2022/10/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 違法奴隷地下オークション」にロブームさんが現れました。
■ロブーム > 暗い旧下水道を通ったその先にある、その場に似つかわしくない、高級な赤い扉を開けたその先は。
煌々と照らされたシャンデリアが照らし出す、パーティ会場の様な空間だ。
料理や酒が置かれた机や、休憩用の椅子の他に、透明な柱の様なものが置いてある。
その柱の中には――人が入っている。
「さあ、さあ。皆様。お好みの奴隷を見つけましたら、どうぞ柱の下にあるエントリー用紙に、自分の名前と落札希望額をご記入ください。
勿論、自分より高い値を付けているのを見たら、再度高い落札額を書いても構いません。どうぞ、後悔のないようにオークションをお楽しみください」
柱の中にいるのは、王族や貴族、それに行方不明になった平民に、勿論ミレー族まで。
様々な奴隷が、柱の中に閉じ込められている。
中には、卑猥な道具や、淫香を使って苛まれているものもいて、オークションの参加者の中にはそれらを見て嘲笑っているものもいる。
とはいえ、オークショニア……主催者でもある黒いローブの男は、内心でこう思っていた。
「(そろそろ、この会場も潮時だな)」
数日前、僅かではあるが、この場所が外部のものにバレている事を掴んだ。
そろそろ、冒険者なり国が、此処を嗅ぎつけるだろう。
だが、ロブームは決して悲観などしておらず、寧ろ楽しみにしていた。
「(さて。私のもとまでくる、勇敢な戦士は誰だろうかな)」
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 違法奴隷地下オークション」からロブームさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にロブームさんが現れました。
■ロブーム > 富裕地区にあるとある屋敷。
とある富豪が買ったものの、その富豪が別の街に移り住んだ為、ほとんど放置されていた様な物件である。
だが、最近になって、この屋敷のある地区で子供の行方不明者が続出している。
子供――それも、決まって女児。
それが何を意味するか、噂を聞いたものの大半は理解できるだろう。
そして。行方不明になった筈の子供が、最近この屋敷の近くで目撃されている。
尤も、それは罠かも知れないが――果たして、この屋敷に踏み込むものは、誰だろうか?
■ロブーム > 屋敷の中に入って、すぐのホールで。
ローブを着た太った男が、メイド服を着た少女の仕事ぶりを鑑賞していた。
少女の顔色は優れない。飢えていたりはしないが、やはり親元から引き離されているのに起因しているのだろう。
「(淫楽に染まれば、大抵の場合いずれ忘れるものだが――)」
それまでの間は、やはり心細いものなのだろう。
そう思っていると、少女のモップが、汚水を入れたバケツを引っくり返した。
ぶちまけられた汚水は、ロブームの足元まで広がり、靴を濡らした。
「おや……」
それに対し、必死に謝ってくる少女。
別に構わぬと、そう言って、しかしこれを口実に彼女を可愛がるのも楽しそうだ――と思った瞬間。
男の脇を、別の誰かが走っていった。
「ぬ――」
物陰に隠れていた、別の少女だ――経歴としては冒険者だった。
魔術を使おうとするも、数瞬間に合わず。
玄関を蹴り破った少女は、そこから一拍大きく息を吸い込んで、
「助けて――!」
あらん限りの大声で、助けを呼んだ。
■ロブーム > 声の響きが終わり、しかしそれでも助けは来ない。
見て見ぬふりをしてるのか、それとも偶々誰もいなかったのか。
どちらにせよ――それは、彼女の失敗を意味していた。
ゆっくりと、ロブームが彼女に歩み寄る。
男は、彼女の肩にゆっくりと触れ、
「良い勇気だった。私の居ない所ではなく、私が気をそらした時に行動を起こしたのも、ね。私がその気になれば、距離など何の問題にもならないのだから」
だが。
「残念ながら、世界は君の計算以上に冷酷だったということだ」
男は静かにそう言って、扉を締める。
それを青ざめた目で見ていた冒険者の少女に。
さあ、とロブームは言った。
「勇気とは、それが失敗した時にこそ真価が問われる。
君が覚悟した通り、お仕置きを始めよう」
そう言って、男は彼女を仕置部屋へと連れて行くのだった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からロブームさんが去りました。