2016/08/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアダンさんが現れました。
アダン > 王都の富裕地区、王城近く。夕刻。
一人の男が特に誰も連れることなく歩いていた。
この富裕地区に住み、王城への立ち入りも許された堂上貴族のアダンである。
仕立ての良い服を纏い、先程までこの近辺の劇場にて観劇を行っていた。

「さて、次の生け贄はあの家の娘となるか」

劇場を後にし、一人夜が近づく通りをアダンは歩く。
実のところ、観劇を目的に劇場を訪れたわけではない。
この王都で毎日のように繰り広げられる陰謀の相談であった。
観劇をしつつ行われた陰謀は、最近台頭しつつあった王家を如何に潰すかというものであった。

アダン > アダンはカルネテル王家のとある王子の参謀役のようなものを務めていた。
特に王子を慕っているわけではないが、アダンが如何に生き残るかを考えた上に、カルネテル王家と懇意になっていた。
先ほど話していた相手はその王子である。
王城の彼の部屋にて話しても良いような内容ではあったが、今の時勢下手なことをすれば足を掬われることも珍しくはない。
一応の用心ということであった。兎に角、近々アダンの手腕によって、とある王族が叛逆の汚名を着せられ、彼が仕える王子がそれを解決することとなるだろう。

「……しかし、それだけでは物足りんな」

アダンは手に持っていた葉巻を捨て、あたりを見回す。
次の陰謀の種などを探してのことだ。そして、自らの情欲を満たすために。
最近はアダンもまた街などに繰り出すようになり、冒険者などをその毒牙にかけることを再開していた。
貴族や王族の娘に対しても同様である。今日は、陰謀の会合ついでに街に出てきたため、その相手を探す。
しばらく歩いていると開けた場所に出た。噴水のある広場である。噴水のあたりを巡りつつ、アダンは行き交う人を眺める。

アダン > しばらく前には王城に魔族が現れたということで、色々やりやすい状況が続いていた。
アダン自身が確認したことだが、王族の中にさえ魔族がいるような有様であった。
アダン自身は普通の人間のため、魔族か人間かということを判断する術は持たない。だが、王族にさえ魔族がいるかもしれないという状況はかなり好都合である。
最近はそれも落ち着いてきた。もしくは魔族自身が更に巧妙に正体を隠すようになったのだろう。

「また少しひと波乱起きて欲しいものだが」

噴水前のベンチに腰掛けつつ、そんなことをつぶやく。
アダンにとっては、この王国の行く末がどうなろうがあまり興味がなかった。
国や王族への忠誠心は既になく、如何に自分がこの混沌とした時代を生き残るかという事を考える。勿論、自身の欲望を満たすことも含めて。
王国が魔族に負けるならばそれはそれで構わず、その時は魔族に上手く鞍替えするだけであった。

アダン > 「今日は特に収穫はないか」

しばらく往来を見ていたものの、特に上手く引っ掛けられそうな者はおらず、アダンは立ち上がった。
そのまま自らの屋敷へと歩いて行く――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からアダンさんが去りました。