2021/10/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 パーティー会場」にファビオさんが現れました。
ファビオ > 「ええ。それでは、佳き夜を。」

人当たりの良い笑みを浮かべながら、恭しく一礼すると共に挨拶を告げてからその場を後にする。

煌びやかな照明と、華やかな衣装に身を包んだ紳士淑女に彩られた広大なホールの一角。
顔馴染みの顧客たちと、最後に今宵の主催者である貴族の男性への挨拶を終えると、ふぅ――と小さく一息。
傍らに居た給仕から受け取ったシャンパングラスを傾けながら、談笑の輪から少し外れたホールの隅に陣取り、会場の様子を眺めてゆく。

世間話や自慢話に華を咲かせる中年の貴族達、
示し合わせた様にこっそりと会場を抜け出して落ち合わんとする若い男女、
つい先程挨拶を終えた主催者の貴族男性に諂って居るのは恐らくは商人の類であろう。

「このような場ですし、新たな顧客や人脈を得ようというのは、確かに同感ですがね。」

しかし、視線の先で見え透いた世辞の言葉を並べる商人の様子は、傍から見ていてなかなかに滑稽で。
程無くして体よくあしらわれながら去って行く彼の姿にそれ以上の興味は無く、再び視線を所在無げに彷徨わせる。

良好な取引関係を築けそうな相手を、或いは、男の"趣味"の相手と成り得るような人物の姿を探しながら――

ファビオ > 暫くそうしている内に、男の視線が留まった先はホールの丁度対角線上。
壁に背を預けながら、手に持ったシャンパングラスを退屈そうに転がす一人の女性の姿へと。

ほぅ――と人知れず感嘆の声を漏らしたのは、その姿が目を引く程に美しかったことと、
それとは別に男が興味を引かれるような"何か"を感じ取ったが故か。
緩やかな足取りで一歩、また一歩と彼女の方へと歩み寄り、やがて男は声を掛ける。

「今晩は。折角の佳き夜で御座いますが……この様なパーティーは、退屈でしたかな?」

それから先の出来事は、果たして――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 パーティー会場」からファビオさんが去りました。