2017/05/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にティエンファさんが現れました。
ティエンファ > 品の良い夜会である、とある豪商の館での立食パーティー。
一代で財を気づいた成り上がりの男が、でっぷりと肥えた腹を揺らしながら、招待客を歓待している。
それを横目に眺めながら、盛装の少年は紅を引いた唇をへの字にした。
護衛の依頼であるから、そこに溶け込めるように整えた見た目だが…。

「…やっぱりこう、所作ってのに出るんだな…即一般人だってバレちまう」

頭の中でめくるのは、ここ最近ずっと読んでいる礼儀作法の教養書。
さっきそれを真似してそれっぽく振舞って見たが、商人達に鼻で笑われてしまったのだ。

ティエンファ > 「生兵法って言っても、もうちょっと行けると思ったんだがなあ…
 何がいけないんだ? 礼儀作法って難しいぜ…」

刺青の入った腕を組みながら、壁際で商人や貴族たちの様子を眺める。
大店の主人達の仕草、貴族らしい青年の仕草、その突き人の少年の仕草…。
観察するそれらはみんな違って、しかし皆きちんと礼に適っている。
自分と違う所が分からず、首をひねるばかりの山奥育ちの少年で。

「王国の作法は分からん…でも、判らんままだと良い護衛の依頼も回ってこないしなあ
 折角冒険者や護衛、用心棒をやってんだ、色んな世界を見る為にも、何か掴まにゃ…ううむ」

悩むように胸前で組む腕は逞しく、左腕に走る刺青は王国に無いデザイン色合い。
異国の物だとすぐに判る滑らかな黒髪に、赤い瞳の少年である。

ティエンファ > その異国風情が幸いしてか、商人から声をかけられることがある。
記憶を頼りに丁寧に接しようとするけど、途中で商人が苦笑いして、無理するなと逆に気遣われてしまう始末。
頭を掻いて笑って返すが、どうにも悔しいのだ。 折角の機会、今まででは足を踏み入れられなかった世界だ。

「もっと色々やってみたい、経験してみたいって思うじゃんさ…」

壁に寄りかかって、溜息交じりに一人呟く。
華々しい会合の輪から外れた位置で、難しい顔である。

ティエンファ > 「…まあ、焦るなって事か…」

その日の護衛は、優雅に平和に過ぎていったのだとか。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からティエンファさんが去りました。