2016/09/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアケロンティアさんが現れました。
■アケロンティア > 「 嬢、」
静かな声で呼びかける心地よく低い風に似た音色は変声期頃の中間色、濁りはない。
屋敷の窓に棚引く髪を見つけ3階というのに風の如き出現で容易く外から伸ばした腕で中にいる人物を絡めとり、ほどいたネクタイで目隠し視力を封じ。 一連の魔術にも似た動作はただの戯れに過ぎない。
窓辺のきわに自らの体を寄せてしまい足は外に放り出して重心はかけず、重力を無視して忍び込んだ格好。捉えた少女の身とドレスを支えのかわりにして。
性の衝動は覚えずに、喉を撫でる白い指が生命特有の質感や湿りを楽しみ漂い。
■アケロンティア > 少女がドレスの胸を縛る紐を肌蹴る動作を見下ろして、夜に一閃を刻む十字架が震えるを見届け。この空間で低く遅いほうの息遣いは静寂にこまかい響きを齎し、裾が窓に垂らされた緞帳のかわりに揺れる不律の速度と一見、同調して。
「――― 嗚呼」
漏れたささやきに呼応してもぐり込んだ十字架を追い駆けて少女の薄い体の隙間に冷たい指を忍ばせると、ネクタイの拘束がほどけて逃げられてしまい。蝋燭が揺れる扉の影を追う眼は、さきほどの対象を掴むことはならない。
風が見せた窓の内側へ押し入る動作につられて判別のつかない室内へと、腕の先から長い植物の葉が重く垂れるように滑り込み。頭と眼差しのみ上げて室内を床から見渡し。
■アケロンティア > 煙のにおいが夜のどこかから這い寄って呼吸器官を侵し、ツンとくるにおいに微量の心地よさ以外のものを覚えて眉根を動かし、刺激を乗せられた舌の外側へ唾を追い遣り。
床についた手でゆったり身を起こして。とても軽い重みで引き摺ったシャツの裾が微量の濡れたホコリを吸って汚れるが、気付かない。
「逃れた 罪を、のがれた しょうじょ…う。」
小さく口ずさんだ歌に意図を乗せたつもりはなく。落ちていた楽譜を拾って廊下へ出、流水の動作をする腕で燭台にかざしたのち火で炙って霧消と化させ。
可愛らしく瞬きをして口先を緩ませ、わざと影を減らすよう壁のわきを通って迷路の廊下を足音なく進んで。ただ幼児が口ずさむふうの旋律を、途切れ途切れに小さな音で歌いながら。
黒い髪と服の色はしっかり目視できるものの。樹木や水に似て生命体としての生気が少ない。
■アケロンティア > 燭台を掲げた聖女の像が、湿潤と黄いろに濡れたミルクの美味さを彷彿とさせて。甘くしなる花ビラの柔かさを思わせる動作で唇を開き、男という性にしては随分と幼い仕草で聖女の乳房にかじりつく。歯はごくわずかにしか立たない。
唾液が生白く糸引いていままさに聖女の授乳を受け取ったふうだ。
「 ………ん。」
そろそろと、屋敷で小さな物音が立っており、屋敷の支配者が起きる支度がなされているらしいと知るが。廊下の奥へ行ってみるかみまいか、悩み、ひそやかに眉を寄せて壁のわきで体を傾がせ。
■アケロンティア > 近くに見つけた窓へ駆け寄ると、躊躇いなく両手をかけた窓枠からコウモリが飛翔する素早さで夜の只中へと飛び降りて。
ただ少し、今吸った聖女のミルクが己の身に重さを齎して、少しのちには地面へと足を着地してしまい。
正面にある塔のなかで誰かが照らす部屋の四角く切り取られた窓を見上げて、さきまで顔全体に走っていた緊張感をほどくと表情に柔かさが戻って来。
「は、……。嗚呼、恵みよ。」
さして音程を揺らさず低い少年期の声が風のない外気に小さく響き。木々のほうへと、彼はゆっくりと去って。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からアケロンティアさんが去りました。