2017/08/31 のログ
■ルヴィエラ > ―――其れで貴女が一時でも涙を忘れられるのなら、喜んで針の筵に為るとしよう。
(穏やかに、ただ微笑む。 己が言葉が、己が贈り物が
どの様に彼女へと受け止められようとも、構いはしない、と。
甘言を囁く男に騙されるな――其の教えは、間違い無く正しい
其の通りだと、肯定する様に頷いて見せながら、けれど立ててみる人差し指
己が贈り、そして今は彼女の指先で揺れている薔薇を示しながら)
――だが、贈る華に、篭める想いも無いのならば…どちらが良いのだろうね。
私が貴女にとって信用に足らぬ悪人だとしても、こうして贈るべき華は在る。
もし、今宵起こす事が「間違い」だと言うならば…其れすらも、変化の糧とすれば良い。
其れが何かを決めるのは、貴女自身、だがね。
(今を、変える為の、切欠。
己が此の儘部屋を出ても、変わらぬ日々が待ち受けるだろう
「間違い」を起こしても、一見何も変わらぬのかも知れぬ
けれど、もし、只今自分を取り巻く世界へと変化を望み
そして、僅かな希望を見出そうとするのならば
停滞と、冒険と、選ぶのは貴女だ、と。
そう、其の瞳を見守るように紡いで、から。)
―――……だが、其れとは別に、私は求めよう。
他の誰でもない、貴女をね。
■グリセルダ > 「……御上手ですこと。ますます、気をつけなくてはなりませんわね」
何処までも己を甘やかそうとする台詞を、微笑を、
額面通りに受け止められたなら、どんなにか幸せだったろう。
けれど夫に裏切られ続けている女の心根など、すっかり捻じ曲がっているものだ。
何も無い空間から花を生み出す、手品師の如き指先には感嘆したけれど、
僅かに心慰められもしたけれど―――其れでも、其れだけで。
「――――何の意味も、想いも、無くても構わなかったわ。
もし、一度でも……あのひとが、わたくしに、……花、を………」
ゆらり、ゆらり。
指先で玩ぶ薔薇が美しければ美しいだけ、漂う香りが甘ければ甘いだけ、
たった其れだけの物すら与えられずに来た、女の心が擦り減って行く様。
男に聞かせるというよりも、何処までも独白めいて虚しい言葉を吐きながら、
己は涙の余韻に濡れた眼差しを、ゆるりと男へと戻して。
「―――――わたくし、を?
夫に、顧みられもしない……こんな詰まらない女を、欲しい、と仰るの?」
特段己を卑下した心算も無い、偽らざる本心からの、率直な問いかけだった。
心底不思議そうに、男の顔を見詰めて、ゆらりと首を傾がせつつ。
「……態々、夫の居る女など求めなくとも、貴方なら幾らでも、
瑞々しく麗しい『花』が、手に入るのでしょうに。
変わった御方、………わたくしと寝ても、夫は悋気など起こしませんわよ?」
万が一、先刻の執事が戻ってきた時、己が此の男に抱かれていたとしても。
そんな報告を受けたところで、夫はきっと精々、笑って頷くだけであろう。
或いは目の前の男が、妻女と寝た、と告白しても―――然したるメリットも、
デメリットも無いだろう、と。
男が其の質問に、何と答えるか。
其の答え、如何によっては――――薔薇を持たぬ側の手が、男へと差し伸ばされるやも知れず。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 伯爵邸」からグリセルダさんが去りました。
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