2021/08/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にメレクさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からメレクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にメレクさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からメレクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にメレクさんが現れました。
メレク > 王都の貴族邸宅にて行なわれる仮面舞踏会。
普段よりも照明を落とした薄暗いホールには管弦楽団による艶やかな音楽が鳴り響き、
華やかなドレスで着飾った男女が肌が触れ合う程に身体を近付け、会話や舞踏に興じている。
彼等は皆、一様に仮面を付けており、己の素性が何者であるのかを分からなくしていた。

表向きにはやんごとなき者達の社交の場である夜会。
しかし、その実は有閑貴族達が一夜の享楽に耽るための集いであるのは明白。
貴族の他にも見目麗しい奴隷の男女や高級娼婦、事情も知らずに集められた女達が混ざり込み、
灯りが届かぬ会場の隅からは男女の熱い吐息や嬌声が、音楽の途切れる合間に漏れ聞こえてくる事だろう。

その会場の中央の壁際にて一人の男が二人掛けのソファに腰掛けて高級ワインを嗜んでいる。
でっぷりと肥えた身体に、節くれ立つ十の指に嵌めた豪華な太い指輪。
仮面で顔を覆っていながらも、正体を隠す意志が見られない彼は、この夜会の主催者である。
傍らに奴隷達を侍らせて、時折、近寄ってくる貴族達との他愛もない会話に興じながら、
男は快楽に堕落する人々の姿を眺めて、心底愉しそうに只々ほくそ笑むばかり。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > とある貴族の、放蕩息子の護衛。そんな珍しい依頼が冒険者ギルドにもたらされた。魔物と戦わずにお金が稼げると飛びついた褐色肌の冒険者は――いつの間にか彼のメイドとして夜会に同行していたのだった。

貴族の随伴として仮面舞踏会に潜り込む。
見慣れない光景、聞き慣れない音楽に面食らいながらも、件の放蕩息子が手当り次第に着飾った婦女子に声をかける姿に蝶仮面の奥で苦笑い。
しかし、依頼主――件の放蕩息子の妹君が危惧しているような事態にはなりそうにない事に安堵もしていた。
ガラの悪い貴族や女子に絡まれないように、という老婆心からだそうだが、本人は相当体格も良く女性慣れもしている様子。

となれば、自分は単に貴族のお付きメイドとして役をこなせばいいわけで。仮面舞踏会の裏方として働いていれば良い。
そうした職務にはげむうちに主催者側のメイドからお声がかかり。酒精の配膳をすることになった。

「ご機嫌麗しゅう、スピリット様。
本日、100年もののワインが用意されてございます。
ひとくち、いかがですか?」

鏡のように磨き上げられた銀盆を手に、二人がけのソファに腰掛ける大柄な姿へと近づく。宝石が巻き付いたような手で嗜むワイングラスがカラになっている事に気づいたからだ。
厨房スタッフから説明入りで渡された、琥珀色の酒精注がれたグラスをにこやかに差し出しつつ、領主、とか、統治者、というような意味を持つ二人称で相手を呼んで。

メレク > 愚かな人間が欲望に負けて堕落する様は、何とも滑稽で、稚児に対する慈しみめいた感情すら湧いてくる。
鳥を模した仮面にて顔面の上半身は覆われている為に口許しか分からずとも、
彼の浮かべる表情は会場の雰囲気にご満悦と言った所であろう。

丁度、会場の真ん中で手当たり次第に婦女子に声を掛けていた若い貴族が、
一人に相手を見付けて、暗がりに引き込んでいく様子を眺めて、頬肉が緩む。
体格もよく女性慣れしている雰囲気の彼は、自身が女を捕まえたと思っているだろうが、
その実、好色な貴族の夫人に逆に捕まってしまったのだとは思いもよらぬ事だろう。
年増の毒婦の餌食となった彼が骨までしゃぶり尽くされて身代を潰すのは数か月後の話。

「ん? ……見ない顔ですね。まぁ、良い。貰いましょう」

不意に近付いてきた見慣れぬメイドに小首を傾げ、されども、差し出されたグラスを受け取る。
今宵の為に雇い入れた臨時の女も数知れず、人手不足で侍女の真似事をする者も居るのかも知れない。
身辺警護の面から言えば、不用心が過ぎるも、暗殺者であるならば、それもまた一興、と。
注がれたワインのグラスを傾ければ、一息に中身を飲み干すと、銀盆にグラスを置いて立ち上がり、

「さぁさぁ、皆さま。夜が更けるにはまだ早いですぞ。
 今宵はマスカレードナイト。一夜限りの密事を存分にお楽しみ下さいませ」

両手を拡げ、来訪客達に高らかに宣言すれば、管弦楽団が応じるように演奏を変えて盛り上がり、
享楽と背徳の宴は未だ幕を降ろす事はなく――――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からメレクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からタピオカさんが去りました。