2015/12/18 のログ
ご案内:「富裕地区 ナイトクラブ『ミニュイ』」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
■チェシャ=ベルベット > 富裕地区にあるナイトクラブ。そこそこお上品な客人たちが、下品な性欲のために訪れる場所でもあるそこにチェシャはいた。
いつものつんとした取り澄ました様子ではなくどこか上気した頬に
視線の覚束ない様子。カウンターのバーで一人ミルクを舐める様子にもどこか浮ついた婀娜っぽさがある。
端的に言えば発情期であった。
年に何度かあることではあるし、猫に近いミレーなのだから仕方ないのだがこれがうっとおしいことこの上ない。
生まれてから奴隷だったチェシャはもちろん性的な虐待も受けているのでなおのことその目覚めが早かった。
本来なら主人に奉仕すべき時ではあるが自分の催すもので主人を煩わせたくはないという一心で
こういう性処理は娼館などで一時的にしのぐのが常である。
女だろうが男だろうが構わないが、できれば自分を無茶苦茶にしてくれる相手がいい。
こういうどうしようもない欲望に浸る自分が一番チェシャは嫌いだった。
■チェシャ=ベルベット > 別に娼婦を買ってもいいのだが、どうも自分はあまり淫らな女性には乱暴にしがちだ。
せっかく買っても娼婦から二度と触るなと終わった後怒られることもたびたびある。
そうすると後から娼館の出入り禁止などもあって非常に面倒なのだ。
どうせなら行きずり相手がいい。あとくされがない方が楽だし
自分をモノのように扱ってくれる相手のほうが
下手に同情や慰めをされるよりもはるかに気休めになる。
いっそのこと一時偽名で男娼として登録でもしようかと考えたこともあるが
主人の仕事に差し支えることを考えるとやすやすと踏み出すこともできない。
そしてそのぬかるみに嵌っていくことをなけなしのチェシャのちっぽけなプライドが拒み続けている。
そのおかげで苦しんでいるのだからつくづく馬鹿だなぁと思うのだが。
■チェシャ=ベルベット > フロアの中を横切っていく人々を眺める。
男、女、老いも若いも、美醜も関係ない。
金があるものとないもの、あるものが支配し無いものがその身を捧げる場所。
持たざる者は己の身の振り方も選べない。
好き嫌いなど問われることなく自分の身を客にゆだねるほかない。
それを思えばなんと自分はえり好みできる立場であるか。
だがその立場に立ったのも自分の努力と運によるものである。
だからこそチェシャは最適な形で行使する。
空になってミルクのグラスにおかわりを要求する。
懐から丸薬を取り出して2,3粒ミルクと共に飲み下した。
発情をなるべく抑える薬。だがそれも一時的なものだから後になって押さえつけた反動が来る。
飲みすぎるなという主人の忠告はありがたいが、まぁ大した体でもなし、遠慮はしない。
■チェシャ=ベルベット > 誰もひっかかりそうにないな、と溜息をひとつ。
今日は運が巡ってこなかった。ほっとしたような残念なような気分だった。
席を立ちあがり勘定を払いかけたその時、後ろから中年の声がかかる。
振り向けば貴族と思しき良い身なりの男。脂ぎった腹が突き出て、その左右に若い女たちがくっつきあいながら侍っている。
頭の中ではその男の顔に唾を吐く想像をしながら
チェシャは努めて客引き用の笑顔を向け、淫蕩に口元を歪めて笑った。
そうして彼らに交じって別の階の個室に入ってゆくのだろう。
だがきっとここでは誰もそんなことを見おぼえることも無い。
それがここの日常茶飯事だから。
ご案内:「富裕地区 ナイトクラブ『ミニュイ』」からチェシャ=ベルベットさんが去りました。