2022/09/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にライゲノースさんが現れました。
■ライゲノース > 昨晩の一人酒で深酔いした結果として……二日酔いであった。
そんなボロッボロの状態で仕事など出切るか、と本日は店を臨時休業し、口に飴玉に良く似た二日酔いに効く薬を入れて、外の空気を吸いがてら富裕地区にある見るも煌びやかな店を覗き歩いている。
良い物があれば仕入れを。
良い者があれば取立てと貸付を。
――…気がつけばまあ実質仕事の様な物である。
だが今日は薬のおかげでその頭痛も和らぎ機嫌は良し、平民地区と違い静かな賑わいを見せる富裕地区の空気も悪くはないと、周囲にカモがネギを背負ってるような獲物が居ればラッキーかなーと軽い気持ちで視線を巡らせる。
これが美形の類の男であれば或いは美女であれば周囲は気にも止めないだろうが、残念ながら自分は醜男と自覚があるので、時折こちらに侮蔑と哀れみの視線が来るのが少し痛い……。
――…その視線の主の顔は覚えて隙有らば金の重みで潰すつもりではある。
■ライゲノース > 特に目を引くものは無かった。
それ以上に周囲からの視線が耐え難いものとなってきたので、一先ず店の方に帰る事にした。
この視線の痛みは倍の重みにしてかえしてやろう。
そうふつふつと心の奥よりどす黒いものが湧き上がるのを感じながら、ガリと二日酔いに効く薬を奥歯で噛み砕き歩き出すのだった……。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からライゲノースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区『目抜き通り』」にマーシュさんが現れました。
■マーシュ > 平民地区とはまた違った賑わいを見せる街中を、ゆっくりとした歩調で修道女が歩いていた。
立ち並ぶ店は、顧客層を意識してかどれもしっかりとした作りの店構えを見せている。
また、行き交う馬車の多さや、そこから降りてくる人物の出で立ちも富裕層なのだということは知れた。
王都だからこそ、というべきか。居住区によって全く違う様相を見せるのを、藍色の双眸は否定も肯定もしないまま通り過ぎてゆく。
王都に来たばかりのころはそんな風に、ゆっくりと細かく目を配ることはできなかった。
迷わない様にと、教えてもらった目印だけを追いかけていたころに比べれば、多少慣れたというべきか。
だからこそ、街の聖堂に遣いに出されることは増えたが、王城にずっと詰めているよりは気が楽だった。
■マーシュ > 整えられた煉瓦の石畳を、編み上げ靴の底がこつりと叩く。
街路一つとっても、地区によって違う。
そして、曲がり角。いくつ折れて、歩けば辿り着くのは────
「えーと」
どこを曲がるべきだったか。
あるいは、一つ角を見過ごしてしまったのか。
季節が変わるだけでも、街並みは変わってゆく。
見慣れ始めた、とおもったのは少し早計だったかと内心思いながら来た道を振り返る。
「────……」
それから、もう一度進路へと視線を向けて。
ゆるゆると歩き出した。
──もう少し歩けば、見慣れた景色になる──はず、と思いながら。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区『目抜き通り』」にアルマさんが現れました。
■アルマ > いつもの馴染みの貴族に店長である魔女特性の花を束ねたブーケを届けた後の事だった。
普段は何時もの色という概念があるか疑問に思うほどの真っ白い服にアルバイト先のエプロンを装着して届け物をするのだが、今夜は急な仕事でプライベートの時間を満喫している所で呼び出されての配送だったので、エプロンなしのだぼっとした白いシャツにウエスト緩めの白いズボンと革サンダルと、そんな色の概念の無い服装だけで富裕地区にきていた。
さて、配送の仕事も終えて再びプライベートな時間を愉しむ為に折角富裕地区に来たのだからと通りを歩いているのだけど、ふと灰色の瞳に一人の女性の姿が映った。
場に似つかわしくない、と言えなくも無いがあまり自分は眼にしない紺色の修道服姿が不思議と目を惹かれたし、歩き方や視線の向け方が道に迷っている様にも見え、つい少々の好奇心とお節介焼きの性分に火がついて、少し足早に女性の方に駆け寄ると躊躇無く声をかける。
「……あの、もしかして、若しかしなくても道に迷ってらっしゃいますか?」
ストレートに訊ねよう。
女性は自分より少し小柄な背丈ゆえに、少しだけ膝を曲げるようにして視線を合わせて声をかけて、相手の反応を待つ。
声をかけた通りに道に迷っているのであればこの辺りは案内できるほど詳しいという自信があった……。
■マーシュ > 己はどこに向かうべきだったか。とりあえず急いではいなかった。
急ぎの用があるのであれば、目立つ場所に立っている歩哨に声をかければよかったのだから。
知り合いがいない気楽さも相まって、修道女はゆったりと歩を進めていた───つもりであったのだが。
女は、ウィンプルで髪を覆い隠し、纏っている紺色の修道服は、この季節であれば少々暑苦しくも見えるだろう。
物珍しさも相まって、あちこちに視線を散らしていたのが、彼の目を引いてしまったのかもしれないが。
