2017/12/14 のログ
イグナス > ――いつまでも呻いても仕方あるまい。
ひとまず何とかするかとゆると立ち上がって、また路地の裏の方へと消えていった――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 カフェ」にアンネリーゼさんが現れました。
アンネリーゼ > 冬もそろそろ、本格的な頃合い。
日の沈んだ後、外に居たくはない季節が今年もやってきた。
だからか、普段は退屈しのぎに外を出歩く少女も、カフェーの奥に引っ込んでいた。
暖かなブランデー入りのホットミルクをすすりながら陣取るのは、薪の爆ぜる暖炉の前。
外がこうも寒ければ、当然温もりは最大の贅沢。ぽかぽかとした心地よさに、頬が緩むのも仕方ない。

「ふふ、食後の甘い物にホットミルク、夜を過ごすには最高ねぇ。
 それにしても、暖炉の前は雰囲気がいいわぁ、薪の音がいいのよねぇ」

ちびちびと、舐める様にカップの中のミルクを飲む。
ほんのりと甘く、洋酒の香りが混ざった逸品は、大人の雰囲気たっぷりだった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 カフェ」にブレイブさんが現れました。
ブレイブ > 富裕地区の煌びやかな場所には似つかわしくない恰好の男が一人、カフェで寛いでいた。
テーブルの上には焼きたてのラスクとローズヒップ。

「あいつが言った通りけっこうイケルな。
うん、美味いや。」
サクサクのラスクを手にし、バリバリと口にする。
喉が渇けばローズヒップを味わう。

あっと言う間に平らげると、店員を呼びかけラスクのおかわりを頼んでいた。

アンネリーゼ > 外は今頃、冷え込みも一層深まっていることだろう。
水で満たした盆を置いておけば、氷が張ってしまいそうな気配がする。
吐く息は白く色づき、見上げれば澄み切った夜の星空が見える。
そんな光景を思い描きながら、しかし敢えて煌々と燃える暖炉の前で、暖かく過ごす。
それは、夏の暑い日に煮込み料理を食べる様な、形容しがたい魅力がある。

「んー、もう少し洋酒を入れてもらった方がよかったかしら?
 ただ、それだと砂糖ももう少し入れなきゃいけないだろうし、難しいわねぇ」

ホットミルクの味も非常においしいのだが、何となく物足りない。
足りないものの正体は掴めていないから、何ともしがたいのがむず痒かった。
嘆息一つ、懐から取り出すのは細身のパイプ。その先端に紅玉の欠片を埋め込むと、一つ小さく指を弾く。
宝石が一瞬で炎に変わり、パイプの先の煙草を焦がす。漂うのはほんのりと甘いバラの香りだ。
ぷかり、ぷかり。細く棚引く白い煙が暖炉の方へと消えていくのを眺めつつ、ぼやりと周囲を眺めていた。

ブレイブ > 追加のラスクが運ばれ、一つ手に取ろうとした所で近くのテーブルから仄かに甘い香りが漂う。
匂いのする方へと視線を動かすと、長い金色の髪の女性が煙を楽しんでいた。

年恰好は己と同じほどに見えるが、佇まいから大人びた雰囲気が漂っていた。
たまに来る自分とは違い、こういう洒落た空気に上手く溶け込んでいるように見受けられた。
そして、彼女の容姿か振るまいかはたまた別の何かか。
上手く表現することは難しいが彼女が楽しんでいる煙草とは別の甘い空気が彼女自身から出ているような気がした。

まだ熱いラスクを手に持ったまま、ほんの数秒間程度だがぼうっと彼女の方を見つめていた。

「あちち…。」
指から伝わる熱で現実に戻った男はラスクを口にする。
だが、視界は金色の髪の彼女に向けられたままであった。

アンネリーゼ > 緩やかな時間は、気を緩めるのに丁度いい。
瀟洒な銀細工のパイプを離せば、桜色の唇が小さく蠢く。
ふぅ、と吐き出す煙は、遊び心を込めた輪っかとなって浮いていた。

