2023/06/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 王都マグメール、富裕地区。
どの地区よりも街並みは整えられ、治安も良い地区だ。
…まぁ、後者に関しては、こうして己が居たりする時点で、かなり微妙な気がしないでもないが。

そんな少女が居るのは、豪華な店の並ぶ、少し外れた場所。
色んな用途に使う水の流れる、用水路だ。
場所が場所だけに、人の姿もそうは見掛けない。
居るとしたら、近道に使う誰かだったり、後は迷子だろう。

川から水が引かれたりしており、水場に居る生物も、ちらほらと姿を見かける。
そんな用水路の傍ら、柵に腰掛け、釣竿を手に、用水路を流れに流水に釣り糸を垂らしていた。
足元に、いつものタライが置いてないところを見ると分かるだろうが、別に釣って何かするつもりはない。

タマモ > ここで便利なのは、灯りが不要と言う事だ。
少しばかりの街灯り、それで己の瞳には十分映る。
軽く釣りをする分には、何ら不自由はないだろう。

もっとも、通るかもしれない誰かが居れば、灯りは必要かもしれない。
富裕地区とは言え、裏通りに近い場所、灯りもなしに薄暗い通りを歩く者は、そう居ない…と、思う。

「………お?」

くい、と釣竿の先が揺れる。
何かが、釣り糸の先、釣針に取り付けた餌に引っ掛かったようだ。
柵の上に腰掛けたまま、器用に釣竿を引き上げ、掛かった何かを手繰り寄せる。

「ふむ…」

釣り糸の先にぶら下っていたのは、一匹の小魚、名前は知らない。
もそもそと、釣針を取り除き、ぺたぺた触ったり、角度を変えて眺めたりした後。

「きゃっちあんどりりーす、じゃな」

ぺいっ、用水路の中に、放り込んだ。
さすがに、ここで食べられそうなものが釣れる、とは思ってないし。
夕食は夕食で、別にとる予定、問題ない。

タマモ > さて、後何匹か連れたら、夕食と洒落込もうか。
そんな事を考えながら、再び釣り糸を垂らす。

ただし、別の獲物が釣れたなら。
夕食は後回しに、楽しもう、こちらの獲物は返すつもりはない。
とか、そんな考えも、巡らせている訳だが…

そもそも、こんな場所に誰か来るのか、少々疑問だ。
確かに、日陰になって、日中はそれなりに涼しいが。
夜になっている今は、危険地帯にしかなっていない。
先の通り、近道とか、後は逃げ隠れするには、ちょうど良いのかもしれないが、それはそれ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にハクさんが現れました。
ハク > 「……む?」

それは本当にただの偶然だった。
『びーすとろあ』所属の娼婦として富裕地区での『パーティ』に『貸し出し』されて、48時間がかりの『仕事』が終わり。
3時間ほどの自由時間に限って富裕地区のある程度の散歩を許可されたために好奇心から路地裏などを覗き込んでいた時だった。

こんな綺麗にしている街でも路地裏には汚れがあるんだろうか、と思っていたがそんなことはない。
むしろその路地の先にある用水路の近くにある金色の人影が、もぞもぞと何かを……
見間違いではなければ釣りをしているのが見えたのだ。

(なんでこんな所で……?迷子って訳でもないと思うけど……)

戸惑う者特有の気配が感じ取れるわけでもないならば、この富裕地区に住む余暇人か。
しかし見た所獣の、自分と同じ狐系の耳が見えるとなればどういう存在なのだろう、と興味を引かれて路地裏に足を踏み入れる。
悠々としている所からある程度の強者ではある、のだろう、多分……と目星をつけて、気配は消さずにその少女に向けて歩いて近づき。

