2016/02/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にシャルロットさんが現れました。
■シャルロット > 王都マグメール、富裕地区に位置するとある社交クラブ。
一見、よくあるサロンのようにも見えるこの建物には、富裕層の間でまことしやかにささやかれる噂があった。
……なんでも、この建物には秘密の地下室が存在し、そこでは連日連夜、魔族を崇拝する者や王都に
隠れ潜んでいる魔族が集まり淫蕩な宴を繰り広げているというのだ。
(やれやれ、まさか本当に実在していたとは。)
今宵、その疑惑の社交クラブの地下へと続く、らせん階段を降りる者があった。
上等な革でしたてあげられたコルセットドレスになめらかなシルクの黒いタイツ。今宵、顔を隠すための目元を覆うマスクを身に着けた貴族の女。
シャルロット・タールハイムは噂が本当だったことに少しだけ驚きを感じながら、ゆっくりと歩を進める。
(さて、伯爵の弱みを少しでも知ることができるといいがな。)
この秘密の集まりにシャルロットが参加したのはなにも歪んだ欲望からではない。
目的は一つ、現在政敵となっている敵対貴族がこのクラブにご執心という情報を掴んだからだ。
最初こそ、ただの噂と一笑に付していたがふと思い立って調査をさせたところ、
徐々に、存在が真実味を帯びてきた。実際に、魔族が出入りしているかは分からなかったが、
そんなことはどうでもいい。
このクラブを告発さえしてしまえば、出入りしていた政敵に魔族と関係していた裏切り者の
烙印をつけることは容易いからだ。
■シャルロット > (さて……。)
最下層につくと緻密な彫刻が施された鉄製の扉があり、それを押し開ける。
扉の中から倦んだような温い空気と、香の匂い。そしてそれでも消しきれぬほどの濃厚な性臭と……女の嬌声が漏れ聞こえてきた。
中は劇場のようになっており、広い部屋の奥には一段高くなった舞台がある。
そこでは奴隷らしきミレー族の女が、男に組み伏せられていた。そして、周囲ではそれを見ながら、
貴族たちが酒をくらい、ときに下品な罵声を舞台上へと投げかけている。
(……悪趣味だな。こうしたクラブは珍しい事ではないと聞くが……。
とはいえ、ありがたい。これなら、伯爵の『華麗なる経歴』に傷をつける事も容易かろう。)
内心ほくそ笑みながら、目立たぬように端の席へと移動し、
来ている客の中に『伯爵』がいないか確認する……。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にリドさんが現れました。
■リド > そこの噂を聞いたのはいつだったか。
淫蕩な宴と聞いて興味が湧き、表面ばかりは貴族に扮装して足を運んでみた次第。
地下深く、鉄製の扉の向こう。
開くと濃厚な性の香りに、微かに下腹部が疼いた。
「………中々、素敵ね………」
小さな呟きは貴族達の声にかき消される。
室内を見渡し、あまり目立たない場所――端の方へと移動する。
向かう先には先客がいたが構わない。彼女の隣に腰掛けた。
「………ごめんなさい。隣、座らせてもらうわ」
仮面をつけている為か、まだ彼女が知った顔とは気づいていないらしい。
視線はステージ上、組み伏せられるミレーの女へと向けられた。
■シャルロット > 「あぁ、好きにするとい――ん……?」
隣に座る一人の女。
自身の立場で言えたものではないが、女性の身でこんなところに好き好んでくるとは、
なかなか、いい趣味を持っている者だ。と心の中で一人ごちたがその顔を見て少し驚き。
「リド……?」
思わず、名前を口に出してしまう。
■リド > 「………ん?」
名を呼ばれた。驚いたように、隣の女性の顔を見遣る。
そこで漸く――仮面の向こうに何者がいるのかを知った。
「………シャル?……変なところで会うわね」
