2021/08/22 のログ
■ヘルティナ > 「――どれ程醜く濁ったそれを忌み嫌おうとも、人が人である限り切って離せぬものですもの。
無論、だからと言って私とてそれらの全てを肯定するつもりはありませんが……。」
それでも、傲慢に、或いは豪胆に言ってのけた目の前の少年の姿を。
女の金色の瞳が今一度見詰めて。
「生憎、わたくし国の王政や治世に関しては、
貴方の美術品に対するそれと同じ程度の知識と熱意しか持ち併せておりませんが……。
貴方が此の国の王に立つ未来と云うのも、なかなかに興味深くありますわね。」
そう言って、暫くの間互いに握手を交わしてから、ゆっくりとその手を解き。
「あら……。そう易々と、手折られてしまうような花と思われても困ってしまいますが……。
けれども、そうですわね……折角の佳い夜ですもの。
もう暫くの間、場所を替えて語らうのも悪くはありませんわね……。」
女の金色を覗き込む、紅色の瞳に宿った仄暗く獰猛な獣の欲望。
それに気が付きながらも彼の申し出を女が受け入れたのは。
これまでの語らいを通して女自身も気付かぬ内に高揚した気分に酔った所為か、
或いは目の前の彼の内側に隠されたその本性に、少なからぬ好奇心を抱いてしまった所為か――
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「……興味深い、と評してくれるか。それは有難い事だな。
では、その好奇心を裏切らぬ様に尽力させて貰おうとしよう」
子供の戯言、とも。傲慢な王族への世辞、でもなく。
興味深い、と評した彼女に満足した様に微笑んだ。
手に取ろうとする花の棘の鋭さと、その美しさに満足したかのように。
「そうさな。易々と折られてしまっては、私も手折り甲斐が無い。
……この美術館には、賓客を持成す為の屋敷がある。
私も一室貰っていてな。其処で、暫しの間共に過ごそうじゃないか。ヘルティナ」
そうして、淑女をエスコートするかのように恭しく一礼すれば。
彼女と共に、名だたる美術品の群れを抜けて――今宵一夜を過ごす一室へ…褥へと、誘うのだろう。
彼女を魔の者と知らぬ儘…いや、恐らく知っていても、きっと誘う言葉は変わらない。
美しい花は、愛でるのではなく手折ってしまうのが己の本性なのだから――
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 【部屋移動の為、退室致します】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 私設美術館」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 私設美術館」からヘルティナさんが去りました。