2022/07/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にラファルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」に影時さんが現れました。
影時 > 「俺もそういう術に心得がないワケじゃねェが、変装どころじゃない――変化、変身というのはそこが怖い」

変じて装う変装程度であれば、まだいい。いずれ元の素顔に戻すための一時的な措置だ。
だが、より高次元の変化(へんげ)、変身とは何かと厄介だ。
見抜く、看破するのも一筋縄ではいかない分だけ、行使する術者にも影響が大きい。
変化の頻度が多い、期間が何十年にも及ぶレベルの行使というのは、術を解いてもちゃんと戻れるのかどうか、怪しくなる。

「爽快感っていうより、歩調を合わせる意味もあるな。
 学院に通い出したろう?いかに自分が早く動けるって言っても、自分だけ先に進み過ぎるとな。他の奴らが追いつけないってこともありうる。
 遠く、遥かに遠くに先に向かう……って、点に於いちゃあ、ラファルよ。俺は未だ、お前に匹敵する使い手を知らん。

 ああ、その時はついてってやる。
 帰りは飛んでもいいが、歩きの旅は人の姿をしてるからできるコトだ」

飛べない鳥でもなく、鳥どころか竜である仔に歩けと説くのは賢者も笑う所業であろう。
しかし、人の間に混じって生きることを覚える、より自覚させるためにも必要なことであると。そう思う。
野生は、余分な無駄がなく、あれやこれやと考えるまでもない。プリミティブなものだが、人のように生きるとはそれだけではいかない。

「まァ、そうそう研ぎ減りもしない位にこいつは厚く鍛えられてる。
 しばらく試して――不具合があるなら、打ち直ししてもイイだろうさ。

 しかし、魔力を吸うという性質は分かっていたが、氣だと……具合が違うのか?術を宿らせるってより、氣だと流す印象が強いが……」

そも、単に砥石を使って研げるかどうかに怪しい代物だ。
切り裂き用途のナイフを思案する姿に、次第によっては打ち直しも問題ないだろうと囁く。
それなりの質量があるインゴットから鍛え、頑強に仕上げた代物だ。
鎧通しという使い手を選ぶチョイスから、弟子好みの将来的な再加工の余地を予め残すための注文でもある。

何故かといえば、同時に入手した書物類からでは予見しきれない点が自分達にはあるからだ。
魔力でなく、主に氣を使う。氣を今回誂えた武具たちは吸うが、流し廻らすことが多いチカラの働きは予見できない。
己が片腕につけた手甲に氣を流しつつ、隠形の技を試すと、表面の反射の加減が奇妙に揺らめくイメージを覚える。
まさかな、と眉を顰めて思う。白銀から黒色に変じた弟子のチョーカーといい、己が防具といい、奇妙な変化は謎と可能性を秘める。

ラファル > 「そうかなぁ……?うーん。」

 変化と言う技術に関しては、幼女は頚を傾ぐ。
 先程、師匠の言葉に対しても、他人事であった理由のうち一つに、ラファルは人外の存在であり、人竜であることが大きい。
 人と、竜と、その相の子としてのラファルは、生まれついて、翼を持ち、尻尾を持つ。
 人と共に暮らすならば、それがあると、色々と不便なのだ、扉の大きさや、路の幅など。
 普段、家に居ない……空を飛んでいたり、山野を駆け巡っている間は良いが、家の中、街の中では、大変なので、変化し隠している。
 金髪幼女にしか見えないのは、そう見えるように肉体を変化させている、之に関しては、長姉も同じだ。
 直ぐ上の次女に関しては、我関せずと竜ムーブなのだけども其れは其れとして。
 幼い頃から、親しんでいるだけに、意識しないレベルの行動にそこまでの警戒が生まれにくい、と言うのが実情。
 師匠の言う観点から言えば、変化の頻度が、特に多いのだ。

