2022/12/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/辻馬車の車窓」にマーシュさんが現れました。
マーシュ > ごとごとと、車輪の回る音。
石畳の街路を馬車が行く。

馬車、と言っても、貴族や富裕層が自身のために持つものとは違い、一定の金額を支払うことで利用のできる辻馬車だ。
多少大きな馬車の窓辺に腰を下ろしているのは修道女。
今日はやや遠い場所への遣いの戻りといったところだった。

俯き加減に視線を落とし目を伏せている。ともすれば──眠っているようにも見える姿。

マーシュ > あまりクッション性がよいとは言えない座席に伝わる振動は、悪路であれば腰が痛くなっていたかもしれないが、街中に差し掛かってからはさほど気にならなくなっていた。
───単に麻痺しただけなのかもしれない。

勿論、乗り合いの車内は修道女以外にも客がいる。
時折その数は増減し、込み合うことも、逆に空くこともある。

「───、……」

その中で、やや長く馬車にゆられていた修道女は、袖口で口許を隠すようにして、小さな欠伸を一つ零した。

マーシュ > そのまま馬車の進む音、人々の会話する音を聞きながら、修道女は浅い微睡みに沈んでゆくこととなる。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/辻馬車の車窓」からマーシュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にイグナスさんが現れました。
イグナス > ざあざあ。富裕地区に雨が降る。
普段なら上品な服装をまとった人間たちが歩く道も、冷たい水を嫌ってか、ひとかげはない。
時折傘を忘れて走り抜けるひとかげ。この大きな大きな男も、そのひとつ。

「っぷ、は――……あー……。」

やっと適当な店の軒下にたどり着いたときは、ずぶ濡れだった。
ぼたぼたと水が滴って、その刺すような冷たさにぶると身震いをする。
大きなけものが、水を払うように。

「うー、……くっそ、やっちまった。寒ィ。」

あまり立ち入らない場所だから土地勘もあまりない。
恨めし気に空を見上げるが、暗い曇天は晴れそうにもない。