2017/04/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にノエル・ベネトーさんが現れました。
ノエル・ベネトー > 貴族の邸宅にて仕事を始めたエルフ。
本日初日であり、つつがなく終了した(自称)ので帰り道、
馴染みのない富裕地区を見て回ることに。

自分の居候する平民地区に比べて身なりのいい人はたしかに多いが、
使用人も多いのだろう、思ったより様々な人がいる。
ワンピースの裾翻し、石畳の上をスキップするエルフはまるで少女のようでありながら、
張った胸がたぷんたぷんする。
成熟した身体と未成熟な中身が何かと違和感を生む存在なのである。

そしてその未成熟さは案の定という結末を呼ぶ―――。

「迷いました………。」

ふう、とため息。
寄り道しまくったので時刻は夕方に差し掛かる頃。
どこかの貴族のお屋敷前でしゃがみ込んだ。

迷子は慣れっこだが、今日は仕事初日でお疲れモード。
しばらく背中を丸めて拗ねてみることにする。
(ひとはそれを自業自得と言うけれど)

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にエズラさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアッシェさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からアッシェさんが去りました。
エズラ > 貴族達が住まう邸宅が軒を連ねる一角――大きな壁に囲まれた、周囲からは見えにくい場所に、地下に続く階段があった。その豪奢や扉がわずかに開き、一人の男が顔を出す。

「ハァー……流石に胸焼けするぜ、まったく――」

そこは悪趣味な貴族達の集う秘密クラブ。昼の日中から何やら猥らな催しがあり、その警備を任されていたが――どうにか交代の時間になり、本日はお役御免と相成った。階段を上ると、外は夕陽の差す時刻。着慣れない制服のボタンを全開にすると、警備帽子を斜めに被る。このまま宿へ帰るか――いや、酒でも引っかけねばやってられない。そんなもやもやした心持ちで角を曲がった――

「んおっ……――」

ちょうどその先の屋敷の前にしゃがみ込んでいた相手に気付いて、思わず声をあげる――

ノエル・ベネトー > 石ころにしては随分大きく丸い障害物だったことだろう。
蹴られ――――なかったのならば、よかった。

ゆっくりと、亡霊よろしく顔を上げたエルフは警備員を見た。
その目には迷子特有の、流れる寸前の涙が溜まっている。
知った相手だったが、かっちりとした制服の印象がまったくないこと、
帽子の影が彼の顔に差していることから、それに気づかなかった。

「う…う…っ…、ごめんなさい…。」

のそのそと、屋外にもかかわらずハイハイする姿勢でその場を移動しようと。
お疲れの相手には残念なことに―――厄介なエルフが待ち受けていたようで。

エズラ > 「えっ……おい、どういう――あァ、そうかそうか……!」

勿論、足蹴にすることなどなく――立ち止まって暫し相手のことを観察していたのだが、何やらおびえた様子で逃げ出そうとしているのを見て、気付く。ゆっくりと帽子のつばをつまんで素顔を露わにする――

「落ち着けよ――ノエルちゃん。オレだよオレ――こういう格好で会うのは、初めてだな――」

以前は貧民街をうろついていたのを見かけたが、今日はまた正反対の場所に居るんだな――なんてことを思いつつ、両手を挙げて「何もしないよ」アピールを。

「また迷子になってんのか――?」

ノエル・ベネトー > 名を呼ばれ、四つん這いのまま振り返ればようやく気づいた。
迷子にとって、見知った顔はどれだけ安心できる存在か――
ぱああっと表情一転させたけれど、気を緩めたので眦から涙がぽろり。

立ち上がり、駆け寄る。

「エズラさあん…!
 迷子ですけど、それだけじゃないですよう。
 ずっとダラダラしていたのでお仕事始めたら疲れちゃったんですよう!」

ニートの社会復帰は大変らしい。
切々と訴えながら、改めて彼の格好を見る。
――――本当に見慣れない。

「傭兵さんってそんな格好もするんですねえ。」

エズラ > 「な、泣くほど困ってたのかよ……――おお、仕事、見つかったのか――」

故郷の森から出てきたばかりと聞いていたが、職を見つけたというのはめでたいことである。駆け寄ってきた相手の柔らかな金髪を、よしよしと撫でる。

「ああ、この服か――ま、戦場ばかりがオレの仕事場でもねぇのよ……「こいつ」を買ってくれる客は、色んなとこに居るもんだ――」

自分の二の腕あたりを、ぽんぽん、と指先で叩く。腕に覚えあり――とでも言いたいらしい。

「オレも今丁度一区切りついたとこだ――飯でも食いに行くかい?就職祝いだ、ご馳走するぜ――」

どうする?と問う――

ノエル・ベネトー > 先ほどまでの不安はどこへやら。
撫でられて、嬉しそうに微笑んだ。
彼は時に頼り甲斐があり、時に可愛い、そんな存在である。

「強いのはいいことですよねえ。
 戦場に行っちゃったら落ち着くまでお会いできないのでしょうし、
 そうやって戦場以外にいて頂きたいところです~。」

今日会えなければ迷子のまま数時間彷徨っていたかもしれないし。
見慣れなかったが、よくよく見ると似合っている気もする。
畏まった服装ほど男性が映えるというのはよくあることだ。

「行きます行きますー!
 美味しいもの食べたいです~。」

何だか毎回飲んだり食べたりしているような気もするけれど。
返事とどちらが速かったか、彼の隣にぴったりくっついて、その腕に
自分の腕を絡めようと馴れ馴れしく、毎回。

エズラ > この国は、年がら年中小競り合いが尽きないから――食い扶持を稼ぐには、戦がもってこいである。少なくとも、自分の強さに多少なりとも自信のある者達は、そうして暮らしているのであった。相手の言葉に、少し難しそうな顔で笑う。

「ま……考えとく。」

否定とも肯定とも――そんな風にお茶を濁しつつ、腕に絡みつく柔い感触に、すぐにその顔は満面の笑みになってしまう。

「んじゃっ、行くとすっか――!今ちょ~ど懐があったかいからよぅ、今日は奮発してやるぜ――」

そう言って、連れ立って少しばかり高級なレストランに向かい歩き始めるのであった――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からエズラさんが去りました。
ノエル・ベネトー > 箱庭の中で育ち、今も庇護されて生活している女と、実力で生きている男では
そもそも価値観云々が違いすぎるのかもしれない。
まだそんな相手の心を忖度する成長は――エルフには見られないのである。

「きゃあ、ふんぱつふんぱつ~!」

毎回奢らせて、今回は散財させる様子だが、暢気に盛り上げた。
最近王都のごはんを覚えて食欲が止まらないエルフである。
さて、どれだけその懐の温度を冷めさせることやら―――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からノエル・ベネトーさんが去りました。