「こんばんはにござる。釣れるでござるか?」

そう声をかける。
声に反応して振り向いてくれたならば、金色少女よりなお小柄で。けれど首にはミレー族用の能力封印の首輪に、娼館『びーすとろあ』所属である事を示す文字列、そして名前の『ハク』と刻まれたものが目に入る事だろう。
首輪以外はごくシンプルなワンピースと白い靴下に黒い靴のみの特徴も何もないもので。
仕事の都合上、戦闘に向くもの等は許可されていないのだった。

タマモ > ぴくん、狐を模した耳が揺れる。
こんな場所に現れた、何者かに反応したからだ。
…まぁ、気配自体は、その前から感じていたのだが。
あくまでも、それは感覚で距離が分かる程度のもの。
正しくどこから、であれば、音か視覚も頼ってこそ。

ともあれ、やって来たのならば…

「おや、こっちに来るとは…
ここは用水路、釣れるは釣れるが、楽しむだけのものじゃぞ?
まぁ、釣れる事は釣れておるがな?」

ちらりと視線を向け、その姿を確かめながら。
掛けられる声に、思った事と、問われた事の答えを返す、少しだけの自慢気な態度と共に。
と、その際に視線に入ったのは、少女の首輪。
首輪の効果とかは分からないが、よく分からない文字列と、名前らしい文字は見て取れる。
そう、使う事もない娼館の事情は細かく知らない。
己が分かるのは、少女の名前と首輪で見て取って予想が出来る立場だけ。

「…しかし、お主、一人なのか?」

そして、続けて、そう問うてみる。
一人なのは分かっているが、その答え次第で、少女が自分の意思で一人で来ているかどうか、確かめる為だ。

ハク > 声に反応し、耳が揺れるのを見ればなんとなく同族感を覚えて少しだけ笑みが漏れる。
声が出るとかではなく、気配が喜に寄ったものに変わる程度のものだが。

「いやぁ、用水路なのはわかってるでござるが、まさか富裕地区ではこんな場所にも魚を放流しているのか?と思ったにござるよ。
 こちらの地区に住む方であれば、釣りをするならセレネルにまで行くのかと思っていたにござるので」

ちらりとこちらに視線を向けられ、その上で特にこちらに向けて侮蔑感情などをぶつけてこないのであればまずは一安心。
万が一にもここで富裕地区の住人の不興を買ってしまえば、場合によっては面倒くさい事になるとは考えてはいたのだ。
それを理解しながらも好奇心に負けて話しかけたわけだが。

見せられた魚籠を見て、実際に……小ぶり、というわけではない魚が数匹入っているのを見て驚く。
本当に釣れるんだなぁ、と思って用水路に視線を落とすが、今は夜も更けてきているため『何かがいる』程度しかわからない。

「む?んー、まぁ一人でござるな。
 仲間は数人いたでござるが、帰宅はある程度自由ということなので解散したでござるし」

そこで声を更に掛けられれば、少し悩んで返事をする。
実際に娼婦仲間は合計10人ほど集められ、3人は貴族の要望で残され。
残るメンバーの中で親しい人はいなかったために解散して散歩をしていた。
時間としてはあと2時間ちょっとは自由にできるとも考え、少女の言葉にうなずき。

「あ、そうそう。それがしはハクと申す。まぁ短い付き合いかもしれぬがよろしくにござるよ」

そこで、自己紹介もしていなかったと思ってぺこりと頭をさげながら自己紹介をした。

タマモ > 闇に多少は紛れるも、良く見れば、少女は人外。
ミレー族なのか、獣人なのか、最近はちと微妙になってきた存在であるか。
別に、少女のような存在だけでなく、他の種族も気にしないのだが。
格好から、奴隷なのか何なのか、とか想像する程度はしていたりする。

「おっと、そうじゃったか。
用水路と言っても、ここは引いてきた水が、要所に流れ行く辺りじゃからな。
川から流れて来てしもうた魚が、ちらほら居るものじゃぞ?
そうそう、ちなみに妾は、別に此処に住んでおる訳ではない、自由気侭にやっておる」

