2023/07/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にクレイドルさんが現れました。
■クレイドル > 王都マグメール。富裕地区。
資産家や貴族などの御用達となっているオープンテラスのカフェ。
紅茶一杯と焼き菓子だけで、平民地区ではご馳走をお腹一杯食べられる狂気の価格設定。
今日の時刻は昼を過ぎ去って、空に輝く太陽も大分傾き出している。
そんな場所で寛いでいる面々と言えば、多少ながらに名の売れている富裕地区や外部から来た著名人などが目立つのだが。
その場に少し他とは異なって浮いているシスター姿の女が一人、パラソルの日陰下の白いテーブルについていた。
「ん~♪お上手お上手♪とーっても御上手ですわ~♪ちゃんとテーブルマナーが出来てて、何て良い子なのでしょう!」
それも子連れとなれば愈々目立って来る。
連れているのは娘であり、見掛けの年となれば年端も行かぬ10歳未満。
褐色の肌色の瑞々しく美しく顔立ちが整っている。
富裕地区で買える仕立ての良い子供用のドレスに装っているが、その手の甲には淫魔に呪われている証である紋章が刻まれていた。
まだ無邪気そうな笑顔を湛えて、テーブル上の給仕された御茶と果物のタルトに食器を使って手を着けている。
じっくり丁寧に教えた作法の通りに。
「流石わたくしの産んだ子供…♪世界に生誕した唯一無二の宝…輝ける宝石の原石、太陽すらも目を眩ませる麗しさですのよ♪可愛い可愛いですわ…♪」
溺愛っぷりの極みに腕に抱き寄せて、御菓子の屑塗れのほっぺたに頬ずり頬ずりとしていた。
べたべたに撫で付けて褒めそやし、美しく着飾り、生活には少なくとも苦労はさせていない。
何もかも他人から盗み取ったDNAの絡み合った結晶に感嘆の息をほう、と、吐き出しながら、糸目の眦をでれでれと下げっぱなし。
■クレイドル > 「ふふーふ♪気を付けて行くんですのよ~♪悪い人に御菓子をあげると言われてもついていっては駄目ですわ~♪」
そして家族のスキンシップと憩いの団欒を暫く過ごした後に、その娘を見送る事になる。
連れて来たのは娘だけではなく、どう見てもシスターに似ていない異種族や、
ローブのような衣装に身を包み全貌までは見えないが、到底に真っ当とは思えない風貌の者まで居た。
共通点は全てが子供達という事であり、伴い連れ立ち、仲親しそうに和気藹々としながら歩き去って行く。
子供達だけの時間と自主性を重んじ育む時期。ぶんぶん手を振りながら雑踏に紛れる一団を眺め渡していた。
「……子供は至宝。そこに居るだけで良い存在…あの子達の兄妹をもっと、ええ、もっともっと増やしてあげませんと…♪わたくしにお任せ下さいまし…♪」
恍惚にとろりと表情を崩して笑いながら頬を片手に首を傾ける。
そしてテーブルの自分の分、子供達に意識を割き過ぎて飲むのを忘れていた冷え切った紅茶のカップに手を着け。
それをソーサーと一緒に持ち上げ、改めて口を着けながら辺りにへと目を配っていた。
より育むに相応しい血の在処を求め、黄昏時を迎えたオープンテラスより窺える富裕地区の路上にへと。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からクレイドルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区「地下サロン」」にビーンさんが現れました。
■ビーン > 事の始まりは数日前。
冒険者ギルドでお仕事を探していたら、なんだか妙に給金の良い給仕の募集があった。
荒事無し、制服支給、未経験歓迎。基本給+チップ。
等という妖しい文句も、金色の輝きには褪せてしまった。
其れがそもそもの失敗であったがそれを気付いた時にはすでに手遅れ。
普段のローブで集合場所に行き、出された紅茶を飲んだ時に訪れた眠気。
目を覚ました時に最初に目に入るのは椅子に座った女の子。
但しよく見て見れば其れは鏡で自身が着ていた服の面影も無くなんだか可愛くお腹が露出するピンク色のバルーントップに、足元が涼しい膝上丈のバルーンスカートと素足に白いサンダル。
控室に置かれた鏡の前には頬にうっすらと紅のチークが乗り
透明な星やハートのラメ入りグロスで彩られた唇。
唯一の救いは降りた髪の毛で少年の瞳や目尻に入れられた濃い紅のアイライン。
薄い胸も膨らんだ生地により何となく胸もありそうに見える。
露出した腕や肩、お臍にもなんだかうっすらとラメが乗っているのか控室の明かりでちらちらと光を帯びている。
「え、何? え… ぇ…」
何となくスカートが恥ずかしく裾を引っ張ってみるも、伸びるわけも無く。
普段自分が来ている半袖短パン姿よりさらに露出が多い上に女の子の服である。
「なんで化粧までされてるの…? 女の子の服を着て給仕を白っていう事? 確かに制服?支給だけど…」
羞恥に赤く染まる肌はチークの下の頬や露出する肩や腕を僅かに朱に染め妙な色香を放っている。
ふるふると、小さく頭を振ってから立ち上がると、やっぱりスース―して、少し内股になってしまう。
戸惑っているママに時間が過ぎ終わればいいがそんな都合のいい事も無く視線を滑らせると傍のテーブルの上には一枚の紙。
座席の配置と番号が掛かれ、自分の番号とばかりに印の付けられた場所と、今自分がいるであろう場所に印が着いた小さな地図。
それを見ている内に控室からサロンに通じる小扉の鍵が開く金属音。
取っ手も握り手もない小扉はそれだけで、蝶番を軋ませながら勝手に開いていく。
背後の扉は、開きませんということを主張する様に内側にこれみよがしにがっちりとした分厚い錠前が駆けられている。
「うぅぅ…水着より恥ずかしい…」
そんな事を呟きながら、不安そうな瞳のまま、胸元で指を絡ませる様に手を組みその中に地図をクシャりと納めてからそろりそろりと進み、隙間からサロンをのぞき込む。
そこにいるのは様々な性別に年のころの人々。
一テーブルに一人、ワインを飲んでいたり他の女の子?を膝にのせていたり、恥ずかしがる様を見ながら愉しんでいたりと色々。
給金が高いということは失敗した時の罰金も高くなるということにはたと気づけば気が遠くなりそうになる。
倒れれば其れこそ依頼失敗で多額の罰金となればおちおち倒れる事もできないと、目尻に涙を溜め視界を歪ませながら自身の担当するテーブルへと向かっていく。
■ビーン > そうして少年が闇の中淡い光によって照らし出されるテーブルに向かって歩いていくのであった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区「地下サロン」」からビーンさんが去りました。