2023/07/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にメレクさんが現れました。
■メレク > 大富豪たる奇特な貴族が自らの私財を投げ打って、
市井の民から没落貴族まで見所のある者に対してパトロンとして支援を行なっている。
傍から聞けば、何とも美談であり、何とも胡散臭い話である。
だが実際、その貴族の眼に叶い、成功した者達の話は少なからず王都に存在していた。
貧民区の乞食だった者が繁華街の一等地で暖簾を構える大店の番頭となり、
装備も整えられずに万年低級だった冒険者のパーティが魔竜討伐の功績を挙げ、
家が傾いて家人も離散した没落貴族が見る間に身代を持ち直したという話もある。
そして、今、その貴族邸宅に招かれたのは幸運にも白羽の矢が立った者である。
立派な招待状を持参した執事と用意された豪勢な馬車に揺られて豪邸に足を踏み入れた後、
贅沢にも彼女の為のみに沸かされた風呂にて身を清め、誂えられた瀟洒なドレスに袖を通し。
案内された部屋には、屋敷の主たる貴族が二人掛けのソファに腰掛けて高級ワインを嗜んでいた。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からメレクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 王都マグメール、富裕地区。
この王都において、一応は、治安の良い地区、とは言われているらしい。
まぁ、どんな場所でも言える事だが、何もなければ何もない、何かあれば何かある。
世の中、そんなものなのだ。
ともあれ、そんな富裕地区、大通りから、少し離れた路地の奥。
通りから覗き込み、目を凝らして見れば分かるだろう。
ころころと、何か丸い物体が、曲がり角の向こうだろう、転がって行くのが見えるのだ。
それこそが、何かあるか、何もないかの境、とも言えようか。
気のせいだろう、そう思えば何も起こらない。
不思議に思い、少し奥に入った程度、大丈夫と向かって行けば。
更に奥、次の曲がり角に、その何かが転がって行ったのが見えるだろう。
それこそ、それがはっきりとは見えなくて、気にさせる。
それを狙っているかのような、絶妙なタイミングで。
■タマモ > ちなみに、そうした事象に、魔力の感知には、何も掛かる事はない。
もちろん、霊的なものに関しても、同じ事である。
そもそも、それが何なのか…
偶然、周囲の建物に住み、それを目にした、とかあれば分かるだろう。
転がっているのは、ただの丸いボールっぽい何か。
素直にボール、と言わないのは、それを分かるものには別の表現で呼ばれるものだから。
言ってしまえば、綺麗な柄に飾られた鞠である。
そして、感知に引っ掛からないのは。
それが魔力でもなく、霊力等でもなく、実は妖力でもない、念力で動いているからだ。
つまりは、あれだ、いつもの撒き餌。
気紛れの悪戯に付き合わされる、憐れな犠牲者の。
■タマモ > 「さて…今日は、どうしたものか…」
そんな状況を、遠くから眺めているのは、一人の少女。
良く見渡せる、少し高めの建物の屋根の上。
屋根の縁に腰掛ける、一見、少し危なさそうな姿。
腕を組み、ぽつりと呟き、思案する。
その内容は、まさに、今の呟きにあった。
進む先に、見えない紐を引き、足を引っ掛け転がすか。
簡易的な、落とし穴でも良いだろう。
中身は…まぁ、落ちたらずぶ濡れとか、昆虫塗れとか、粉塗れとか、そんな感じか?
後は何か…周囲を見通しの悪い闇で覆い、音で脅かし、追い回すのも面白いか。
もちろん、普通に?いつも通りの悪戯でも良い。
考えて、誰か来るとも限らないが。
誰か来て、それから考えるよりは、少し余裕が出来るだろう。