2017/11/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にホウセンさんが現れました。
■ホウセン > 夜を翔る…という程躍動的なものではないが、社交さえも仕事の一部としている商家にとっては活動時間であることに違いない。
お得意様を介しての新規顧客との顔繋ぎという饗応の場に借り出されて、漸く屋敷を辞することが出来たのがつい先刻。
多少の疲労感が無いでもないが、態々馬車を呼んで送らせるほどの事でもない。
第一、この物好きは、予期できぬ事柄が降りかかるのを期待している節がある。
それ故に、偶発の機会が目減りすることを良しとせず、己の足で歩くことを好んでいるのだ。
比較的治安のよい富裕地区とて、夜半に子供の姿をした者が出歩くのは奇異に映るのだろうが、夜回りをする警備兵とて態々声をかけるまでの熱心さは持ち合わせていないらしい。
誰に呼び止められるでもなく、定宿へと引き上げようとする道すがら、聊か奇矯な者を目にして足を止める。
無論、負けず劣らずこの場にそぐわぬ己の事は、全力で棚上げして。
「これ、其処な娘。
斯様な刻限に徒歩とは如何した。
誰ぞ付き添いの者とはぐれてしもうたというのなら、近所を見てやるぐらいはせんでもないが…」
身軽に道の逆サイドへ移り、女へと声をかける。
その口上は、腹の虫によって尻すぼみとなり、大きく黒い瞳をぱちくり。
何の音かと問うような野暮はしないが、言及しないだけのデリカシーは持ち合わせていない。
「……ついでに腹が減っておると。
何じゃ、飯を喰らうぐらいの持ち合わせもありゃせんのか?」
ふんっと、少し呆れた様に鼻から息を吐き出し、その場で腰に手を当てた仁王立ち。
■アラミル > とぼとぼと捨てられた子のように歩き続けていたところ自分の近くへと寄ってくる音
普段は気にも留めないが、もしかするとごはんかもしれない、と…
自身から誘うことは未だできないものの相手からくるのは構わないだろう、と振り返り視線を向ける
声をかけられて少し驚いている女、というのを演じ
「私のこと、でしょうか
付き添いは、初めからいません。あてもなく歩いているだけです」
言葉と共に…見事に凛と背を伸ばすものの腹の音を聞かれた後ではいささか間抜けだろうか
そうしているとまた、先ほどよりは幾分小さいもののきゅぅ、と音が
「お金は、多少ありますが…。
…普通のものは、食べられません」
いくらかの金をしゃら、と掌で転がして見せて
仁王立ちする相手を見つめ、返答する
普通のものは、という物言いは…貴族が高級なものしか食べられない、と捉えられるか…
あるいは、カンが鋭ければ、庶民の、などと言わない辺りで違和感を見つけられるだろうか
■ホウセン > 子供子供している詰問者の眉間に、微かに皺が寄る。
それは酷く短い瞬き一回程度の時間で霧消するものの、原因が拭えた訳ではない。
言動や表情、雰囲気の端々から感じられる不整合。
それらをひっくるめて名を付けるのなら、違和感。
美人局やら詐欺やらと、相手を陥れる為の厚化粧で塗り固めたが如き欺瞞の風情は感じないが、それでも気掛かりであることに違いない。
「儂とお主しか見当たらぬというのに、それ以外に声を掛けておったのでは、見えてはならぬものを見てしまったということになろう。
生憎と、斯様なモノが見えてしまわぬ程度には、鬼籍とは縁遠いはずじゃ。
して、真っ当なものは摂れぬ…と。」
軽口を叩く間も、人ならざる者の気配を色濃く感じ取っている。
気配の色であるとか、匂いであるとか、無理に言語化するならそのようなものを見取り、嗅ぎ取って。
仁王立ちから居住まいを正し、両腕を組む。
「こう言うて、すぐに首肯するとは思わぬが…お主、他の輩の気を啜る手合いかのぅ?」
直球をぶつける。
人外を相手にしていると推察しているのに、非力な筈の子供である筈なのに、慌てて衛兵を呼ぶような真似はせず、観察やら値踏みやら、瞳からは好奇心が溢れている。
翻って、女の側は、妖仙が人ならざる存在であると察知できているかは分からぬが。
「と、なれば、今は餌探しの最中か。
…む。すると、儂は邪魔をしてしもうておるのか。」
聊かばつが悪そうに、困惑と煙に巻こうとする微笑とを混ぜ合わせた、何ともいえぬ表情を浮かべる。
■アラミル > ある屋敷のメイドに躾けられてからというもの、令嬢らしいたたずまいや仕草は十分学んだが
しかし、それは所詮付け焼刃に近いものであり、そういった礼儀などをよく知るものなら十分看破できるもので
