2021/09/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 会員制バー」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 「やーん
 お客さん、おじょーず」

カウンターではしゃいだ声を上げて見せると、奥にいるマスタ―からじろりと鋭い視線が送られる。送られた方のエルフ女が謝罪のつもりでウィンクを送ると、マスターは鼻を鳴らしてツマミの調理に戻って行く。

(追加サービスのつもりなんだから、大目に見て欲しいんだけどなー。
 …それかマスター、女嫌いのゲイなのかな)

脳裏でそんなことを思いつつ、カウンター越しに客へにっこり笑って作り終えたカクテルを差し出す。『場末の酒場女みたいな声出すんじゃない』と毎度怒られるのだけど、声だけは割と気を付けているので本当は喋り方なんだろう。解っているけれどついつい、いろんな声音を上げてはマスターの反応を伺ってしまうあたり、この女エルフもどうかしているかもしれない。

本当の本当は歌うたいのアルバイトで来た筈が、接待するほうの店員に急遽欠員が出たとかでカウンターの内側に貼りつくことになってしまった。
なので今日は、歌がウリのこの会員制バーはピアノバーに変更だ。

客の方から不満は出ていないが、歌を歌う機会を失った方は不満たらたらだったので、ついつい余計なお遊びをしてしまうのはご愛敬だと思って欲しい、と思っている。

ジギィ > もう(店員として)馴染みとなったバーの室内は薄暗く、いつも通り額を寄せ合うようにして小さなテーブルで話し合う客で埋まっている。
と言っても、元々テーブル自体も少ない。なので店員も少人数で回すことが出来る。
その『少人数』も精鋭(マスター曰く)だから、ホールを回るような重要な役は彼等任せ。エルフ女の方は辛うじて手伝う事の出来る簡単なカクテルづくりだとかちょっとしたおつまみの調理(といっても切ったりあぶったりするだけ)だとか合間にカウンター席の客の相手とか

(……そこそこ忙しいじゃないの)

お給料弾んでもらわなきゃ。
歌を歌えなかった分の意趣返しも含めて心に火を灯しつつ、なんだかんだ真面目なエルフは仕事を全うする。

薄暗い店内でも見えているのか居ないのかの営業スマイルをきっちりと続けて、勤務が終わる頃には頬が筋肉痛になっていたとか―――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 会員制バー」からジギィさんが去りました。