「あー。……うん、たしかにそだね。
 みんな、簡単なお散歩でも、いっつものたのたしてるね。」

 ラファルの速度感覚は人のそれとは違う物で、何時も山野を使った訓練の授業などでは他の追随を許さぬレベルで早い。
 クラスのみんなを置いて、授業開始5分で、目標を達成したうえで、ゴール地点に付いたのは伝説にもなっている。
 人竜モードや、ドラゴンモードを使わないで、の事であり、もっと早くできると、教師には、あきれ果てられる。
 正直、その授業で教えることがない、と。

 ただ、チームでの行動ではそうはいかず、師匠の言う事は、それを言っていると理解している。
 それが人の輪に入る、と言う事なのだろう、と。

「製作者の意図してない使い方してるもんねー。」

 意図して居ないと言うのは、魔力に対する鉱石であり、氣を知っていたかどうか、対策しているかどうかが不明な所だ。
 魔力を吸わせてみれば、普通に反応する。
 ただ、氣を吸わせても、違和感が強く残る。
 ひゅ、ひゅ、と軽く振って確認をしながら、師匠の言葉に追随の意図みせた。
 鎧通し、対人用の武器を軽く振って、握りの馴染みを確認している。

「ん、やっぱり、魔力はすごく吸うねー。」

 師匠とは違い、魔力を持つ身だから、魔力を流していけば、面白いように吸い込んでいく。
 吸い込んでいくたびに、その刀身が固く、硬く変質していく。
 限界まで吸わせておくのがいいよね、と、押し込む様に魔力を流て、半透明の刃を覗き、魔力を覗く。
 未だ吸えるね、と、勢い良く魔力を通していく。

「此処で、氣を混ぜたら……。」

 うず、と。
 幼女特有の好奇心が沸いてくる。

影時 > 「此れは多分、変化できる術というのが後付けでしか習得できないモノの感覚だなァ。

 ……例えば俺の場合、口に綿を含んだりとか化粧をして顔を変える。変装する。
 肌が荒れるが、刺激の強い毒草で腫れさせることだってやるな。あんまりやりたかないが。

 で。変装を飛び越えて、身体そのものの見た目を変えると――どうなるか。
 鏡で見る顔がほんの僅か、一瞬前と同じであると、どうして云える? 化ける頻度と時間が長くなれば、一層危うくなる」

恐らく思うに、種族の違いや差というのが多い事例だろう。
手間と時間をかける変装とは違い、ヒトがおなじことを遣ろうとする場合、自己同一性の連続が危うい。
遊び感覚の変身魔法ではなく、邂逅したことのある一部の忍びは肉体改造と術の併用で、変身能力を実現していた。
妖怪、妖魔の肉体の一部をも取り込んだ改造者も居たか。
弟子のような事例はいわば、普段着めいた所定の姿を本来の竜の姿と使い分けられる。
己が口にするケースは、その本来の竜の姿がどうだったか――というレベルで危うくなった場合のそれだ。

「……それだよなあ。その“のたのた”してるのが、普通の人間の早さだ」

追いつけないにしても、割と早い者も居るはずだが、そう言わしめてしまう速さの差がある。
早いことが悪いことではない。悪ではない。そのずれも違いもよくよく理解しあうことが、異種族との関り合い方。

「俺とラファルで知っている実用の例が、あの大金槌しか無ェから、比較の仕様がないのもあるわなぁ。
 ……と、そうだ。俺は確か頼んでいたのがもう一つあったが、あったあった」

件の鉱石を使った完成品の現物は、知りえているのはひとつのみ。弟子に譲った大きな戦槌である。
しかも、純度の点では最高純度という差がある。比較材料には少々弱い。
弟子が初めての玩具を試すように、半透明に煌めく刃の鎧通しにチカラを籠める様を眺めつつ、箱に手を伸ばす。
頼んでいた品が、もう一つあった。箱の底に敷かれたクッションの布に埋もれるように、其れをつかんで引っ張り出す。

