2022/07/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にオルトゥスの棺さんが現れました。
オルトゥスの棺 > 紳士淑女が集まる立食パーティー。
主催者である貴族の提案で、客は皆、思い思いの仮面を被っている。
権謀を笑顔に、術策を甘い言葉に隠すことに慣れた者達。
欲望を仮面の下に覆い隠せば、完成するのは表面的には豪奢で、華やかな時間だ。
会場の中央で舞踏を舞う者。
テーブルの上の酒と、食事に舌鼓を打つ者。
あるいは、すでに一夜の相手を探して回っている者。
そんな彼等を見渡すベランダの手すりに、ひとつの匣が置かれていた。

まるで、誰かの忘れ物のように、唐突に。
ベランダの装飾のひとつであるかのように当然に。

精密に作られた金属の匣。
複雑に組み合わされた金属片の隙間から、仄かに白い光が零れ落ちて散る。
宴の灯りに比べればあまりにも静かで、儚い色合い。
それを目にするのは宴に疲れた誰かか、それとも宴を見上げる誰かか。

『どうぞ、こちらへ―――』

いずれにせよ、その誰かには“声”が聞こえるだろう。
宴の声に紛れることなく、聞き違いでもなくはっきりと。
その誰かへと向けている声音が。

オルトゥスの棺 > そして、宴の夜は更けていく……
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からオルトゥスの棺さんが去りました。