2016/12/25 のログ
ご案内:「富裕地区の公園」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
チェシャ=ベルベット > よく晴れた日の午後、冬の寒さも今だけは緩む気候。
何故かカップルの目立つきれいな公園のベンチにチェシャはふわふわのワンピース姿で座っていた。
手には高級ブランドのバッグにセミロングのウィッグを付けてどこからどう見ても完璧な美少女を装っている。

だがそんな完璧美少女も表情だけで台無しになりそうなほど苛ついているのがわかる顰め面だった。
気まぐれの依頼で彼女役を今日一日してほしいという仕事だったのだが
その依頼相手が一向に現れない。
どうやらもしかしたら元カノとよりを戻したか別の女といちゃついているのかそこはわからないが
すっぽかされたおかげで自分が道化のようになってしまっていることに怒りが湧いているのだ。

チェシャ=ベルベット > ふんぞり返って腕組みをし、聞かせる相手を一気に陰鬱にするような重い溜息を吐きながら
ベンチで一人待ちぼうけている。

折角ここまでしてきたのに今からむざむざと帰るのもつまらない。
それに少しばかりこのベンチは陽気が気持ちいいから寒い路地を通って帰るのも惜しまれる。
そんなこんなでダラダラと居続けているわけではあるが
周りにカップルや家族連れが増えてきていささか居心地も悪くなってきた。

なにもかもいやになる。再びため息。指先で長い髪の先を弄ぶ。

チェシャ=ベルベット > 不機嫌顔で待っていても誰も来やしないと思われたその時
『そこの彼女、今暇?お茶しない?』
などと声をかけてくる若者、――猛者が現れた。
複数人の男たちが寂しさを紛らわすためかはたまた度胸試しか
こんなチェシャに声をかけてきたのだ。

じっと相手を値踏みして、ふんと笑うと獲物を見据えた猫のように目を細めて微笑んだ。

「まぁ嬉しい、私退屈していたところだったの」

そう作った澄んだ声で応対するとベンチから立ち上がり
若者たちの集いに混じって何処かへ歩いて行く。
正体がバレるまでお遊びに付き合ってやろうというように。

ご案内:「富裕地区の公園」からチェシャ=ベルベットさんが去りました。