2022/01/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にファンシャンさんが現れました。
ファンシャン > 地下から登る階段を歩く音。バーの入り口から出てきた女は、夜空を見上げて溜息を漏らした。つい今しがた登ってきた階段の先へを視線を映し、壁に寄りかかるようにして身体を休める。

「まぁ、夜勤は覚悟していたけれど…遅すぎじゃない? そう思って心配した振りして行ってみれば、邪魔するなとか…いや、おかしいだろ。お前の言ってた時間をもうとうにすぎてるだろ」

頭の中で割増料金の算段をしながら、通りへと視線を移す。ここは貸し切り、誰も通すな。そんな簡素でありつつ単純な指示を思い出せば、そういえば期限は言ってなかったかと思い出し、表情が暗くなる。

ファンシャン > 「え? ていうことは…これサービス? サービスなの? いや、私は思った以上に薄給でしてね。それならチップを…いや、そこであんな薬をもらっても仕方ないんだけどさ」

自分の思い描いていた定時を過ぎてから、独り言が増えてしまう。ジャケットの襟を正して背筋を伸ばすものの、表情は暗く落ち込んだまま。下で行われている“パーティー”とは対照的な空気がそこにはあった。それでもその場を動かないのは、仕事に対する姿勢の表れか。

「まぁ、苦手じゃないんだ…うん…」

ジャケットの下、肌に張り付くようにして身に着けているラバースーツが、立っているだけの身体を僅かではあるが補佐していた。具体的に言えば、眠りそうになれば頭の奥に覚醒物質を流し込んだり、身体が倒れそうになれば勝手に脚が踏ん張ったりといった具合だった。