2023/07/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にユンジェンさんが現れました。
ユンジェン > がん、がん、がん、がん。けたたましい音が響いている。
何事かと思って視線を向ければ、そこには身の丈より大きなハルバードを携えた少女が、
その物騒な得物の柄を金槌代わりに使って、道端に無許可の立て札を設置しているのである。

「結局、買ってしまいましたが……わざわざタナールまで戻って試すのも……遠いので……」

突き刺した立て札に書かれている文言は以下の通り。
『武勇の士を求む。報酬は無し。私から奪い取ることは可』。
つまりは、腕試しの相手募集、報酬は力尽くで好きに選べとそういうことだ。

ユンジェン > ──その内気付けば、看板の前で座り込んだまま、うとうとと船を漕ぎ始めていた。
幸いにして富裕層ばかり集まる行儀の良い地区。
眠っている少女の懐から財布を盗もうという、不届きな命知らずもさほどはおるまい。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からユンジェンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にメレクさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からメレクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にメレクさんが現れました。
メレク > 王都の貴族邸宅にて行なわれている舞踏会。
普段よりも照明を落とした薄暗いホールには管弦楽団による艶やかな音楽が鳴り響き、
華やかなドレスで着飾った男女が肌が触れ合う程に身体を近付け、会話や舞踏に興じている。
彼等は皆、一様に仮面を付けており、己の素性が何者であるのかを分からなくしていた。

表向きにはやんごとなき者達の社交の場である夜会。
しかし、その実は有閑貴族達が一夜の享楽に耽るための集いであるのは明白。
貴族の他にも見目麗しい奴隷の男女や高級娼婦、事情も知らずに集められた女達が
出生地、人種も問わず、王国人以外にも北方帝国人、ミレー族や魔族まで、多種多様に混ざり込む。
そして、灯りの届かぬ会場の隅からは男女の熱い吐息や嬌声が、音楽の途切れる合間に漏れ聞こえてくる事だろう。

その会場の中央の壁際にて一人の男が二人掛けのソファに腰掛けて高級ワインを嗜んでいる。
でっぷりと肥えた身体に、節くれ立つ十の指に嵌めた豪華な太い指輪。
仮面で顔を覆っていながらも、正体を隠す意志が見られない彼は、この夜会の主催者である。
傍らに奴隷達を侍らせて、時折、近寄ってくる貴族達との他愛もない会話に興じながら、
男は快楽に堕落する人々の姿を眺めて、心底愉しそうに只々ほくそ笑むばかりであった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からメレクさんが去りました。