2016/09/21 のログ
ご案内:「王都富裕地区 大通り」にアダンさんが現れました。
アダン > 富裕地区の大劇場の前には人だかりができていた。
たった今、上演されていた劇が終わったのである。
劇の内容としてはよくあるものであった。この国の歴史を語るものだ。
神話の時代から歴史へ。「諸王」たちがマグメール王国を建国する際のドラマを描いたもの。
王侯貴族の中には、その「諸王」を祖とする家が多い。
いわば、彼らの正当性を保証し、再確認するための劇とも言える。

実際には、劇を目的として集まった人間ばかりというわけではない。
人が集まれば様々な思惑も集まる。王都では今も王位継承の問題などが続いており、
それに乗じて色々な陰謀を巡らす人間もいるというわけである。
アダンもその一人であった。観劇中にまた一つ陰謀の話をつけた。
貴族の腐敗などを払拭しようと活動する若い貴族についてであったが、その貴族は数日もすれば牢獄の中であろう。

「……しかし、つまらん劇だったな」

アダンは劇場の外に出て、人だかりを避けて広場の噴水の前のベンチに腰掛けてひとりごちた。
眺めるのは劇場や音楽堂から帰る客たちだ。
アダンにとっては先程の陰謀は実のところあまり重要ではない。
今日の目的は、獲物を探すことであった。自らの欲望を満たすために。
人が多いということは、それだけ何かを見つける確率も高いということだ。

そろそろ夕食時である。多くの客たちは各々の邸や食事のための店に向かってばらけはじめていた。

ご案内:「王都富裕地区 大通り」にリーゼロッテさんが現れました。