2021/06/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 会員制バー」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 「にゃはははははは」

静かに月が空に浮かぶ夜。
富裕地区でも特に静かな居住区の、その路地奥でひっそりと看板を挙げるバー。
地下にある店内は今日も青みがかって薄暗く、正体など伺いようもない各テーブルの客もひっそりと会話を交わしている。

その店内の奥、ちょっとした余興のテーブルとして設けられた『占い師』の席から、少々場違いな笑い声。
一瞬静かながらも視線がそちらへ集中したことを感じたのか、声を上げた本人、銅色の肌の女エルフは口元を押さえて、こほん、と空咳をひとつ。

暇だから、といって一杯貰ってしまったのは良くなかった。
ひまなのでこの場に居ない知り合いの現在を適当に占ったら、ものすごく高確率で『トイレに紙が無くて閉じ込められている』という結果。
当たっていようがいまいが、生真面目な友人の状況を思わず想像して、独り笑ってしまったという次第。

カウンターの方へ目を向ければ、店長が目をむいてこちらを睨んでいる。
ごめん、と片手で謝るジェスチャーをして広げたタロットカードをもどして、果たしで戻るかどうかはわからない威厳を取り戻そうと、意味ありげにカードを切って行く。
内心は『あー今ピアノ誰も引いてないんだから、ちょっと触らせてくれないかな』等と全く集中していない。

(本当は真面目なわたしがこんなことを考えてしまうのはこれはたぶん酒のせい)

多少ふわふわとする心持ちで含み笑いをしながら、薄暗い奥の席で『客』を待つふり。
本当の所、閉店まで閑古鳥でもお給料は変わらないのでどちらでも全く構わない。だものだからまた含み笑いをするのは、またよからぬ想像でもしているからかもしれない。

ジギィ > 果たして今夜もにわか占い師の元に訪れる客はおらず
女エルフは歌の題材もつかみそこねて多少は空しくなるものの
温かくなった懐と共に、明け方にはねぐらへと帰って行くだろう

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 会員制バー」からジギィさんが去りました。