気がかりに思うのは…子供に見える相手からすれば当然のことだろう。
「声をかけられるとは、思わなかった、もので。
はい。普通のものは…」
いかにも驚いてどうしていいかわからない、といった風情だが女もまた相手を観察していて
妙に言葉は厳めしいが背丈は子供ほど…こういう人間(ごはん)もいるのかな、と世間を…この国をよく知らない彼女は思ってしまい
そうして考えていたところに…
「…気を、啜る?……。…なんだ、ばれちゃったんだ…
じゃあ、隠す意味、ない、ね…」
直球の言葉を投げられ、相手の思惑とは別に、こちらもまた、態度を崩して。
令嬢然とした雰囲気ではなく…美麗でありながらも妖しげな雰囲気に変わっていき
ただ、女のほうはまだ、相手の正体には気づいていない様子
「気づいてたなら、逃げない、の?…食べられたり、するかもしれないのに…」
餌探しというところまで気づかれていればもはやそれを隠すこともせず
ゆる、と一歩、相手に近寄ろうとするだろうか
■ホウセン > 腹の音に、世間ずれした様子に、時々己の耳目を疑うよう瞬きをしていたけれども、あっけらかんと正体を晒した事にカクンっと顎が落ちる。
確かに核心に近しい所に触れはしたが、舌先三寸で誤魔化すなり騙すなりしなければ、”捕食”に支障が出てしまうだろうにと。
自身を取り巻く事柄に危機感を覚えぬ癖に、その以下にもちぐはぐな危なっかしさに気が気ではない。
アレだ。
野鳥の雛を観察して、一喜一憂する輩の心情に近しいのだろうと自己分析。
一歩分間合いを詰められても、小さなシルエットは後ずさらず。
「戯け。
お主に今後のことを考えるだけの精神的な余裕があるのなら、斯様に人の目が皆無とは言えぬ此処で”食事”にありつこうとはせぬじゃろうと踏んでおるだけじゃ。」
閑散とした夜道だが、街路整備等も行き届いており、見通しは決して悪くない。
闇を駆逐しきるには程遠いながら街灯もあるし、治安維持のために兵士の見回りが偶に姿を見せている。
指摘は尤もであると同時に、己の力やら特性やらで吸精種ぐらいなら然程脅威とはならぬであろうという事情を覆い隠す。
手の内は明かさぬまま、この興味の対象との問答に意識を傾けて。
「然し、腹が空いて難儀しておるというのなら、対価と引き換えに融通してやってもよい。
お主が大喰らいじゃと、儂が干物にされかねんし、そこいらの誰彼かとはなろうが。」
あくまで利益と利益の交換と嘯くが、実のところ利に重きは置いていない。
女とは違い、人の世に溶け込んで久しい妖仙は擬態に一日の長がある。
それは姿形だけではなく、漏れ出る精気の質まで瑞々しい子供のものへ波長を切り替えている程。
目の前に餌をぶら下げられた状態で、損得勘定のできるような輩か探る意図で、言動の上での”おあずけ”を試してみよう。
■アラミル > 多少正体を隠す努力はするものの、誤魔化すのが致命的に下手な彼女は一度見破られてしまえばむしろ自分から正体を現す
逃げられればそれまで。恐怖で怯えたり、中途半端に逃げようとすれば捕まえればいい、と安易に考えていて
一歩近づいたものの特に何をするでもなく相手を更に観察して
だが、まだまだ経験が足りないのか相手が誰なのかはわからず
とりあえず逃げられないため、どうしようかな、と考えていて
「……。
余裕は、あんまりないけど。見つからないところに連れていくつもりだった」
またきゅぅ、と可愛らしくお腹が鳴く。相手の言い分から、どうやら見た目通りではない、ということだけやっと理解して
言われた後、きょろきょろ、と辺りを見回して状況を把握しているあたり、言葉通り余裕はないようだ
続いた言葉はどこか子供じみた言い訳のようなものになってしまい
「ん、く。……大丈夫。ごはんを無くすようなことは、しない…
とりあえず、おなかがならなくなったら、いいから…相手は、誰でも。……対価…って?」
よくよく見ていけば新鮮な…味付けがされていない上物の素材のような匂いに、こく、と唾を呑み
しゅる、と長い袖に包まれた腕が動こうとするが止まって…何とか返答する
相手の正体はわからないが、この限界に近い飢えを満たしてくれるなら今すぐ自分の力を使わなくてもいいか、と
ぎりぎりではあるが、理性が勝ち…、ただ未だそわそわと体を揺らしながらも対価について聞き返してみる
■ホウセン > 距離が近づけば近づくだけ、彼我の身長差が明白になる。
片や女ながらにハイティーンで、対峙する小僧は精々が十歳そこそこ。
