2016/05/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 秘匿されたクラブ」にミシェルさんが現れました。
ミシェル > 薄暗い中に飛び散る光、それに照らされて時折見えるのは裸に近いような格好でショーを演じる壊れた少女達。
仮面を被った客達は上等な酒と料理を楽しみながら、人形となった女を抱き寄せるものもいれば、理性がある娘を狂わせようと薬を飲ませたりとやりたい放題の状態だ。
そんな中、従業員と同じ仮面を被り、少女はドアの傍で腕を組み、壁に寄りかかったその騒ぎを見守っている。

(「最低な仕事引いちゃったわ…」)

一人でこなせる仕事として残っていたのがクラブの用心棒。
それぐらいならと志願したものの、自分にとって欲望にまみれて頂点に立ったつもりでいる輩と同じ空気を吸うのがとてつもなく嫌だった。
小さく溜息をこぼしながら、仕事終了の時間がやってくるのを待つしかない。
後は、この目にミレーの同胞を捉えることがないのを祈るばかり。
流石に見つけてしまったら…仕事と割り切れるか、不安で仕方ないからだ。

ミシェル > ドアをノックする音が聞こえれば、覗き窓を開き、そこから見える人影を確かめる。
仮面をつけたものだけが入れるが、特殊な塗料を塗られたそれは、覗き窓に施された細工硝子を通すと塗料のサインが浮かび上がるが、普段は見えることはない。
やってきた男が被っていた仮面は本物、つまりここに選ばれた客ということだ。
ガチンと重たい鍵の音を響かせてロックを外すと、鉄の扉を開く。
どうぞと中へ招き入れれば、再び閉ざし、鍵を締める。
やることはだいたいこれの繰り返しだ。
退屈と溜息をこぼせば、酒の回った客がこちらへと近づいてくる。
そして、君を抱くなら幾ら積めばいいかな?と下卑た笑みで問いかけていた。
腸煮えくり返るとはまさにこの事、不機嫌を仮面越しでも分かるほどに浮かべれば、カツンとブーツの音をひびかせる。

「私は用心棒なの、幾ら積まれても抱かれないわ」

しっかりと拒否を答えれば、腕の立つ相手と争うつもりはないらしく、そうかとすごすごと戻っていくのを見送る。
本当に最低な輩ばかりだと、改めて溜息を溢す。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 秘匿されたクラブ」にスヴェンさんが現れました。
スヴェン > ―――失礼をば。
クラブへ続く曲がり角。馬車から降りた貴族らしき男に背後から声を掛ければ強かに側頭部を殴りつける影が1つ
昏倒する貴族を倒れる前に抱きかかえれば、適当に飲み過ぎだぞ?大丈夫か?と抱いた貴族の男に声をかけるが、
男の耳に届いているかは甚だ疑問であった

昏倒した男を壁に凭れ掛からせるように下ろせば、懐を弄ってクラブの入場に必要な仮面を被り店に近づいていく

「…くだらない仕事引いたわ」

金払いは良いのだが
―――事の発端はとある貴族が政治的に敵対する貴族に愛妾を攫われ事もあろうか、慰み者にされてしまった
それを秘密裏に奪還することが己の仕事であったが、普段であれば受けないような仕事も、
隊の財布事情が寂しいとなれば、些か事情も変わってくる

クラブの周囲を取り囲むように部下数名を伏せさせて、奪還後、追手が掛かるようならば依頼主が王都の郊外に持つ
屋敷まで馬を走らせる手配になっている
流石に貴族の屋敷にまで追手は掛からぬであろうが、果たして?
クラブの前のドアをとんとん、とノックすれば、返事を待つ間に今一度、以来を受けた際に見せられた
愛妾の肖像画を思い出す

ミシェル > 再びノックの音がすれば、うんざりといった様子で何度目になるかわからない溜息をついた。
こんな欲望の坩堝で良く生きれれるものだと、ある意味感心するぐらいだ。
それでも仕事はしなければならない、金属の擦れる音と共に覗き窓を開けば、仮面を被った姿が視野に映る。
硝子越しに本物を示すサインが入っているのも確かめると、お望み通りにガチリと鍵が解除され、ドアが開かれる。

