2022/10/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にエデンさんが現れました。
■エデン > 富裕地区、この王都では一番治安が良いらしい。
なんて、そんな話は上辺だけ。
そんな場所であっても少し大通りから外れれば、ほら、危険な場所には変わらない。
「うふふ、安心して?
その人はもう私のオトモダチだから。
さ、後はその人に連れてって貰えば大丈夫よ?」
そこには、3人の人物が居た。
2人はフード付きのマントに身を包む人物で、1人は身形の整えられた見た目可愛らしい少女だった。
そう語る人物の声はその少女に近しい年齢と思われる少女らしい声。
先ずはもう1人の人物へ向ける言葉、そして後は少女に向けられた言葉。
その言葉に頷けば、何かが詰まった袋を手渡し、言葉も返さぬフードの人物は少女を連れて裏路地の闇へと消えて行く。
少女はといえば、大人しく連れられて行くのだ。
「思ったよりも楽な仕事だったわね。
本当、人を疑わない素直な良い子。
後は良い人に買い取られる事を祈っているわ?」
2人の姿が消えた後、袋の中身を確かめる。
中に詰まっているのは大量のゴルド。
それを確かめれば、袋の口を閉じて腰に下げた。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > それはちょうど、相手が腰に大量のゴルドが詰まった袋を下げて揺れた時。
少し大通りから離れたその道を、不案内そうな顔つきであたりを見回しながら歩く人影が現れる。
「あは……。王都で暮らして長いはずなのに、お金持ちたちが住んでるこのあたりの道は全くわからないや……。
平民地区に戻れる駅馬車の停留所って、どこだろ……」
苦笑滲ませ、片手をひさしに。
冒険者が迷子なんて、同僚に知られたら笑われる。それも朽ちた神殿でもなく廃鉱山でもなく、自分の過ごす街の中だ。
富裕地区での急な届け物の依頼は果たし、仕事が完了した割符をギルドの世話係に渡したいものだけれど。自分の得意とする自然の中には存在する、獣道ひとつ見つからない土地勘の無さ。
「女の人……かな?
ここは治安の良い場所らしいし、あの人に聞いてみよう。
――こんばんは、お姉さん!
あの。実は道に迷っちゃって。
平民地区に戻りたいんだけど、駅馬車の停留所ってどのあたり?」
フード付きマントを纏っているが、ほっそりとした立ち姿に女性性を覚える。
延々迷うよりは、とにこやかに声をかける。
貧民地区ならともかく、治安の良さに定評があると耳にしているし大丈夫だろう。
身振り手振り、道を尋ねる。
相手の正体も、彼女が行っていた所業も知らずに。
■エデン > 仕事も終えたし素直に帰路に付くか、お金も入ったしちょっと豪勢な食事でも食べようか。
そんな事を考え始めたそのタイミング。
掛かる声にクルッとそちらへと振り返る。
「あらあら、それは大変ね?
……って、あら? 貴女は…冒険者の方かしら?
道に迷ってしまうなんて、この地区には不慣れ?
馬車で向かうのも良いけれど、のんびりと歩いて向かうのも良いものだけど、どうしましょうか?」
そこに立っていたのは自分の外見よりも少し若い感じの少女、冒険者と言ったのは身形から予想したものだ。
雰囲気や言葉遣いから元気な少女なのは間違いなさそうで、そんな提案をしたのもそうした理由からだ。
興味を引かれたというのも勿論あったのだが。
いつものニッコリとした微笑を浮かべながら、彼女がどう答えるのかを待つ。
■タピオカ > 治安良好という話は真実だと思われた。……事実はどうあれ。
振り返るのはフードの奥にミントグリーンの髪と空色の瞳をたたえた同性。人好きのする笑顔に、つられて目元を緩め。
一応とばかりに抱いていた、警戒心を解いていく。
「うん!これでも僕は冒険者だよ。
あはー……。メグメールの自然地帯なら、目を瞑っても歩けるんだけど。
このあたりは全然、来たこと無くて……。
お姉さんならこのあたりに慣れてる感じだし、声、かけてみたんだ。
……それって、案内してくれるって事だよね!?
良かったー、ありがと!
せっかくだし、お姉さんと歩いて行くよ!」
それなりに経験のある冒険者だとばかり、腰の曲刀の柄を巻きスカートのスリットを薄くめくって示す。
迷子の失態を恥ずかしがるように、やや視線を泳がせて、片手を首の後ろにやり。
一緒に歩いてくれるのなら、と表情を輝かせる。
大きく頷くと、相手と横並びになり。
「僕はタピオカ!
親切なお姉さんのお名前、教えてもらっていい?」
彼女との邂逅に嬉しそうに。
自分のチュニックの胸元に手を当てながら自己紹介。
覗き込むように、名前を求め。
■エデン > 向き合う形となってお互いが見える事となれば、自分からも彼女の姿がはっきりと確認出来る。
その言葉から、元気な事に加えて人の良さそうな少女であるのだとも思えた。
きっと自分が感じたように、他の相手であっても好感を持たせる事だろう。
…だからこそ、より興味が深まるもので。
「それなら、同じ冒険者でも私とは逆ね?
私はこの辺りなら大丈夫だけど、自然の中はちょっと苦手だもの。
ええ、そうよ?貴女が良ければ…なんて、言う必要も無かったわね」
彼女が冒険者なのだと曲刀を見せるように、自分も同じように腰に帯びたレイピアの収まった鞘を見せる。
迷子を恥ずかしがる姿には、微笑ましそうにそれを見詰めて。
歩く事を選択する彼女には、余りにも思った通りの流れについクスッと笑ってしまう。
「タピオカさんね、私はエデン、よろしくね?
エデンで良いわ?お姉さんって言われても、そんなに変わらなさそうだから」
横に並び、覗き込むようにこちらを向いて自己紹介をする彼女へと、真っ直ぐに目を見詰めて自分も名乗る。
それでは向かいましょうか?と、そう伝えて緩やかな歩調で歩み始めるのだが。
その歩み、向かう先は、平民地区への方角は間違いないものだが、知らない彼女には遠回りの道を選んでいる事には気付かないだろう。