2016/09/11 のログ
マリエル > 互いの体格の差を考えれば、本来、ぶつかったとしても、
跳ね飛ばされるのは己の方だった、のだろう。
然し、相手は強かに酔った、千鳥足の男である。

――――どん、と斜め背後から。
ぶつかりにゆけばいとも容易く、男は其の場へ転がった。
崩れ落ちようとする其の男の懐へ、小さな手を滑り込ませて――――

「気をつけろよ、爺さん!」

精一杯柄の悪い、少年、を装った捨て台詞を残して。
相手が体勢を立て直し、此方を視認するより先に、素早く走り出す。
背中にぶつけられた罵声の中身など、右耳から左耳へ聞き流した。

――――そうして再び、裏路地の暗がりの中。
たった今掠め取った物を、マントの懐から引っ張り出す。
ずしりと重い、明らかに財布だと思われる。
ふん、と小さく鼻を鳴らして、財布の口を開け、中を確認しようと。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にカナムさんが現れました。
カナム > 裕福な商家との契約
その交渉役に抜擢されてやってきたのが...昼ぐらいだったかな?
子供好きの噂を真に受けてお前が行けと言われたときは頭悪いなぁ位に考えてた

「なのに結構上手く行ったし...あいつまた調子に乗るんだろうなぁ」

実力を見せろと模擬戦をさせられたり面倒な日だった
最終的には上手く行ったけど気苦労も多かった
そんな帰り道....ここらでは珍しいものを見た

「スリなんて、やるなぁ...」

酔った爺を狙いぶつかった一瞬で獲物をすりとる
貧民地区のような光景に興味が湧いて犯人をこっそり追いかけた 

「そこの泥棒さん、収穫はどうだった?」

路地裏まで逃げてきた犯人に声をかける
ここなら多少声を出しても表には漏れない筈

マリエル > 殊更に、他人の気配に敏い方だとは言うまい。
然し、まさかまんまと後をつけられていたとは思わなかった。
背後から掛かった声にぎくりと肩を竦ませ、勢い良く振り返れば、
其処に居たのは――――恐らく、己と大差無い年頃の少年。
見開いていた瞳が、一気に不機嫌を露わに眇められる。

「人聞きの悪いこと、言わないでくれるかな。
 ――――そもそも、あんた、誰?」

返す声音は、少年とも少女ともつかない高さ。
剣呑な表情で相手を見据えつつ、戦利品の確認は後回しに、と、
掠め取ったばかりの財布を懐へ突っ込み。
向き直って相手を睨む己の全身から、警戒心が滲み出ているようで。

カナム > 「人聞きどころか悪い奴なんだからしょうがないじゃん」

不満そうに言う....男が女かわかんないな
まぁ相手がそう言っても実際相手はこそ泥
何が悪いと言い返し

「僕はカナム、ここにはお仕事てきてんだけど面白いもの見ちゃったからさ
正義感にかられて追っかけてきた訳じゃないから安心してよ」

むしろ相手を褒めたいぐらい
なのできちんと自己紹介と...今は自分が相手の脅威にはならないと説明
無理に距離を近づけようともせずに反応を伺う

マリエル > ――――ぐ、と一瞬、言葉に詰まる。

確かに、道義的に見て『良い』ことをしている、と胸を張る気など無い。
然し、見ず知らずの相手に言われたくはない、とも思う。
ゆえ、不機嫌そうな面持ちを更に顰めつつ。

「――――なんにしろ、あんたの娯楽の為に、やってる訳じゃ無いよ。」

生きる為であり、食べる為だ。
明らかにぶかついたマントの前を両手で掻き合わせ、
相手が近づいて来ないとしても、一歩、じり、と後ずさり。

「……まぁ、良いや。
 えぇと、……カナム?
 つまり…衛兵とかに、突き出す気は無い、ってこと?」

其処は重要だ。
確認の為にもう一度、はっきりさせておきたい。

カナム > 「うん、生きる為かスリル欲しさでしょ?
でもスリル狙いならここじゃやらない....だから生きる為かな?」

富裕地区でスリは捕まれば死と同じと思っていい
そんな場所で頑張る....あの子はかなり勇気があって良いと思う
これは本心

「当たり前だよ、その気なら声なんてかけずに捕まえるよ?
だから信じてほしいんだけどなぁ...僕の目的はスカウトって言ったらどう?信じる?」

後ずさった文距離を...詰めない
変に近づいて警戒を強められるのはよろしくない
なのでそのまま説明する

マリエル > 「――――其処。察しついてるんなら、放っといてよ」

ぽつりと呟いた声はとても小さく、相手の耳に届いたかどうか。
一緒に添えた溜め息は大きく肩を揺らしたから、恐らく気づかれただろう。

己が確認の為に発した問いへ、当たり前、と応じる相手に、
僅かばかり警戒心のハードルを下げかけたのも束の間。
スカウト、などという単語が耳に届くと、緩めかけた眉間の緊張を深め、
胡乱なものを見るように、相手の顔を見詰めて。