「どうぞ、相変わらず盛況ですよ」

お世辞を紡ぐが、寧ろ盛況なほどつきぬ欲望に呆れた皮肉の言葉でもあった。
彼をクラブの中へ招き入れるも、ロングコートに包まれたとはいえ、他の客とは違う気配を感じさせられる。
軍関連の人間だろうかと思うも、仮面を被っている以上は通さぬ訳にはいかない。
彼が思い浮かべた愛妾の姿は舞台の上にあるのが見えるだろう。
太った中年男性の貴族に挟まれ、ほとんど裸の格好で唇と膣口を貫かれ、媚薬漬けで蕩けた表情のまま肉欲に沈んでいる。
他の玩具達と比べると、壊されかけたとはいえ見た目はかなり良く、ちゃんと整えれば何処かの貴族が囲ってそうな美しさもありそうだ。

スヴェン > カシャン、と覗き窓が開けば此方に視線を向けられる
そこから覗く瞳に軽く笑みを浮かべ、値踏みされるのを待てばやがてドアが開いた

「ありがとう、それは結構―――」

ミレーの女の声に皮肉めいた色を僅かに感じたが、彼女の心情に沿うのは自分の仕事ではない
むしろ、脱出の際、手向かってくれば障害になりそうな彼女を仮面の奥の瞳が値踏みするために一瞥してから、
ふっ、と人好きのする笑みを浮かべれば彼女から離れていく…まあ、出たとこ勝負だな、とクラブ内へと視線を向けた

上等な酒に料理、綺麗所ばかりを集めた店内に視線を彷徨わせ、舞台の上に目当ての女を見つければ、舞台に向かって
歩いて行き無遠慮にその上に乗り上がる

「よっ、と…そちらのお嬢さんに用事があってね…
お楽しみの所、失敬、旦那方…」

中年の貴族2人を引き剥がせば、女を抱くようにして頬を軽く叩いてみるが、返事はない

「可哀想に…薬か」

懐から取り出した気付け薬の満たされた小瓶の栓を抜き、己の口に含めば、女に口付け無理矢理に飲み込ませる
女の乱れた金髪を撫でれば、碧眼が此方を見上げて何かをか細い声で伝え、それを聞けば女をその場に横たえ立ち―――

「さて、今宵の乱痴気騒ぎはこれまで…故あって、この女は貰い受ける」

ボディチェックを受けなかったのが幸いした
コートの内側からするり、と隠し持った片刃の短剣を抜き放てば切先を周囲の貴族や従業員に向ける

「手向かうものは殺す、我こそは、と思うのであれば行く手を阻むがよろしかろう…女一人と自分の命、天秤にかけてよくよく考えることだ」

一通り、口上を述べれば客達は喚くやら叫ぶやらちょっとした混乱状態に陥る
そんな様子にかかっ、と楽しげに1人笑えば、横たえた女に自分のコートを羽織らせ、脇にひょいと抱き舞台を降りる
もう片方の手にしっかりと短剣を持ち周囲を威嚇しながらドアへと近づいていく

ミシェル > 何やらこちらを検める様な視線に、嫌悪の表情を浮かべる前に視線をそらしていく。
だからこんなところに来る輩は全て嫌なんだと心の中で呟きながら、再び鍵をかければ壁に寄り掛かる。
どうやら目当ての女がいたようだ、彼もこうして欲望に塗れるのだろうと思っていれば、まさかの誘拐をおっぱじめるのだから目を見開いて驚き、壁から離れた。
短剣を差し向けられた客や従業員たちは多少は恐れるも、恐怖の表情は薄い。

「殺すね、そんな短剣一本で何しようってのかしら?」

シャリンと金属がこすれ、滑る音を響かせながら試作型のブロードソードを引き抜いた。
このまま連れ去ってくれても構わないが、ここでミスをすれば組合に迷惑をかけてしまう。
腰につけた機器へ手を向けると、魔力で生成されたナイフが生まれ、それを一つ握りしめれば彼へと向ける。
先に抜いたブロードソードは、柄についたトリガーを引き絞り、増幅弾がバツン!と小さな破裂音を響かせ、刀身をマグマの様に真っ赤に染め上げた。
一瞬だけ超高温を宿す魔法、その刃の先はドアノブだ。
カツン!と竹を割るかのように金属のドアノブを切り裂けば、ロックが掛かったまま開かない扉へとなり、退路を立つことになる。
その分の経費は高いかもしれないが、泥を塗るよりマシと確実な手段を取りつつナイフは向け続けた。
何か仕掛けようものなら、彼の足元目掛けて投擲するだろうけれど。

