2021/10/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にノイさんが現れました。
■ノイ > 瀟洒な造りの店舗や劇場の建ち並ぶ富裕地区の表通り。
その一角に面していながら、隠されたように続く地下への階段を降りた先にその店は在った。
薄暗く、何処となく妖しげな雰囲気の漂う店内に並ぶのはどれも夜伽に、若しくは余り大きな声では言えない趣味に用いられるような品ばかり。
「 ... 此方の媚薬と ... 其方の、振動する魔法式の玩具というのをひとつ ...
いえッ ... 私が使うのではなく、あくまで唯のお使いで ... !!」
そんな中で頬を真っ赤に染めながら、揶揄するような店員の言葉に首を左右に振って見せるのは、黒髪にメイド服を纏った娘の姿。
適当な相槌を返しながら娘の頭の天辺から爪先までを観察するように投げ掛けられる店員の視線に、
やや居心地が悪そうに佇みながら主人から命じられた"お使い"の品を伝えてゆく。
彼女の主人とて決してそれらの品を必要としている訳では無く、唯こうして娘が恥じらいながら夜伽の品を購入して帰って来るのを愉しんでいるだけと知りながら。
「 ... そ、それから、彼方に飾られているものと同じ拘束具一式を ...
... お試し ... ? け、結構です ... !!」
揶揄い半分に投げ掛けられた店員の言葉に一層頬を赤く染めながら、一通りの注文を伝え終えるとほぅ ... と深く息を吐いて。
早く用事を済ませて帰りたい思いで浮足立ちながら、伝えた商品の準備のために店の奥へと姿を消して行く店員の後ろ姿を見送ろうか。
■ノイ > それから暫くして、店の奥から戻って来た店員がカウンターの上へと並べてゆく商品達へと視線を落とす。
妖しげな色彩を帯びた薬の瓶に、つるりとした小さな球体が宝石のように収められた小箱、
重々しい金属音と共に置かれたのは鎖に繋がれた手枷に足枷、更には口枷と目隠しであろうか。
それらの放つ威圧感にも似た異様な空気に息を呑みながら、並べられた品々をひとつひとつ検めてゆく。
「はい ... それでは確かに ... どうも有難う御座います ...
お、お試しは ... そのッ ... 本当に、結構ですのでッ ... !!」
支払いを済ませ、紙袋に入れられたそれらを抱え上げてから御礼の句と共に丁寧な仕草で頭を下げて見せるものの。
本当に試していかなくて大丈夫?と投げ掛けられた店員の問いには顔を真っ赤にして首を左右に振りながら、逃げ出すように店の外へ。
「ふぅ ... 後は、此の侭お屋敷へ帰るだけ、ですけれども ... 」
しかし帰路を辿る娘の足取りは慎重で、数歩進む度に立ち止まってはきょろきょろと周囲の様子を見回してゆく。
抱えた袋の中身を周囲の人に気取られぬように、無用なトラブルに巻き込まれぬようにと祈りながら ...