どちらが見上げ、どちらが見下ろすか、疑義の差し挟まる余地は皆無だろうか。
指摘された後で、とって付けたかのような言動に、そこはかとなく生温かい微笑未満の表情。
動いて、静止してという、逡巡が見透かせそうな腕の挙動を視野の端で捕らえながら、一応は本能まっしぐらではないと値踏みを終える。
「くははっ、もう取り繕わず”ご飯”ときたか。
善い善い、お主にとっての食事であることに変わりはないじゃろうから、誤りではなかろうよ。
対価というのは…そうじゃな、金銭と思えばよい。
お主が無事に食事できるような場所を確保するにも金は要るしのぅ。」
例えば、連れ込み宿だとか。
性根の底で何を対価としているかは唇の内側に留め、当たり障りのないところを口にする。
「世の中”只”よりも高いものはないと相場が決まっておる。
お主に餌を宛がい、餌が多少良い思いをしたとして、それが無料じゃというなら奇異に思う者もいるかも知れぬ。
故に、分かり易い料金を設定しておけば妙な疑いを向けられることも避けられるじゃろう。
となれば、お主の手元には餌と同時に幾許科の金が溜まるじゃろうから、其処から紹介料として幾許かを貰うという構図じゃな。」
持って回った言い方をしているが、単に売春の斡旋に組み込むということなのだろう。
或いは、この見目だ。
商談の際の付け届けの一つとして利用できるかも知れぬという目算もある。
「ともあれ、道中で空腹が極まって噛み付かれてもかなわぬ。
少しだけ喰わせてやろうかのぅ。」
右手の指を己の口元に差し向け、人差し指を口に含むと、指腹に犬歯を突き立てる。
其の侭圧を加えると皮膚は裂け――
「あまり多く啜ってくれるでないぞ。」
ポタリと鮮血が数秒に一滴の間隔で地に落ちる。
そんなほっそりとした指を己の肩と水平に伸ばせば、経口摂取で差し支えないかは分からぬが、何を喰わせるつもりかは理解できよう。
若さと幼さが混ざり合う血潮。
空腹時であれば、きっと甘露となるであろうそれを差し出し、然し指の高さは変えない。
口に含もうとするなら、小さな手を捧げ持ってしゃぶりつくか、その場に跪いて舐め上げるかの二択になるだろうか。
野生動物に餌付けをするような心地で、女を観察し、腹の虫の自己主張が少しでも穏やかになるのを見計らい、夜の街へと案内し――
■アラミル > もしこの時間に出歩くものがいれば姉弟、あるいは道に迷った子供を案内しているようなそんな光景だろうか
実際の彼我の関係はそれとは真逆なのだが
見上げられれば女もまた見下ろしつつ…互いの顔をしっかりと確認できるだろうか
なんとか、自分の欲を抑えることができれば続く言葉に耳を傾けて
「隠す意味、ないし。…もう、ばれてるんだから
お金…を使えば、こっそり、ごはんが、食べれる?」
腹の内などわからない女にはその程度の理解で
今までそういった方法があるということすら意識していなかった様子
「……。……私は、ごはんをたべて、お金…をもらえばいいの?
…それ、で、お金の少しをあなたに。……わかった…構わない。…加減が、難しいかもしれない、けど」
慣れ始めたとはいえ、まだ人間のそういった金の仕組みに疎い彼女は
相手の言葉をうーん、としばらく考えた後自分なりにかみ砕いた答えを返す
そこにどんな裏があるかも知らず、ごはんが定期的にもらえるなら、と頷いて
「ぁ……」
食わせてやる、という言葉と共に…上物の匂いが更に強まる
皮膚が裂け、中のおいしそうな液体が…彼女にとっては精液の次にごはんをとれるものが現れる
「……。……わ…か、った…」
あまり自信のなさそうな声で返答しつつ…。一応のところできょろきょろと辺りを見回し…ゆっくりと、相手の前に膝をつく
丁度水平に出した手が目の前に来るような身長差。
量の違いはあり、一番お腹が膨れるものではないものの、十分な、いうなればおやつ、というべきか
それが滴る指に…ちゅ、と柔らかい唇で吸い付く、1度、2度。喉を鳴らし…とろ、と美味なものを食べた人と同じように表情が緩む
そのまま5度、喉を鳴らせばひとまずは落ち着いたのかゆっくりと立ち上がり…
そうして…案内されるまま、この夜の街のどこかへと…
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からホウセンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からアラミルさんが去りました。