何故彼女がこんなところにいるのかはさておいて、こうしてまた会えたことが嬉しいのは違いない。
笑みを浮かべながら少しばかり距離を詰めた。
■シャルロット > 「シャルはやめてくれ、その呼び方は呼ばれ慣れていないんだ。
それにこの場で、名前を出されるのはまずい。」
親し気に自身をシャルと呼ぶリド。
内心うれしさと気恥ずかしさを感じながら、それ以上の発言を制するように
唇の前で人差し指を立てて見せて。
そして、ちょうど距離を詰めてきた彼女に耳打ちをする。
「このクラブには私の『敵』が入り浸っているという噂があってね。
……いわゆる潜入調査をしているんだ。名前がばれてはすべておじゃんになってしまう。」
■リド > 「あら、そう。じゃあ後で……ね?ふふ」
少しばかり意味深な笑みを浮かべながら、立てた指を唇に触れさせる。
そうして耳打ちをされれば理解したように周囲を見渡し……
「……なるほど。でも幸い、男どもは向こうに夢中」
向こう、とは言わずもがな、ステージ上の狂宴のことである。
「手伝う?特徴を教えてくれれば、私でも探せるわよ」
■シャルロット > 「いや、大丈夫だ。それとなく探りを入れてみたが
どうやら今日は『敵』は来ていないらしい。これから来るのかもしれないけれどね。」
どうやら今日は、シャルロットの政敵の一人『伯爵』の姿は見えないようだった。
あまり長居したい場所ではないが、せっかく友人に会えたのだ。いっそ、ただの柄の悪い
酒場と割り切ってしまうのも、悪くはない。
「……折角だ、お酒でもどうかな。
おっと君、私にミードワインを。こちらの夫人には、ううむ、何がいいか。」
ちょうど近くを通りかかった、殆ど下着姿のような淫らな恰好の給仕に声をかけて。
■リド > 「あら、そう。なら一息つけるわね」
その敵とやらの顔をこの目で拝んでみたい気持ちもあったが。
とはいえこのような奇矯な場で友人と会えたのは確かにラッキーでもあった。
「……そうね。私も同じものを。折角だもの、楽しく飲みましょ?」
淫らな格好をした給仕に自然、目は行く。仕方の無いことだ。
注文を得て去っていく背を見送れば、こつ、と肩を触れ合わせるようにして座る。
「それにしても妙なクラブね。興味本位で来てみたけれど……」
■シャルロット > 「あぁ、まったく悪趣味なクラブだよ。
なんでも魔族と繋がりがあるとかないとかね。まぁ、本当かどうかは疑わしいところだが。」
魔族。人間に牙をむく、恐るべき力を持った闇の住人達。
近年ではマグメール王国の政治中枢にすら、その姿を偽装し潜り込んでいるとさえ言われている。
その圧倒的な力に惹かれるのは分からなくもないが、それと、この悪趣味なクラブはまた別の話だろう。
と、ここで頼んでおいたミードワインが運ばれてくる。
蜂蜜から作られたこの酒は、非常に歴史が古く原始的なもので一般的に飲まれもするためリドも恐らくは口にしたことがあるだろう。
ちなみに滋養強壮作用があるほか、一部の地域では祭礼の際に飲まれたり、格式高いものとされたりする場合もある。
「ん……おいしい……。」
当然、貴族が利用するこのクラブで出されるミードワインは市井のそれとはちがい、
ハーブやスパイスなどがふんだんに用いられ、普段のみなれたそれとは違う味わいであることだろう。
■リド > 「ひょっとしたらこの中にも、魔族が紛れ込んでいるかもしれないわね」
冗談めかして、ふふっ、と小さく笑い声を零す。
過去に魔族と接触がないわけでもないので、その力や魅力なども一応は知っている。
運ばれてきたミードワインを受け取り――その蜂蜜の柔らかな香りに表情を緩ませて。
しかも市場に出回っているそれとは異なる趣、味わいに舌鼓を打つ。
「……本当に、おいしい……」
ふんだんに用いられたハーブ類を堪能しながら、ふと彼女に誘いかける。
「そうそう。私、富裕地区の宿に今泊まってるのよ。良ければこの宴の後にでも来ない?」