2022/12/06 のログ
ロイナ > 「そろそろかなぁ…」

ぽん、と塀から飛び降りて、淫魔の少女はのんびりと歩き出した。

その姿は夜の闇に消え、あとには微かな甘い香りを残すのみ──

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からロイナさんが去りました。
ご案内:「富裕地区/貴族のホームパーティ会場」にグラスシエルさんが現れました。
グラスシエル > 聞いていない
少年は最高に機嫌の悪そうな顔で唇を噛む
貴族の屋敷の警護、護衛の依頼を請け負った――はずだった。貴族や王族は情報の宝庫だ。金銭よりもそのような情報的な意味合いで人脈はあって損は無い。
特に無愛想を貫く少年からしたらそういう依頼はありがたいものだ。礼節やお世辞とは無縁だしそのようなフリができるほど器用ではない

しかし、突然高貴な貴族様の前で挨拶をしたとたん両手を捕まれ頭を下げられた。
王族も来るような大事なホームパーティだが執事、メイド、接待の人手が足りない
普段ならむしろ自慢の彼らは一緒の屋敷、寮での生活が原因で集団で悪質な風邪にかかったそうだ。
恥を偲んで貴族の仲間に頼み込んだが数が足りない
そこに『目つき以外の顔立ちの良い』警護が来たので、なんとか執事のマネごとをして欲しいと懇願されたのだ
本来はそのパーティーの警護、という事だったが――顔立ちも体躯もすっきりとした少年がタキシードを着込めば貴族も見返すぐらいには映える。
目つきの悪さはもともとだし、媚びるのも嫌で嫌でしょうがないのだが

――全くもって構わない。無言で礼儀を保って酒をついでくれるだけで良いんだ!

などと貴族はそれすら認める。こうなると――弱いのだ。性根は甘いし人間は別に味方でもないが敵でもない。
困っている、というより助けを求めて頭を下げてる相手を虫できるような性格では実は無い。
とはいえ、愛想を作るというのは苦痛だし――先程は男色のケでもあるのか来賓の初老にケツをなでられた時には本気でこめかみに蹴りをいれそうになってしまった。

――ただ、それを耐えるぐらいには…まあ少年は甘い

「失礼いたします。ワインを注ぎましょうか」

にこやかに、とは言わないが静かにうやうやしく頭を下げ、貴族に訪ね、ワインを注ぐ。
静かに、仕事はしっかりと。それだけで十分なのなら、多少は我慢だ

グラスシエル > 媚びるわけでもなく不遜な態度でもなく、ワインがなくなった来客にワインのおかわりを尋ねる。
水やルイボスティー等や紅茶もある。酒には弱いが付き合い上飲まなければいけないような場面だ。
そういう奴らは飲み下し方が雑だし飲み下した瞬間の顔色でわかる。

そっと、ワインではなく紅茶の入ったワインボトルと普通のワインを両方もち

「こちらアルコールを抑えたものになります」

どちらにするかは勝手に向こうが察してくれる。上流階級なのだしこのぐらいは勝手に察しろ程度にしか思っていない。
少年自身酒なんぞ美味しいとも思わないタイプなので、まあここらは気遣いというよりは同情だ。
重そうなボトルの処分をしようとするメイドに 「ンな事しとくから酔っぱらいに媚びでも売っててくれ」とぶっきらぼうに言って空のワインボトルのつまった木箱を台車で運ぶ。

ようやく一息つける。

人間を見下してるわけでもそういうプライドがあるわけでもないが、慣れない事をするのはつかれるしそもそも言葉遣いを作る演技じみた事が疲れる

「あぁ…だり、俺も王子様にでもお姫様にでもなって寝転んで毎日すごしてえよ全く」

とうに天からは見放された身なのだからそこは自由なはずだが、少年はそんなぐちをこぼしながら木箱を室外に運び出す

ため息とともにテラスに足を運んで、すこし手すりによりかかって。

グラスシエル > 「ふう。まったくはよ終われよ」

そういって少年はまた、パーティの会場へと足を向ける
なんだかんだで仕事っぷりはよく、おわってから貴族に専属になってくれと足を捕まれ、振りほどくのに多少暴れはしたが――

とはいえ、平和である

ご案内:「富裕地区/貴族のホームパーティ会場」からグラスシエルさんが去りました。