2023/07/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にクレイドルさんが現れました。
クレイドル > 富裕地区。メインストリートから外れた通り。
時刻は昼間から夜になろうとしている夕方。
しゃわしゃわと夏の虫の騒ぎ立てる声が聞こえる。
雨上がりの匂いが孕んだ蒸した空気が立ち込めていた。
建物の立ち並ぶ道の路傍に設置されている公共インフラの一部である木製のベンチ。
そこに一人のシスターがちょこんと端坐位で腰かけている。

「愛を求めるお方は居られませんこと…♪束の間の心と体の温もりを提供しておりますわ…♪」

その直ぐ隣には【Free Hug】という感じの意味合いのこの世界の言葉が書かれた小さな立て看板。
そして脱ぎ置かれてある白いブーツに折り畳まれたソックス。
シスターの足元には古い木の桶が置かれて、そこに並々と清水が注ぎ込まれていた。
そこに服のスカート部分から伸びる白い両足を揃え漬け込んで、納涼を得ながら呼びかけを繰り返している。
時間的に日差しは大分和らぎ、建物のひさしに遮られているが、それでも籠る街中の熱は高い。

クレイドル > 「ふふふ…貴方に、より多くの愛の恵みが在らん事を…♪」

人通りは余り無いが、時折にハグを求めて来る人間も居ないという訳でも無い。
その度にぎゅっと互いに腕を回して抱擁を交わし、軽い世間話を経た後に離別する事になる。
無料としてあるが、此処が富裕地区であるからか、善意で手持ちの小銭や、物資を置いて行く者も居た。
夏の盛りを迎えつつある中で熟したハミ瓜を、しゃく、と、口に頬張る。

「…もっと、抱き心地が良い方が…?このように…♪」

人ならざる存在にとっては自分自身の姿形など仮初に過ぎない。
植物の根のようにぐびぐびと音を立てて漬け込んである木桶の中から足を介して水を吸い上げる。
体内に循環させた水分をそのまま利用して、あっという間にむちむちと胸元の膨らみが一回り二回り程度大きくなった。
たぷん、と、片手の平で持ち上げる重みはみっちり濃紺色の生地を押し上げる程に量感を増す。
ウォーターベッドの中身のようなまろやかな柔らかさを持つそれに、少し後ろ向きに体を傾いで負担を軽減させ。
空っぽになった木桶の底を時々蹴りながら、散発的に過ぎ来る人間を観察する視線を長閑に走らせ続けていた。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からクレイドルさんが去りました。