ゆらゆらと、釣竿を軽く振って言葉を続けるも。
少女と言う存在が現れた事で、それも終わりと、ぽんっ、と釣竿をまずは消し。
腰掛けた格好から、ゆら、と体が倒れるように柵から落ちるも。
くるりと器用に体を宙で捩り、とん、と少女の前に着地する。

「ほほぅ、仲間。冒険者…でもなさそうじゃなぁ。
何か、商いでもやっておったか」

現時点では、まだ娼婦と気付いていない。
少女の言葉に、軽く思案する仕草で、そう言葉を紡いだ後。

「ふむ、ハクか…うむ、覚え安そうで何より。
妾はタマモじゃ、覚えるも忘れるも、お主次第じゃのぅ」

うんうんと、頭を下げる少女に、自己紹介を返しながら。
ぽんぽんと、頭を撫でてみる。
最近はなかなか出会わない、己よりも小柄な相手だ。
少しはこう、こうした優越感は感じてみたい。

ハク > 人外といえばこちらも人外。
とはいえ生まれからそう、というのではなく淫魔の戯れで人外にされてしまっただけなのだが。
なのでミレー族とは違うし、何なら獣人……とも言い難い。
もし目の前の少女がそういう気配を察する力に長けているのであれば、『この見た目だが実は淫魔の類い?』と思われるような気配になってしまっていることだろう。
一方でハクの方も『所在を察する』程度の気配読みはできるが、本質を読み切るような技能はない。
他人を疑ってかかるという事をしたくない性格ということもあり、今のところ好意的反応をくれる少女に向けては見た目そのままの存在と思い……少しだけ『ミレー族の少女とはちょっと雰囲気違うな?』くらいに思うだけにとどまっている。

「ほぁ、なるほど……まぁ、自然の生きた水が一番使い勝手がいいのは、その通りでござるからなぁ。
 とはいえ貯水池なりなんなりである程度はゴミが混ざらないように……と、生き物はいてもゴミはないでござるな」

少女の説明を聞きつつ、竿をふるのを見ながら納得の声をあげる。そして改めて水面に視線を落とし……
そこにゴミなどが浮いていないことから、何かしらの浄化設備でもあるんだろうか、と感心をしていた。

「む、そうでござるか……?
 ううむ、それがしは流れてきた経緯もあって富裕地区にはほとんど足を踏み入れた事がなかった故。
 若干、それがしやお主のように獣の要素を持つモノには住みづらいのでは?と思っていたのでござる。
 しかし、となれば……迷い子でござる?」

そして竿を消しながらこちらに落ちて……くる最中、くるりと器用に体をひねり着地した所にぱちぱちと拍手しながら首をかしげる。
ミレー族相手には苛烈に近いこの富裕地区、ヘタに潜入などして見つかれば危ないのではないか、と少々そわそわしながら周囲をみまわし、しかし衛兵などの気配はないことに安心して。

「む、んー……まぁ隠す事でもないでござるが、それがしは冒険者であり娼婦としても働いておってござって。
 今日は娼婦仕事としてやってきたでござ……るっ」

そこで伸びてきた手に頭を撫でられ、気持ちよさそうに尾をふりつつ職業について聞かれれば素直に応える。
自分も見た目がこうである上、娼婦仲間にはタマモと見た目に同じくらいの年齢――実際に15歳程度のミレー族娼婦が友達にいる――なので、隠すのもなんだと思って隠したり誤魔化したりはしないのだった。

タマモ > お互いに、周囲から見れば、見た目はミレー族。
その実は二人とも違う、と言うのは、なかなかに珍しい事かもしれない。
少女からすれば、己はミレー族っぽいなにか。
己からすれば、少女はミレー族っぽいが、魔族っぽい感じもするなにか…さすがに、種の詳細は分からない。
まぁ、そんな感じだろう。