「それにしても、贅沢な時間よねぇ。ただ暖かな場所にいて、暖かな物を飲んで。
 ――ふふ、何やら視線も感じるけれど、これはどうしたものかしら?」

先程から、何となくこちらに視線を向けてくる者がいる気がする。
ちらりと見たところでは、この場の空気には若干浮いた殿方だ。
少しばかり好奇心は湧くが、暖炉の前という特等席を手放したくはない。
故にほんの一瞬視線を合わせると、微笑みながら煙草を燻らせる。
どうするかは彼次第。少女はただ、自由気ままに時を楽しむだけである。

ブレイブ > 「う~~ん、どうしようかな。」
先程まで夢中になって食べていたラスクの味があまりしなくなってきた。
理由は分かっている。 視線の先に居る彼女に夢中になっているからだ。

僅かにだが、こちらに視線を向けてくれた気がする。
その時の表情は優しいように見えた。
尤も、こちらがそう思い込んでいるだけかも知れないが。

こうして一人で悩んでいても始まらない。
男は意を決するとお目当ての彼女の前に歩き、口を開いた。

「君、一人かい?
良かったらご一緒してもいいかな?」
気付けば額に汗が浮いていた。
暖炉の前に近づいたこともあるが、恐らくそれだけではないだろう。

果たして、彼女の桜色の唇はなんて答えてくれるだろうか。

アンネリーゼ > 先に視線を向けた相手が、席を立ちこちらへとやってくる。
ならばこちらも、相手となるのが礼儀という物。そっと椅子の向きを変え、彼を正面から見上げて。

「こんばんは、良い夜ね。――えぇ、今夜は一人でちょっとばかりの贅沢を。
 ……ふふ、えぇ、えぇ、良いわよぅ。わざわざ話しかけてくれた貴方の勇気を、無駄にしてはいけないものね?」

くすり、と微笑みながら、隣を促す。あるいは彼が望むなら対面の席でもいいだろう。
どちらにせよ、少女からすれば、この夜の一時に話し相手というスパイスが増えたのだから良い気分だ。
彼の仕草を目で追いながら、もう一度煙草を燻らせる。炎が赤く灯って、やがて消えていく。
煙草を最後まで吸いきった少女は、もう一度ぷかりと輪っかを作ると、懐にパイプをしまい込んだ。

ブレイブ > 彼女が承諾の意を示してくれたので、男はすぐさま隣へと腰掛けた。
ローズヒップとラスクは気を聴かせた店員がすぐに運んでくれ、テーブルの隅へと置かせてもらう。

彼女の方はブランデー入りのホットミルクを飲んでいるようだ。
やはり、見た目よりも大人なのだろう。 少なくとも、こちらよりは年上なのかもしれない。

「ありがとう。 あんまり綺麗だからつい声をかけちゃったよ。
こういう所はあまり来たことないけど、君みたいな人に会えるならまた来ようかな。
俺はブレイブ。 君は何て名前だい?」
パイプをしまう彼女に声をかける。
話している間も男は彼女の顔や首筋、そしてかわいらしさを強調するドレスへと視線を巡らせる。

アンネリーゼ > 隣にやってきた彼を眺めながら、再びミルクを舐める。
猫舌故に、ちびちびとすこしずつ、湯気立つ液体を減らしていく。
酒精が体を内側からぽかぽかと温めており、気分も自然と上向きで。

「ふふ、上手ねぇ――でも、褒められて嬉しくない女の子はいないわ。
 あら、そうなの?だとしたら偶然の出会いね。私も初めてきたものだから。
 ……私はアンネリーゼ、好きに呼んでくれて構わないわぁ」

くすくすと笑いながら、彼の問いかけに応えよう。
その合間にもちらちらと降り注ぐ視線には気づきながらも、指摘するようなことはしない。
見たいのならば好きなだけ見ればいい。そんな自信すら感じさせながら、濃い紫のドレスを揺らす。
柔らかなフリルがさらりと揺れて、薔薇の香りが周囲へと散った。