「――成程。こう鍛えたか」

鎧通しの短刀とほぼ同じ長さの布包みを解けば、黒い刃が顔を出す。鎧通しと比べて薄く、鋭く研ぎ出された黒色の刃の苦無だ。
その色は鉄を焼いてつけた色ではない。地金自体が闇のように黒いのだ。
過去に己が刀を砕けさせるのと引き換えに、刃を交えた敵将の魔剣の先端を奪い、己のものとした。
故に刃の断面は非対称ではなく、両面ともに剣の如く対称に研がれている。その表面にはわずかに、星をまぶしたように銀色の輝きが混じる。
鎧通しと防具の作成の際、わずかに出た鉱石のカケラを粉にして打ち直しに使ったか。氣を通せば、伝わりの良さが違う。

ラファル > 「……じゃあ、リスは危ないのかな。

 お化粧とかも使って、変装するんだよね、服装に、化粧に。
 服に綿を摘めて体格を変える、と言うのもあったんだよね。

 顔かぁ……。うん。
 化ける頻度と時間。写し絵を作ってもらって、とかじゃだめかしら?」

 変身に関して。姉のリスに関しては、後天的な習得者だ。
 竜胆、ラファルは生まれついて魔法が使え、変化も出来ていたが、長女リスは、魔法を後から覚えたほうだ。
 性格と言う物で言うならば、リスが一番人間に近しい性格であり、それを考えるならば、師匠の言う危険は姉が一番ではないだろうか。
 本当の顔を忘れないように、似顔絵を描いてもらうとかした方がいいのかな、と考える。
 それがあれば、屹度、覚えられるかな、と考えたから。

「無理に早くすることもできないしねー。
 でも、面白いんだー。来るまでにいろいろできるし。」

 速度で言うならば、学園随一と言って良いだろう。
 他のみんなが来るまでに、路を整理して、教師が作った罠を解除して、チームが安全に通れるようにできる。
 もともと、冒険者としてのクラスはスカウトなので、早いに越したことはないし、それにより、チームの仲間がのたのたしている間に、安全を確保できるのだ。
 そう言う意味では、人の速度は、其のままでもいいんじゃ、と思う幼女。
 半分人間だから、こつを呑み込めば、ちゃんと交われる……はず。
 それも、師匠の教えがあったからだ。
 なければ今頃もっと野生のままに、学校でハチャメチャしてるだろうし、リスも学校に行く許可を出してない。

「その辺りは、これからボクたちで、検証していくしかないよね。
 と言う事で―――?」

 と、たいぎめーぶん、と言わんばかりににまぁ、と笑って幼女は今、魔力を入れた鎧通しに、氣を送り込もうとして。
 別のアイテムがある、と聞いて、ふにゃ?と首を傾ぐ。
 好奇心に勝る好奇心なので、上手くストップが出来たのだろう。
 キラキラ輝く幼女の瞳、出てくるのは、闇よりも尚黒い刃。
 光を吸い込むかと思えば、星空の様に、輝く銀の色、夜空を連想させる苦無だな、と。
 そう思いながら、苦無を、師匠を、交互に見やる。
 何をするのだろうという興味がわくわくで。

影時 > 「……あー。ラファルよ。そりゃ変装じゃなくて、着飾っているって奴だ。多分余所行きの時だろ。
 変装ってのは、他の誰かになりかわるよう装わなきゃならンってことだ。

 例えば、わざわざ顔を作ってまで脂ぎった役人のオッサンに化けて忍び込まなきゃならん時とか、な。
 俺の故郷だと、写実的、とか云ったか? 見たまんまに描く技法はなかったからなあ……」

その例はアブなくない。一瞬真顔になりつつ、己が顔の前で拝むように立てた片手をぱたぱたと手を振って見せる。
それは着飾っているのだ、と。他者に成り代わる、己が存在を露見しないように装うのとは違う。
女の子のお化粧となると、さしもの己も危ういところがある。この辺りの知見は素直に別の誰かを頼りたい。
写し絵の点では、この地で見るような技法の絵画は故郷では見た覚えがない。
そういったコトも事態の悪化に拍車をかけたのかもしれない。ふと、そんなことも思う。

