2021/09/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からソルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にメレクさんが現れました。
■メレク > 王都の貴族邸宅にて行なわれる仮面舞踏会。
普段よりも照明を落とした薄暗いホールには管弦楽団による艶やかな音楽が鳴り響き、
華やかなドレスで着飾った男女が肌が触れ合う程に身体を近付け、会話や舞踏に興じている。
彼等は皆、一様に仮面を付けており、己の素性が何者であるのかを分からなくしていた。
表向きにはやんごとなき者達の社交の場である夜会。
しかし、その実は有閑貴族達が一夜の享楽に耽るための集いであるのは明白。
貴族の他にも見目麗しい奴隷の男女や高級娼婦、事情も知らずに集められた女達が混ざり込み、
灯りが届かぬ会場の隅からは男女の熱い吐息や嬌声が、音楽の途切れる合間に漏れ聞こえてくる事だろう。
その会場の中央の壁際にて一人の男が二人掛けのソファに腰掛けて高級ワインを嗜んでいる。
でっぷりと肥えた身体に、節くれ立つ十の指に嵌めた豪華な太い指輪。
仮面で顔を覆っていながらも、正体を隠す意志が見られない彼は、この夜会の主催者である。
傍らに奴隷達を侍らせて、時折、近寄ってくる貴族達との他愛もない会話に興じながら、
男は快楽に堕落する人々の姿を眺めて、心底愉しそうに只々ほくそ笑むばかり。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にジーゴさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からジーゴさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からメレクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にマディさんが現れました。
■マディ > 富裕地区の外れ、とある屋敷の跡地を前にして、ぼんやり佇む一人の女。
そう頻繁にではないが、偶に見られる光景であり、
亡霊だなどと噂されることもある、蒼白い貌をした修道女の姿。
――――――かつて、ここには瀟洒な貴族の屋敷があった。
今は門扉も壊され、前庭には雑草がさざめき、
柱も壁も崩れて、立派な廃墟の様相を呈している。
しかしここは、かつて、女が生まれ育った家だった。
少なくとも女はそう『覚えて』いるから、時折こうして、
ぼんやりと門前に佇み、遠い昔の幻を見ている。
目を閉じれば、記憶の中の光景は色鮮やかで美しい。
だから、幾つもの歪みを抱えた女の眼には、今も、
ここは廃墟としてではなく、在りし日の屋敷、そのままの姿で認識され、
――――――結果として女の存在は、ますます亡霊めいて映ることに。
「おかあさ、ま………おとうさ、ま、………どこに、いらっしゃるの?」
いっそ無邪気に小首を傾げる、女に答える者は無い。
空き巣や夜盗の類だとて、きっともう、ここからは狩り尽くしている筈だ。
■マディ > 時には、かつての屋敷の栄華を知る者が、ここを通り掛かりもする。
けれど今宵、そうした人物には行き会わなかったようで、
――――――それは幸運だったのか、不運だったのか。
暫くすると、女は夢から醒めたように鈍く瞬き、
今、すべきことを思い出す。
「いけない、……わたくし、何をしていたのかしら。
お届け物が、まだ残っているのに……」
呟いて溜息を吐く女の頭からは、もう、かつての生家のことは抜け落ちていた。
目の前に佇む黒々とした影は、ただの廃墟としか見えなくなる。
何故、ここにぼうっと立っていたのか分からないまま、
少しだけ歩調を速め、本来の目的地であった別の屋敷へ向かい――――――――。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からマディさんが去りました。