2017/10/23 のログ
ルヴィエラ > (富裕地区の治安は良い、とは言え、そこかしこで宴が行われている有様では
本当の意味で良い治安なのかは何とも言い難い所が在るだろうが
その、整った路地を進む人影ひとつが、壁の上に居る娘の視界に入るかも知れない
深くローブを被った姿、荷物はなく、まるで暗闇の中を滑る様に進み
そうして、きっと、彼女の居る邸宅の傍を、其の内に通り掛るだろう

こんな時間に、こんな場所に現れた其の姿を、きっと彼女ならば忘れる筈が無いだろう
彼女が「変えられた」時だって、きっと、こんな夜だったのだから)。

リュシー > (―――――そもそも、中身は立派な成人男性、であったはず。
だがしかし、子どもの身体は夜更かしに向いておらず、こうしていれば
うとうとと場所柄もわきまえず、眠気すら差してくるのである。
ゆらり、ゆらり、頭が揺れはじめるかという頃合いに―――)

――――― っ、………

(ぞく、と不意に、背筋を駆けのぼった悪寒。
大きく目を見開き、無意識に息を詰まらせながら足許の往来を見下ろすと、
ローブを纏った人影が、足音どころか気配すら希薄なまま、
通りを右から左へ――――歩いて行くところ、と、言ってしまって良いのだろうか。

だって、足音が聞こえないのだ。
聞こえるのはやけにうるさい、己自身の心臓の音。
塀のうえについていた両手で、ぎゅっと胸元を押さえる。
その姿は、―――未だに、魂ごと竦みあがるほどの畏怖を誘う。
咄嗟には彼の名を、声にして呼ぶこともできないくらい。
―――かわりに、こつん、と踵が一度。白い壁面を、小さく叩いた)

ルヴィエラ > (壁面を踵が叩く音が、届いたのだろうか。
人影は其の場にぴたりと止まり、音の方向を僅かに見上げた
其の目元はフードに隠れて決して見えはしなかっただろう
けれど、確かに、「目が合った」事だけは、彼女へと確信させて

――影が、壁上の少女へと振り向いた瞬間。)

――……随分と御転婆な姿だ、夜遊びでもしていたかな?

(――其の影は、まるで距離や障害物を無視したように一瞬で
彼女の座る白壁の下へと、移動している事だろう。
見上げる姿、響く声、其の全てが若しかしたら相手に畏怖を抱かせるのかも知れない
けれど、此方は此方で、酷く気軽に声を掛けるのだ)。

リュシー > (男―――だと、もう断言してしまっても良いだろう。
すっぽりとその体躯を覆うローブが、身体のラインを隠しているようだけれど、
立ち止まり、こちらを見あげた相手の、その紅い眼差しを―――
フードの陰に隠れて見えない筈のそれを、確かに、見た、と思った。

逃れるどころか、身構えるだけの猶予もなく。
強張った己の足許に、男の影が音もなく移動を果たす。
とくとくと早鐘のように乱れる鼓動の合間から、いっそ不自然なほど近く、
彼の声が鼓膜を震わせて。
ぎゅう、とドレスの胸元を掴み寄せる掌に、ますます力を籠めてしまいながら)

………してないよ、今日は、まだ。
誘われたけど、趣味にあわなくて…それに、今夜はもう、眠い、んだ。
だってほら、……ぼく、もう、こんなに子どもだから、ね。

(己が貴族的な遊びに興じられぬのは、彼にも原因の一端があるのだ、と、
責任転嫁のような物言いをしてみせた。
心臓を鷲掴みにされたような感覚を、無理矢理、誤魔化してしまいたくて。
けれどきっと、彼を見降ろす白い顔に浮かぶ笑みは歪なままだ。)

ルヴィエラ > (見上げる顔が、穏やかに笑った。
子供だから、と主張してみる其の言い方に、可笑しそうに肩を揺らした後
ローブの袂から伸びる片掌が、彼女の方へと伸ばされて)

――少しは、モノの見え方と言う物が変わったかな?
確かに、今の今まで退屈していた様な顔だ…だが、子供、と断言するには、少々無理が在るのではないかな?

