言わずに、何て言うんだよ……!」

そういいながら、みし、ミシと両手を握りしめ…

「テメェが、アイツに手を出したら、迷わず、テメェを……殺す。
だが、そんなことはしたくねぇ……したくねぇんだ。
だから……あいつを、見逃してほしい。頼む……!
その代わり……俺の体の一部を、何かの触媒にしてもいい……!
ドラゴンとバジリスクの合いの子……最高の、魔術の触媒だぜ?」

そう、必死の形相で、頼み込む。親友だと思ってる相手も、愛しいセレーナも、失うわけには…いかない。
自分の、体の一部なんかでどちらかを選ばなくていいなら、喜んで差し出そうと…

セイン=ディバン > 「そういう所がクソバカ真面目だ、ってんだよ」

相手の苦笑に、男は更に笑顔を強くするが。
双方、笑いあえたのはそこまで。まさにここからが本題だ、と言わんばかりに。
男は、表情を敵に向けるようなものへと変える。

「気に障ったか? だが、オレにはそう言う権利があるぜ。
 ……よ~するに、だ。その女ってのは、オレから分離した何か、ってこったろ」

相手の言葉に、男は鼻で笑うような仕草を見せ、相手の鼻先に指を突きつける。

「あぁ、それが筋、それがあるべき姿、ってこった。
 ……そうだな。それは間違っちゃいねぇ。オレは今でもそれを目指してるさ。
 だがな。明らかな、異質な存在ってのは。話が別だろうが」

正に一触即発。互いに譲らず、しかして相手の立場を、気持ちを理解しあってもいる。
だからこそ退けない。だからこそぶつかる。二人の男の視線と感情が、相手に叩きつけられていく。

「……。…………。
 ……。お前、それは、ズルいぜ。ダチであるお前を、歪みだの罪人だのなんざ言える訳ねぇだろうが」

決死、そして必死の訴え。黙って聞いていた男だが。その言葉の中に、強く、深く、悲しい思いを感じれば。
ため息を吐き、頭をガシガシと掻き始めてしまう。

「……だーっ! わ~ったわ~った!
 オレから、その女に手ぇ出すことはしねぇよ!
 だからそんなくだらねぇこと口にしてんじゃねぇよ!!
 ……ったく、この真面目頭の一本気野郎が……」

自身の肉体すら省みぬ交渉に、男は簡単に折れ、そう宣言する。
実際、その女を捜してどうこうするつもりなどなかったのだ。
いわば、相手の覚悟と思いを確かめようとしただけなのだが。
さすがに、少し追い詰めすぎたか、と。男も内心反省するが。

「……あぁ、その代わりじゃねぇが。
 特別な作りの銃や、弾丸を入手したりしたらオレに売ってくれねぇか?
 ……つい最近、ま~た超越者級と闘ってな? 火力不足を痛感してんのよ」

そこで、男は自分の探し物に協力してくれ、と持ちかける。
協力者は多いほうがいいし、この相手は自分とは顔の利く範囲もまた違うだろうから、と。

バルジリス > ほぅ……そう、軽く息を吐いて。
相手が折れてくれたことを感じ、内心感謝する。
そして、一本気野郎と言われれば……

「……うっせぇよ」

そう、小声で言うだろう。
そして、特別な作りの銃~と言われれば……

「あぁ、お安い御用さ。ワルセイ様は魔道具にも造詣が深い。何かの折に、聞いてみるぜ。
……って、まーた超越者とやり合ったのか。何と言うか……
そういうやつらは、人間とは、存在する世界が違う。ただの人間のテメェには…
言っちゃ悪いが……正攻法では、届かないと思うぜ。だから……」

そう言いながらも、相手に近づいて…ふっと笑み。

「……だから、俺の事も、頼れよな。まあ、俺も超越者に比べりゃくそ雑魚ナメクジだが、
俺はワルセイ様との絆がある。ワルセイ様には、また別のつながりがある……一人じゃ届かなくても、さ。そういう繋がりの絆って言うのか…?まあ、数で押そうぜって話なんだが…
テメェと絆を結んでるのは、俺だけじゃねぇだろ?そういう奴らも……てめえに頼られて、嬉しいと思うぜ」

そう言いながら……

「さ、シリアスな雰囲気になっちまったが……飯でも食いに行かねぇか?
旨い酒と飯で空気をがらっと変えてさ。ワルセイ様と、アルシャ様の自慢話もしたいしよ……」

そう言って、了解を得れば。共に、飯屋に行くだろうか……?

セイン=ディバン > 張り詰めていた空気が弛緩するのを感じ、男もまた、煙を肺から吐く。
年齢的には、実際の所はどっちが年上かは考えたことも無かったが。
この相手は、どうにも反応が一々面白いが故に、深くまで踏み込んでしまう。

「おう、助かるぜ。何せこの小口径のリボルバーじゃ火力がな……。
 うるせぇよ。オレだってやりあいたくてやりあってんじゃねぇんだよ……。
 ……そらぁ百も承知だ。けど、そこで諦めてても何も解決しねぇしな」

相手の言葉に苦虫を噛み潰したような顔になるが。相手が笑えば、実に白々しく、演技だとバレバレの仕草で、うげぇ、と舌を出す。

「そ~いう縁だのなんだのは、女の子だけにしてもらいたいもんだな。
 ……なんてな。ありがとよ、バル。ま、お前さんを巻き込みたくはねぇけど。
 どうにもならなくなったら遠慮なく頼らせてもらうぜ」

相手の言葉に気恥ずかしくなりながらも、この男にしては実に珍しく礼を言う。
そのまま肩を抱き、相手の提案に乗れば。

「お、いいね。ちょーど腹も減ってたんだよ。
 そういやさ。あのアルシャちゃんだっけ?
 今彼氏とかいんのかよ。いないなら今から唾付けといてだな……」

先ほどまでの様子がウソのように、快活に笑いながら男は相手と共に食事をしにいく。
まさに、馴染み深き友人として、相手を認めたということを隠さぬままに……。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からバルジリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からセイン=ディバンさんが去りました。