「……信じるも信じないも、意味がわからない。
 何にスカウトしようってのさ、
 ……どっかの盗賊団にでも誘おう、っての?」

口端を微かに歪める笑みも、きっと、余り上品とは言えないもの。

カナム > 「気になるのはまた別なんだから仕方ないじゃん
それに衛兵にここを伝えなかったんだからお礼を言ってくれてもいいんだよ?」

何て恩知らずだと頬をふくらませる
傍から見ればなんて理不尽な言い分だとおもうだろう

「どっちかと言うと盗賊団を狩る側
傭兵団に誘おうかなって、うちアサシンとか盗賊みたいな事できる連中少ないからさ」

ダンジョンに潜るにしても戦うにしても
密偵や盗賊はかなり重要な立ち位置
僕の居る傭兵団は傭兵よろしく突っ込んで殺せってタイプばかり
魔術師やアサシンは常に募集している

「まぁ今はこんな格好だし信じろって言いにくいけど...試したいってなら付き合うよ?」

普段の格好ならともかく今は小金持ちの道楽か
子供の遊びと思われるかもしれない
なので信じてもらえるなこちらが歩み寄るつもりでいる

マリエル > 「――――お礼?…そんなの、言う訳無いじゃん」

無駄に驚かされて、礼を言わねばならない理由がわからない。
つん、と顔を背ける仕草で、些か子供っぽくも不服だと訴える心算。

相手がスカウトの中身について語り始めると、
背けていた顔は再び、彼に向き直るも。
――――考える間はごく僅か、マントを掻き合わせていた両手に力を籠め、
更にもう一歩、と後ずさりつつ。

「……あんたが信用出来ない、とか、そういうことじゃなくて。
 王都に来たのは、そんな仕事、する為じゃないし…
 やりたいこと、今は、ほかにあるから。

 ――――其れに」

一瞬だけ、俯いて己の足許を見詰め、そっと溜め息をもうひとつ。
フードに覆われた頭を、ゆっくりと左右に振って。

「仲間、とか、そういうの、良く、わからないし。
 ……きっと、迷惑になるから。」

誰にも関わりたくない、関わらせたくない。
先刻までとは違う、泣き出す一歩手前のような顔で告げて、
くるりと踵を返そうと。

カナム > 「うわ、つまんないの...」

また憎まれ口だ、と頬を膨らます
こちらを向いたので脈アリかなと思ったが、そうでもないらしく

「そっか、残念だなぁ」

少し鍛えれば即戦力
なんて思っていたが見通しが甘かった
また探さないと。そう考え始めたが

「...そこん所もう少し聞きたい...なっと!」

迷惑になるから、その言葉だけならサヨナラしてた
けれど泣き出しそうな顔を見ると思わず足が動く
身体強化を込めた跳躍と壁蹴りで少女の前に降り立ち

「思わぬ所で傭兵の証明できたかな?」

そう尋ねた

マリエル > だから、己は少年の娯楽の為に此処に居る訳では無い。
先刻の繰り返しになるだろう、其の台詞は辛うじて飲み込んだ。
もう立ち去る心算だったから、会話は終わりにしたかったから。

然し―――――

背後で風を切る気配がした、と思う間も無く、
眼前に黒い影が躍る。
其れ、が彼の能力によるものと悟ると、流石に一瞬は、
虚を突かれたように目を瞠って。

けれど、きつく目を瞑って一拍、間を空けた後。
目深に被ったフードの奥から、やや上目に暗い眼差しを送りつつ。

「――――信じてない訳じゃ無い、って言ったよ、今。
 そうじゃ無くて、……関わりたくない。関わって、欲しくない。

 だから、……バイバイ。」

他を当たって欲しい、とは一段低く、囁くような細い声で。
先刻まで相手が居た方へ踵を返すと、今度こそ、
大きく一歩踏み出して歩き始める。

此の広い街の何処かで、偶然の邂逅を幾度と無く果たしたなら、
いつかは重い口を開くことも有るかも知れないが。
今は未だ、――――誰も、受け容れたくは無いのだ、と。
向けた背中から、感じとって貰えたなら、幸い。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からマリエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からカナムさんが去りました。