2015/10/22 のログ
ご案内:「ナイトクラブ『ブラック・ベリィ』」にロゼッタさんが現れました。
ロゼッタ > (広いホールに煌々と輝くミラーボール。腹の底まで響く重低音の音楽。ホールの真ん中に備えられた円状のステージに、少年と少女が一人ずつ。全裸に首輪だけを付けた二人は、呆けた表情で向かい合って、舌を突き出し絡ませて。身体をくねらせ、弄って、互いの情欲を貪っている。ステージを囲むのは上質なソファ、そこに座った男共は、酒を飲みつつショーの鑑賞だ。 なんて醜悪な世界。 ホールの隅っこに身を縮めて佇み、顔を顰める。)

………下劣だ…。

(此処のクラブのオーナーになり数か月。時折ショーを見物するが、未だに全く慣れない。金のためとはいえ吐き気がする。今日は、特に――― 大勢に囲まれ性交渉をする様子を見ていると、先日自分の身に降りかかった災難が思い起こされて。汚い欲を叩きつけられ、己も欲に染まっていた、あの日を。)

……ぁあ、

(嗚咽のような溜息を吐いて、ロビーに出た。ショーの最中なので誰も居ない。受付もどこかに出払っている。薄暗い間接照明が照らすロビーでソファに座り込み、頭を垂れた。ホールへ続く分厚い扉から、獣のような嬌声と野太い歓声が聞こえ―――顔を顰める。)

ロゼッタ > (耳を塞いで座っていたら少しだけ気が紛れた。とはいえ漏れ出てくる音楽は腹に響いて鬱陶しいし、すぐそこでいかがわしい行為が見世物にされていると思うと、ぞわりと悪寒がする。そんなパーティを開く娯楽施設として指定したのは自分だし、オーナーを名乗り出たのも自分だ。全て自らまいた種なのに、咲いた花が予想以上に汚らわしいと、理屈どうこうそっちのけで気分が悪い。)

………煙草…。

(取り出して、ロビーは禁煙だったことを思い出し、舌打ちをする。正面の扉から外に出れば、冷たい風が身体の前面に吹き付けてきた。街灯さえほとんどない路地は暗く、月明かりだけが密かに己を照らす。―――寂しい場所だった。富裕民が多い地区とは思えない。こんな場所に自分がいると思うと、泣きたくなる。取り繕うように煙草に火をつけ、思い切り煙を吸った。……何だか不味い。)

ロゼッタ > (仕事はまだ、ある。捌かなければいけない案件がいくつも。でももう少し―――1本だけ。ゆっくり吸い終えたら戻ろう。今日仕事を片付けるには些か覚悟がいる。朧月を見上げて、煙草の煙は器用にも円の形で、ぽっかり、ぽっかり――― 嗚呼、もう少し。)

『オーナー。』

(背後の扉が開き、黒スーツにサングラスの男が姿を現す。腑抜けた表情を瞬時に引締め、其方を睨んだ。)

何だ、休憩中だぞ。
『一人の客が、要求にそぐわないと暴れています。』
はあ?そんなことを逐一報告するな、用心棒を使えばよかろう。
『それが、人手が足りず…今日いる人員では抑えが利きません。』

(大袈裟に舌打ちをする。人件費をケチった結果がこれだ。半分程しか吸っていない煙草を足元に捨て、踏みにじりながらネクタイを締め直し、)

セルゲイ氏に連絡しろ。至急、若い衆を数人寄越せと。それから暴れている客のデータを寄越せ。今日はいくら払ってる?

(矢継ぎ早に指示を出しつつ、開け放たれた扉を潜った。頬を引っ張って柔和な笑みを繕い、さあ、息を吸いこんで――――  長い長い夜が始まる。)

ご案内:「ナイトクラブ『ブラック・ベリィ』」からロゼッタさんが去りました。