2017/08/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 某公爵邸」にグリセルダさんが現れました。
グリセルダ > 極上の料理と上質の酒、美しく整えられたテーブルを彩る花々。
笑いさざめき合う紳士淑女の群れから、そっと逃れ出て一人、
庭園の片隅にぽつりと佇む石造りの四阿へと。
日射しからも、衆目からも解放されてほっと息を吐きながら、
用意された小さなベンチへ腰を下ろす。

「――――は、ぁ……。」

どうしても、こういった社交の場は苦手だった。
上辺だけはとても礼儀正しく、けれど扇の陰から己をそっと見遣る時、
貴婦人たちが己について、何を言っているかは知っている。
そして己には、其れを否定する要素が無いのだ。

共にパーティへ招待された夫の姿は、もうとっくに無かった。
きっと今頃は何処かの物陰で、男の情人と過ごしているに違いなく。
いっそ己も何処かの男と―――などと、馬鹿げた考えは直ぐに、
そっと目を伏せて無理矢理打ち消したけれど―――。

グリセルダ > 貴族の集まりは苦手だ、と言っても、いつまでも行方不明ではいられない。
其れこそ、妙な噂を立てられてしまうだろう。

暫し、静かな四阿の日陰で休息をとった後には、
立ち上がってパーティの賑わいの中へ戻って行く。
意味の無い会話と控えめな微笑でパーティの席を乗り切れば、
ドレスの裾捌きだけは優雅に、公爵邸を後にすることに―――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 某公爵邸」からグリセルダさんが去りました。