「要所に流れ到れば、そこから排出されるは汚水となるじゃろうがな?
もしかしたら、他にも、浄化なりする場所があるやもしれんが、妾は知らん」

用水路の存在自体は知ってるが、その端々までは分からない…と言うか、調べる気もない。
そんな感じを隠しもせずに、ひらひらと手を振ってみせる。
その辺り、どう想像するかは少女に任せよう。

「あー…まぁ、妾は妾で、色々と事情があるが…
説明も面倒じゃ、そこは互いに、気にせずで良いじゃろうか?
ふむ…とりあえず、そこは案外、何とかなっておるなぁ。
………迷子とは、ちと違うと思うがのぅ…多分」

着地に拍手が向けられれば、己の表情は、更なる満足感の満ち溢れるものとなるだろう。
褒められるのは、嫌いじゃない、開けっ広げにされるのは、苦手だが。

「冒険者で娼婦、とな?…ほほぅ、娼婦。
ほうほう、なるほどのぅ…仕事終わりか?」

と、撫でられ尻尾を振っているのに、くすっと笑いながら。
そのまま撫でつつ、少女の答えを聞けば。
なるほど、と納得したような様子を見せるも、よくよく答えを反芻してみると…ん?となった。
見た目を裏切る年齢か…いや、最近は、これくらいの実年齢でも、居る事は居る、とか。
そんな考えをしながらも、そんな問いを向けるのは…
色々と、考えを巡らせられるものだが、純粋な質問と受け取るのも良いか。

ハク > 特に何も言われないのであれば、こちらも何も言う事はない。
向こうがこちらをミレー族の仲間のようなものと思っているのであれば、こちらも特に深く探るような事はしないだけで。
長く続いた生活もあって、触れてこない場所にはこちらにも触れない程度の社交性ならちゃんと身についている。

「まぁ、それはそうでござろうなぁ……
 んんー……いや、汚物の臭いなんかもないでござるし、これは純粋に飲み水用の用水でござろうか」

あまり詳しくない、というタマモの言葉にも特に追加で話を広げる程のことはせず。
においを嗅いでみて、そこに汚物や何やらの臭いがない事に、ひとまずそういうものだろう、と考えて視線をタマモに戻した。

「む、それは承知したにござる。まぁ、もし何かしら……この富裕地区から出るのに苦慮している、というのであれば……
 むー、いや、言ってもそれがしにはどうもできぬでござるなぁ。幻術の類いは使えないでござるし、そもそも今は能力封印されておるので魔法も使えぬ。
 となれば、まぁ、口八丁手八丁と後は体で衛兵にゴリ押しして『姉がついてきてしまったので』とか言い訳するしか思いつかぬでござるからなぁ」

拍手したことに満足そうな雰囲気を感じ取り、にこりと笑みを浮かべたが……事情、と言われれば続く言葉にはうなずくしかない。
そもそも、1娼婦としている以上は本当に何も手助けなどできない。
強いて言えば一度外に出たあと、危険を承知で富裕地区に戻ってきてどうにかする、くらいしかないだろうが……
タマモも気にせず、と言っているのであれば心配も要らないのだろう。
思いつく限りの連れ出し案を口にするが、すぐに続けて「やっぱりダメでござるな」と尻尾をしおれさせるのだった。

「む、む?
 あぁいや、まぁ、そうでござるな。仕事終わりで報酬は娼館に帰ってから受け取る事ができるので、自由時間に富裕地区の観光、とでも言えばいいでござろうか……
 好奇心であちこちを見て、タマモ殿を見かけた所にござるよ」

頭を撫でられるのは正直好きなので、飽きるまでは別に抵抗もせず頭を撫でられ。
そうしながら、仕事が終わって後は帰る所だった、という説明をした。
一応、ワンピースにあるポケットにお駄賃とばかりに500ゴルドほど与えられて持っている。
この富裕地区で買い物するには端金と言われて差し支えはないが、まぁ軽食くらいなら支払う事もできるだろう。