2022/07/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 瀟洒なBAR」に竜胆さんが現れました。
竜胆 > 富裕地区の片隅、知る人ぞ知ると言われる酒場は、沢山あるものだ。
 お金を持つものが、そのお金と引き換えに、静かに酒を飲む時間を楽しむための場所だ。
 この店も、その中の一つであり、席は10席程度で、人が大勢繰る事は出来ない。
 店の奥には、扉があり、其処で密談などが出来るようにもなっている。
 貴族等への配慮のある酒場でもあった。

 その酒場に、ナイトドレス姿の、うら若き乙女が、一人でいる。
 女性は、あまり飲まないであろう琥珀色の酒の入ったグラスを、傾けていた。
 その乙女は燃えるような真紅の髪の毛を持ち、白い肌をしていて、柔らかな紅い唇。そして、金色の瞳を持っていた。
 全体的には、未だ、幼さを残した、愛らしいと表現できる顔立ちなのだけれども、その表情は、冷徹であり、全ての物を見下しているような冷たさがある、唯々氷のように、平静でさえあった。
 特徴は他にもあり、彼女のこめかみのあたりから、後頭部に向けて竜の角が生えており、ナイトドレスの背中からは漆黒の色をした竜鱗に包まれた翼があり、ドレスの下の方から、竜の尻尾がゆらりと、揺れていた。

 彼女を知るものは、竜胆と言う、大商家である、トゥルネソルの三姉妹の次女だと言う事を。
 深く知るものは、彼女自身が、魔導士である、と言う事を知って居るだろう。
 竜であることを隠す事すらしない竜胆は、唯々、琥珀色の酒を。
 ウヰスキーと呼ばれる蒸留酒を静かに煽り、酒精を混じる吐息を吐き出していた。
 白い肌がほんのりと紅く染まる程度で、酒精で惑乱している様子は、見当たらなかった。

竜胆 > 酒精は口の中から入るのだけれども、酔うという程の事はない。
 竜だから、と言うのもあるのかも知れない、竜は酒を好み、酒に強い、ドワーフと同じような所がある。
 ドワーフとどちらが酒に強いというかどうかは、比べたことはないのでわからないし、興味はない。
 からん、とグラスを揺らして、琥珀色の酒を呷る。
 これは、ドワーフが開発した、ともいえる酒であり、酒精の強さなどは兎も角、とても、風味の言いお酒で、好みでもある。

 静かに酒を飲むのが好きではあるが、少しばかり、酒の肴に、楽しい会話などもしてみたくも思うのだ。
 視線を軽く動かして、入り口の方を見てみる。
 誰かしら来るだろうか、と言う期待を込めてはみるが……まあ、期待しすぎても、と言う所か。
 カラン、とグラスが転がる音がして、酒は喉を滑り落ちていくのだ。
 ふぅ、と、酒精の混じる吐息を吐き出してから、何か摘まみを注文してみよう、と口を開く。

 チョリソーや、ソーセージなど、肉系の摘まみを幾つか註文。
 ぱり、ぽり、と、軽快な音を響く。
 上品な音楽が響く中に、酒を、摘まみを、食んでいく。