(ひょい、と、指先が僅かに揺れた。
其の僅かな動きだけで、少女の其の身体の奥で
まるで反応する様に、びくりと揺れる物が在るだろうか。

まるで悪戯、意地悪、成人もせぬ其の身体は
けれど子供と言うだけでは無い理由を秘めている筈だと
そんな事を改めて自覚させ、教える様に感覚を齎せば。)

……私は、此れからハイブラゼールに帰る所だが…、……もし、退屈を持て余しているようなら。
キミも、一緒に来るかな?

(一言、そんな言葉を向けたなら
おいで、とでも言うかの如くに、掌を上に向けて、彼女を誘おう。
応えるか否かは、きっと、彼女次第だけれど)。

リュシー > (彼の笑顔はどこまでも穏やかで、それはそれは美しい。
けれど―――――少なくとも己は、その笑顔の奥にある、彼の別の姿を知っている。)

そりゃあ、ね……さすがに、前のままじゃ、いられない、よ。
だってあいつら、妙なお香焚い、て、――――― ぇ、

(こちらへ伸ばされた白い指先が、わずかに揺れる。
刹那、―――からだのずっと奥深いところで、ひくん、と、
まるで操られたように跳ねるモノがあった。

本来、決してそんなふうには反応しないはずのモノ。
彼の魔力で創りかえられた、この身体の―――この性の、象徴とも呼ぶべき器官。
それ、が勝手に熱を孕み、己の意志をぐらつかせる。
先刻までとはまったく違う理由で、身体がぐらぐらと揺れはじめて。)

――――― ずる、い…よ、……そんな、言いかた……。

ぼくの、答えなん、か……聞かなくても、わかってる、くせに……、

(逆らえやしない、どうしたって、抗えやしないのだ。
この身体を創ったのは彼で、己をこのかたちにしたのも彼で、
だから、その白い掌が己を誘うならば―――

泣きだす一歩手前のような表情で、か細く掠れた声が彼をなじる。
けれど、大きく上体を傾がせた己の身体は、吸い寄せられるように彼の懐へ堕ちようとする。
彼が受け止めてくれたなら――――今夜はきっと、長い夜になるだろう。)

ルヴィエラ > ―――……だが、其れでも以前のキミなら構わなかっただろう?

(それを、知っている。 そう言う人間だった頃の彼女を…彼を、知っている
だからこそ、己は今の彼女を評価したのだ、あの言い方であっても。
だからこそ己は始めの様に、彼女を罰する為に相対しては居ない
あくまで、一人と一人の存在として対等に――愛でようとしている、其れだけの事。)

――…さて、其れは如何かな? キミは拒むかも知れない、そうすれば私は其れを許容するからね。
だが…それも、次への教訓にしたまえ、今宵はどうやら、もう遅いようだからね。

(ふわりと、彼女の身体が宙に舞う。
高さの在る壁上からの落下を、決して力があるとは思えないだろう其の両腕で
けれど、まるで容易く受け止め、其の胸元へと擁いては。
自ら、堕ちる事を選んだ彼女と共に――闇の中へと、融けて行く、か)。

リュシー > (以前の己なら――――きっと、彼らと一緒に笑っていただろう。
みずから手を伸ばして、憐れな少女の身体を貪りさえしたはずだ。

けれど、もしも今、もとの身体を与えられたとしても。
とてもとても、前のように「楽しめる」とは思えなかった。)

――――う、そ、つき。

(拒む意志は、身のうち深く眠る女の部分を目覚めさせられた瞬間、
跡形もなく霧散してしまった。
だから、拒絶なんてありえなかったのだ。
己が拒絶するかもしれないと、本気で彼が思っていたのなら、
それは己の身体が、彼が思うよりもずっと淫らに、育ちつつある、ということか。

いずれにしても、塀のうえから落下した己の身体は今、
彼の懐という名の、あたたかい檻のなか。
目を閉じて、震える呼気を吐き出して―――そうして己の姿は彼と共に、闇へと溶けて、消えた。)

ご案内:「王都マグメール富裕地区/某公爵邸」からリュシーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール富裕地区/某公爵邸」からルヴィエラさんが去りました。