「他の奴らも速くしてみせろ、と言われて出来たら苦労はしねえやな。
 ああ、速いからこそできることだな。先んじれるというのはその点、悪くない」

この世全てに速度を与えてみせろ、というのは無茶な要求だ。
だが、その分だけできる仕事がある。先触れとして誰よりも早く目的地に到着し、情報収集を行える。
何事にも表裏となる問題は付きもの。ようはその事柄との付き合い方、塩梅の問題だ。

「そういうこった。ン、すまんすまん。こっちは俺のだ。
 一緒に普段遣いしてた苦無の打ち直しを頼んでおいたンだよ。何かと重宝してたが、より技量の立つ職人にみてもらうほうが危なげないからな。

 ラファルには……こっちだな。」

件の特殊な鉱石ではないが、元は比肩できるような別の鉱物なのだろう。己が全力を籠めて損壊しない武器がこの苦無だ。
戻ってきた素の状態は、柄に何も巻かれてない。袖から取り出す護符を巻きつけ、その上から革紐を編むように巻いて握りを作る。
ある種の記念として、他の鍛冶師の助けも得つつ剣のイメージを残すように作ったが、再度打ち直すには不安があった。
何より、氣や魔力を吸う特性がない分、使いやすいという一面もある。
苦無を右手に、鎧通しの短刀を左手に持つように逆手で構えてみせよう。刀を使いづらい間合いであれば、この組み合わせが一番活きる。
実演して見せれば、得物を置いて、袖口からさらに別のものを取り出す。

白い布地の巾着袋だ。布地の照りや僅かな魔力の気配から、気づくかもしれない。
大金槌を持った敵を戦った際、魔力収奪を遮断した防護服のローブと同じものだと。

ラファル > 「ううん?・・・・・
 危ないかもしれないよ?リスも人竜だし。
 人の姿は、魔法を使って変化しているんだよ?ボクたちと同じく翼と尻尾あるもん。
 人の前では、出さないようにしているし、それを日常にしてるから。

 あー。そう言うのね。ボクだと、体型的に難しいから、やっぱり変化に頼る事になるね。
 若しくは影分身を作ってそれを変化させてーとか、かな。
 師匠の故郷には、見た儘を書くの難しいんだ?」

 師匠は勘違いしたようだ。
 リスも人竜であり、ラファルと同じく、翼も尻尾もある、しかし、師匠は、それを見たことはないだろう。
 それも当然で、実際、リスが人竜の姿を見せるのは、稀と言うか、殆ど無い。
 それこそ嫁にさえ、見せたことが歩かないか、と言うレベル。
 人として住まう為に、人竜を押し殺して生きている、と言って良いのだ、と。
 だから、危ないんじゃないかな、と首を傾いで見せたのである。
 因みに、ラファルは絵画などに興味はないので、技法とか、そう言うのは疎い。
 だから、見たままに書くのが柄じゃないのだろうか、と変な絵は、そう言う風に見えてるんだ、と思っている。

「ある程度、と言う形ならできてもね、自分と同じは無理かな、違う存在、だし。
 うん、ボクや師匠の職業は、早くて早すぎるというのは、タイミング逢わせるようなもの以外はないだろうし。」

 斥候として動くなら、これ以上ないだろう。
 同時行動等をしない限りは、問題はないはずだ、と笑う。
 塩梅は、ちゃんと弁えられていると、自信満々な幼女。えへんぷい、といつものように胸を張る。

「技術者には、技術者なりの―――と言う事だね。

 ―――巾着。
 保護袋だね。」

 苦無、カッコいいなぁ、と言いながらも、飛び道具やそう言った苦無に関しては、ラファルは自分の鱗を使う。
 強度も手軽さも良いし、何時でもどこでも取り出せる強みがあるし使い捨てにもできる。
 だから、苦無自体は、余り持たない。必要を感じてないのだ。
 それから、取り出される巾着、何故、と考えそうになって。
 保護袋に行きつく、魔力を吸収する素材の武器がある。
 しかし、魔力が吸収されてはいけないものがある、依頼で持ち運ぶもの、とか。それを守るための袋だな、と。