スヴェン > ドアに近づけば案の定、というか当然、傍にいた彼女が立ちはだかる
ま、そうなるわなあ…と思いつつ肩を竦めてみせた

「…見て判らんか?女を攫って逃げようとしている」

壊れるドア、退路を絶たれたとわかればわかり易く肩を落とし、仕方ない、と抱いていた女を脇に下ろす
短剣を逆手に構え直すと軽く腰を落として彼女と対峙して、その場を動かぬ構えを見せた…自分は時を稼げば良い

「…あんたも女だろ?こいつら貴族や慰み者になってる女を見て、思う所は無いのか?
俺も知り合いにミレー族の連中がいるけど、面倒なくらい誇り高い連中だぞ?
それともアレか?扱いの酷さに何処かに誇りを置いてきたか?ん?」

攻撃はせず、ひたすらに口撃、時間稼ぎに転じる
クラブの周辺は仲間が固めている…おかしい、と思えば何れはおっとり刀で駆けつけてくるはずである

ミシェル > 「えぇ、見れば分かるわ」

ドアノブを破壊し、退路を断って直ぐに魔力のナイフは光となって消えてしまう。
長くは形状を維持できない弱点を晒しつつも、一瞬だけ足を止められれば良いので構わない。
ブロードソードの切っ先を向け直すと、数歩前へと出て、ドアからつかず離れずの距離で、じっと相手を見つめて警戒する。

「…ないとはいえないわ、だからって私が私情で仕事を投げると困る人がもっといるの。ここの奴らには反吐が出るけど、今は仕事しなきゃいけないのよ」

今はタイミングと立場が悪い、それさえ異なればこんなことをすることもなかっただろう。
せめて、普通の牢屋にぶち込むためにも、自分が捕らえないと彼の身が危ういとお節介な事を考えつつ、苦笑いを浮かべながら再びトリガーを引いた。
鍔の辺りから緑色の魔法陣が広がると、その周囲から緑色の光弾が5つ浮かぶ。
それは彼の足元目掛けて飛来していくが、当たってもダメージも何もない。
寧ろ、その後が狙いであり、被弾したところから植物のツタが飛び出し、彼を蔦の鎖で絡め取ろうと5つの蔦が襲いかかるだろう。

スヴェン > シンプルな彼女の返事にそうだろうとも、とでも言いたげに頷く
ドアノブの破壊と良い、彼女の手の内で消えたナイフと良い、彼女は魔術を使うようだと判れば男はより慎重になる
こんなつもりじゃなかったなあ、と胃が重くなるのを感じつつ彼女には勿論、脇に寝かせた女に近づく者への警戒も怠らない

「…仕事は熱心結構なことだ…律義者め」

彼女が浮かべる苦笑いに気がつけば、僅かばかり男は口角を釣り上げた
四の五の言わず、此方に飛び掛かって事ないあたりを見れば、彼女にも思うところはあるのだろう
もう1つ、2つ、問答を繰り返せば彼女を心変わりさせられるかもしれない…とまでは行かずとも、時間は稼げる
―――口を開こうとすれば、カチリ、と引かれるトリガー。咄嗟に身構えるも光弾は足元をすり抜けて行き、背後から植物の蔦が迫った
何っ!?と慌てる間もなく…足に絡みつく蔦に動きを封じられ、蔦が手に届く前に素早く手に持った短剣を、
せめて一矢報いようと彼女に向けて投擲する

短剣を手放してしまえば、身体をそろり、と蔦が張っていき少しずつ身体の自由を奪われていく
一歩踏み出そうとしたタイミングと不幸にも重なり、救出しようとした女の方へと膝をつくような姿勢になれば、さて、どうしたもんかな、と考えた

