2017/04/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にホウセンさんが現れました。
■ホウセン > 週末の夜。妖仙の姿は、富裕地区にある娼館にあった。
しかし客室でお楽しみという訳ではなく、表立っては存在しない事になっている地下の区画に。
顔を覗かせたのは、好事家の集いがあると招かれたから。
このエリアにある店のご多聞に漏れず、地下だからといって装飾に手抜きがある訳もない。
ちょっとしたホールぐらいはありそうな広さの作為的に光量を控えた空間は、壁なり床なり天井なり隅々まで注意深く整えられている。
「まったくまったくけしからん。
趣味が良いやら悪いやら一言では言い尽くせぬが、けしからん、もっとやれという奴じゃな。」
談笑に一区切りついたところで、給仕からグラスを満たしている葡萄酒を受け取り、少々の間、壁の花めいたポディションに。
会場内は、一見すると立食パーティに近しい光景。
■ホウセン > 壁際から視線を巡らせると、給仕達を除いて二つの人種に大別される。
片方は、妖仙と同様に顔の一部なり全部を仮面で隠している者達。
大部分は男のようだが、稀に女も見かける。
もう半分は、おおよそ肌の露出面積の大きな衣装で着飾った女達。
年齢や身体つきにバラつきが見られるけれども、総じて容姿に恵まれている。
楽器の生演奏がさりげなく鼓膜を揺らす中で、表面上は歓談に興ずる参加者達。
しかし、よくよく目を凝らすと、何気ない会話をしているような最中に、仮面を着けていない女達は、連れ添いの者以外から尻を触られ、胸を触られ。
それでも、会場中で繰り広げられているその行為を、誰も咎めようともしない。
「くくっ、己の連れ添い自慢も此処まで来ると、螺子が一つ二つ飛んでおろう。」
催しのお題は、好事家達による己のパートナーのお披露目。
好事家から見た妻も居れば、恋人も婚約者も愛人も愛玩奴隷も居る。
其処に混じる単独行動の者は、妖仙のようにこの娼館にとっての”上客”である。
■ホウセン > 上っ面だけは穏やかに。その実、欲を滾らせた参加者達のやり取りを肴に、葡萄酒を口に運ぶ。
飲食にも愉しみを見出す妖仙の舌を、十分に満足させるに値する逸品。
歓楽都市辺りでよく見かける、肉欲を前面に押し出した乱交パーティーとは何もかもが異なる空間だけれども、骨格は変わるまい。
平素の帝国辺境風衣装の侭では違和感しか生み出さぬ仮面は、正体を隠すという実効力よりはお互いに素性を詮索しないという暗黙の了解を形にしたもの。
さもなければ、異国仕立ての着衣を身に纏う子供じみた見た目という、目立つ因子を複数抱えた妖仙であることを誤魔化そうという方が無理がある。
「さて、喉も潤った所で…」
ちんちくりんの見目の癖に、危なげなく酒盃を空にする。
壁際から離れて、硝子の器を給仕に返却するとフロアの回遊を再開する。
此処で行われているのは、精々が手や脚を使っての愛撫か、身体同士を不自然なまでに密着させて服の下の何かを押し付けて誘惑ぐらいのもの。
それで昂ぶり、好事家を含めた当事者間で何かしらの同意が成立したのなら、会場を離れて個室に移ったり、後日の逢引を約束したりもするようで。
中央部へ戻る道すがら、誰のパートナーとも分からぬ女の尻を一撫で。
どこぞに琴線に触れる女はいないものかと、さりげなく、さりげなく、確りと物色する。