ブレイブ > 彼女は熱い物が苦手なのか、味わうと言うよりは本当に少しずつ舐めるようにミルクを飲んでいた。
その際に小さな舌が顔を覗かせ、男は目を楽しませていた。

「そうかな。 俺としては思ったことを言っただけだよ。
君は上品そうだし、よくここに居るのかと思ったよ。 普段はどこに居るんだい?
じゃ、アンネでいいかい?」

早速、彼女の名を縮めて呼んでみることにした。
大人びた彼女はこちらが視線を向けていることを受け容れているようだった。
その上、フリフリのドレスを揺らして薔薇の匂いを漂わせていた。

「そんなことされると、俺困っちゃうな。」
薔薇の香りに混じって彼女自身の香りも漂う。
鼻孔に甘い匂いがふんだんに流れ込むと流石に色々と心が乱れてしまう。
彼女に近い方の…左手が疼きだす。 触りたいと。

男は落ち着かない様子で誤魔化す様に紅茶を口にする。

アンネリーゼ > こうしてゆっくりと、カップ一杯分のミルクがなくなって。
飲み物が尽きるならば、今夜も更けてきたという事だろう。
ふぅ、とどこか気だるげな吐息は、眠気故か、それとも酒精ゆえか。

「ん、手慣れているわねぇ。別に疑ったりはしてないわよぅ。
 私は暇を持て余しているから、あちらこちらをふらふらと、ね?
 ――えぇ、アンネで構わないわぁ。大体アンネかリーゼかだもの」

珍しい所だと、アンやネリーなども聞いたことはあるが、大半は先にあげたどちらかだ。
少女としては、彼の視線までは許してもおさわりまでさせるつもりはない。
どちらかと言えば攻め気質な少女は、一度出会っただけの相手に肌を許すほど甘くはなく。

「ふふ、私の様な小娘に興奮していると、そういう趣味と誤解されてしまうわよ?
 それに今夜はそろそろ酣。貴方が紳士であることを期待したいのだけど、如何かしら?」

悪戯っぽく微笑む様は、男遊びにも手慣れた所作だ。
可愛げと同居する小悪魔の一面は、本来少女が持ち合わせる魔族の顔。
彼の内心を見透かすように告げると、少女は一つ伸びをして。

「さて、さて、もしよろしければ、近くのお宿まで送ってくださる?
 その間、好きなだけ見つめてくれて構わないから、見るだけならば、たんとお召し上がりになってほしいわぁ♪」

などと言いつつ立ち上がる。彼が少女の口車に乗るかはわからない。
とは言えどちらにせよ、今宵の穏やかな邂逅はそろそろ終わり。
灰被りの魔法が解けるのと同じ様に、新しい次の日がやってくるーー。

ブレイブ > 気が付けばテーブルの上のラスクも1つ2つと姿を消していた。
彼女を眺めながら、なんともなしに食べていたようだ。
少し勿体無いことをした気もするが少なくとも楽しいひと時を過ごすことが出来た。

「そう? 自分に素直に生きているだけだよ。
なら、またみかけたら声をかけさせてもらうよ。
今日はアンネに会えて嬉しいよ。」

根拠はないが、恐らくこちらの内心は見透かされているような気がした。
彼女の表情からそう思った男は伸ばしたくなる手を思いとどまらせて。

「小娘って、俺とそんなに歳は変わらないか年上だろ?
別に俺は紳士ってわけじゃないんだけど。 アンナがそう言うのなら今日は紳士になるよ。」
手の上で転がされているような感覚を覚えるが、仕方ない。
彼女は男よりも一枚も二枚も上手の様だ。
小悪魔のような微笑が見れただけで良しとしよう。

「勿論送るよ。 可愛いアンネが怖い目にあったら大変だからね。」
カップの中で僅かに残ったローズヒップを飲み干すと、薔薇の香りが漂う彼女を連れて店を出る。
その後、彼女の宿の前まで送り届けてから家路に着いたことであろう。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 カフェ」からアンネリーゼさんが去りました。