ミシェル > 周りの従業員やら客やらは、やはり恐れこそするが、彼に襲いかかろうとはせず、ただ慄くばかり。

「仕事は最後までやらないと、次の仕事がもらえないそうよ。 律儀にもなるわ?」

このまま跳びかかって彼を切り捨てるほうが話は早いが、それでは少々彼が不憫に感じる。
だから拘束し、自分が信頼できる警備の者へ付き出したほうが彼も早く釈放されるかもしれない。
そんなことを考えながらの拘束魔法を放てば、思った通りの展開とほぼ相成るが。

「っ…!?」

放たれた刃を直撃しないようにと身をよじれば、肩をナイフがかすめていき、鮮血が白い肌を伝い落ちる。
神経などを傷つけなかったのは幸いなことだろう。
左肩の痛みに顔を顰めつつも、膝をついて絡め取られた彼へと近づいていけば、その切っ先を首元へ突きつけようとする。

「無駄な殺しは嫌なの、大人しく捕まってもらえるかしら?」

チェックメイト。
そう言いたげに剣を突きつけながら問う表情は、少々憂いを秘めたものだ。
やはり、誰かを助けようとするのを挫くのは心が苦しくなる。
無血降参を強請ったのは、そんな心を少しでも落ち着かせるためかもしれない。

スヴェン > 「このご時世、1つ2つ、仕事をダメにしたって幾らでも雇い手なんているだろうに…」

ましてや彼女はミレーの戦士である
戦場は今でも兵士を消費し、供給を求めている…そんな場所ならば幾らでも仕事はあるだろう
………等と言っているうちに、あっさり、彼女の魔術に捕まり、蔦に雁字搦めにされて自由になるのは指先と口先位…
男の投擲した短剣も彼女を捉えはするも致命傷には至らず、僅かに鮮血を滲ませる程度のものであった

「…そうさな、あんたに行き届いた世話をしてもらえるならそれも悪くはないんだが―――」

見れば美しい銀の髪をしている
人間もミレーも偏見を持たない男がそんな減らず口を叩けば、どぉん、と鋼鉄製のドアを外側から叩きつける音が響く
二度ほど、鈍いその音がクラブに響き、勢い良く鋼鉄製のドアが外側から破られれば、
ぬ、と2mはあろうかという、巨人族の血の交じる男が現れる

『…ばっかでー、隊長捕まってら』

その脇から小柄なミレー族が同じように現れれば、その手先から、ころ、と紙製の丸い玉を2つほど店内に転げ入れた
―――玉から伸びた火縄にはパチパチと火花が散り…

「…ちょ、ちょっと、待て―――」

最後まで果たして言い切れたかどうか
咄嗟に横たえた女の方へ女の身を庇うように倒れ込めば、けたたましい音と強烈な閃光が室内を支配する
閃光と大音量に店内の諸々が気取られている隙を見て、大男が蔦に捉えられた男をひょいと抱え、
女の方を一見では男とも女とも付かぬ小柄なミレー族が抱えると一も二もなく姿を消すのであった―――

ミシェル > 「組織だとそうはいかないでしょう?」

使い捨ての歩兵ではなく、選び抜かれた精鋭としての仕事。
最近の王都を語るような言葉に苦笑いを浮かべつつ、相変わらずの軽口に呆れたように肩をすくめた。

「嫌よ、私はそういうことしな…っ!?」

手錠を手に近づいた瞬間、ドアを叩きつける音にびっくりして振り返れば、二度目の轟音と共にドアがはじけ飛ぶ。
入ってきた巨大な男に新手かと引き締まった表情で剣を構えるものの。

「っ!?」

まばゆい閃光と強烈な破裂音。
光はどうにか目をやられる前に閉じたから良かったものの、音はうさぎの血が混じっているのもあり、かなり強烈に三半規管を狂わせた。
よろりと膝を付いている中、あっという間に逃げていく彼らを止めることは出来なかった。

「……やられたわ」

浮かべた苦笑いは、何処か嬉しそうなものだった。
流石にこの準備が行き届いた襲撃を一人で収めるのは不可能。
最低限の義理立てをしながら、強引に開かれた扉をみやり、慌てふためく客と従業員の中、笑みを深めていきつつ…用心棒もすんなりと終わるのだろう。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 秘匿されたクラブ」からミシェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 秘匿されたクラブ」からスヴェンさんが去りました。