駆け寄ってくる足音に、すい、と避けようとしたのだが、かける足音が己のそばで立ち止まったのに視線を上げた。
「────、………え、ぇ……」
初対面の相手ということもあって少々警戒をにじませるも、向けられた言葉にぎこちなく頷いた。
此方に目線をあわせるようにかがみこまれると、少々困ったように首を傾けて。
「特に急ぐ道行きでもございませんので……ですがお気遣いありがとうございます」
ゆったりと頭を下げて、彼の親切心に報いる言葉を紡いだ。
女の声音には、特に不安を帯びている様子は感じられないだろう。
■アルマ > 女性のぎこちない言葉以上に困ったように首を傾げられると、自分の行動が聊か早計だった気がして、返して向けた表情は少しだけ苦味を帯びた笑みとなってしまい、更に加えるなら耳に心地良いその女性の言葉は特に急ぎでもないとの事なので――…自分の行動は間違いなく早計で、傍から見ればナンパをしている様にも見えなくもない事を自覚して気まずそうに人差し指で自分の鼻先を掻いてから、言葉を紡ぐ。
「……なら良かった。この辺りは治安が良い方だけど、奥に稀に大変な目に合うと師匠が言ってましたので……。何、宜しければ急がぬ旅路にお付き合いしても?買い物なら荷物もち程度しますし……。」
と、苦味のない温和な笑みを口元に浮かべ、言葉は真っ直ぐストレートに紡ぎ、隠しもせず暗に暇なのでお付き合いしても?と伝えよう。
一昔前ならそれではさよならと言うタイプだったが、好奇心が何よりも優先し、傍から見ればではなくそちらに意識をシフトする。
軽く膝を曲げた状態から真っ直ぐと立ち直せば、今度は此方が軽く首を傾げて、改めて修道女の彼女に少し失礼になるかと思いながらも視線を向ける。
紺色の良く似合っている修道服、癖のない銀色の髪がウィンプルから覗き見え、少し厚そうな装いでもある姿に好奇心と同じだけ悪戯心も沸き上がるのであった。
ただただ出会ってすれ違ってわかれる、というのには勿体無いと思ってしまうくらいに。
■マーシュ > ───己の言葉に余計に困らせてしまったらしい。相手に浮かんだ笑みに苦いものが混じり、どこか気まずそうな仕草を見せられると申し訳なさそうに目を伏せた。
「───、それは、どちらの方向でしょう。今後の参考にさせていただきたく思います」
相手から流した視線の先は、分かれ道。どちらもそう暗くはない道だったが、その行方の先にあるのは、歓楽街か、それとも劇場なのか。
片方からは賑やかな歓声が漏れ聞こえては来ていた。
「……いえ、そういったことは……、申し訳ないですし」
買い物に来たわけではないことを伝える。そも、高位聖職者ならばいざ知らず、己のような一介の聖職に手の届く品がこの辺りで売られているかは定かではないのだが───。
ただ、道行を同じくしてくれる、という点にだけは謝意を示した。
向けられる視線には、特に疚しい事もなければまっすぐに視線を返す。
ただ、普段は見えぬように包み隠し、額も出しているウィンプルから髪が覗いているのであれば、少々気恥しそうにしつつ直すだろうが。
相手が己に抱く好奇心は、言葉にされたのなら不思議そうにするのだろうが、されないのならば知らぬまま。
ただ、往来でずっと立ち止まってもいられない。
ゆる、と歩き出して。
「そう、ですね此方から平民区の境を目指そうとしておりました」
地区の境には、公共施設がいくつか存在する。そのうちの一つを目指していたのだと、当たり障りにならない程度の情報を口にして。
■アルマ > 「……あっちは歓楽街に近しいよって、修道女さんなら余裕で引きずり込まれてしまうよきっと。」
と、警告にしては少しゆるい声色で答えてから、耳に意識を向ければ聞えてくる賑やかな声色が聞える方の道に視線を一度向けて、短く溜息をつく――…以前引きずり込まれお高いお酒を飲まされそうになった思い出が脳裏に過ぎるがゆえに。
視線をまたふいっとまた女性の方に戻した時には触れたい欲求が湧いて止まぬ銀色の髪はすっかりと隠れてしまい、一瞬だけちょっと残念そうに女性の相貌の髪がこぼれていた方に視線をずらすと、真っ直ぐな女性の視線に視線を重ねて戻し、ゆると歩き出す速度にあわせて、自分ものんびりと歩き出す。
「申し訳ないって思わなくても、えーっと名前……僕はアルマというのだけど、貴女くらいの美人となら役得まであるから。……と平民地区の境の方だっけか、お付き合いするよ、何護衛だと思ってくれればいいさ。」
と軽く笑いながら、ゆるりと腕を伸ばして女性の修道服に包まれた腰の辺りに、丁度お尻と腰の境界線辺りを悪戯に軽く掌で叩こうと。
修道女の行く先が曖昧なのは気にもせず、すっかりと行く先に付き合う心算でいるし、平民地区のほうにも着いていこうと考えている。
もちろん平民地区の方も配達で歩いている為に道に詳しい自信もあるし、あわよくば何処かに連れこもうかと、下心もハッキリと。
それに修道女が所属する教会か宿に戻る心算であれば当然ついていく、折角なのでもう少しお知り合いになりたいからだ。
衣服や髪こそ白であるが、此処で暮らしていると当然の様に黒が混じり始める。
欲望そのものを否定する性分でもないので、そんな変わりつつある事も気にせず、今は欲望に忠実に修道女の女性との会話を楽しもう。