2021/06/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にプリシアさんが現れました。
■プリシア > 王都マグメールには地区を選ばず幾つもの公園が点在している。
此処はそんな公園としては其れなりに大きな場所。
広場では所々に遊ぶ子供達や其れに付き合う親、疲れを癒しに寛ぐ大人の姿も見られる。
そうした広場の一角で行われている、大掛かりでない一般的なマジックショーの観客の一人として其処に居た。
お友達と遊んでいたのだけど、其れも終わって帰ろうとした処。
だったのだけど此の催し物に興味を引かれてしまったのだ。
まだ日が沈むのは先だから大丈夫と、一人残って其の光景を見詰めている。
内容は少し腕が有れば出来る程度のもので、観客の何人かは何処かしらで見た事もあるものだ。
だがそうしたものを知らなかった小さな少女にとってはとてもとても珍しいもの。
目を輝かせ乍、ジッと其のマジックショーを飽きずに見詰め続けているのだった。
背中とお尻から少しばかり見える小さな翼と尻尾が揺れているのは、其れだけ楽しんでいると云う事の現れだろう。
■プリシア > 中に何も無いと思ったシルクハットから鳩が飛び出しても。
何も持って無かった手の平の上をハンカチで覆い隠し、其れを取ったら中に綺麗な花があっても。
手の中に握ったコイン、反対の手を手の甲に置いて振ったら、其れが手の甲に乗っていても。
其の度に目を丸くさせ乍、観客の拍手に合わせて自分もパチパチと拍手を送る。
其れこそ、誰が見ても種も仕掛けも解る様なマジックさえ驚き喜ぶのだろうと思わせる姿を見せていた。
其れが一通り終われば、今度は違う催し物を見付けて其方へ向かう。
知らない事ばかりの此の楽しい空間は、時間を忘れて何時までも居れそうで。
あっちへこっちへと向かう小さな少女は興味尽きる事が無いと思える位に活動的だった。
次の催し物、又其の次の、其れを見終え。
日の傾きを見れば後一つ見れるか如何かと思える頃合になっていた。
もう少しだけ巡っても良いし、ちょっと早いけど帰っても良さそうな時間。
「う~ん、どうしようかな…?」
小さく首を傾げて迷う様な仕草。
迷うけど、何かしら又興味が向きそうなものが在れば其方に行きそうではあるものの。
キョロキョロと見回す其の先に何か在るだろうか?
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」に竜胆さんが現れました。
■竜胆 > 夕暮れとなって居ても、動く存在はいる。例えば、家で飼う狼犬、朝、昼、晩と定期的に散歩に連れて行かないとならない。
基本的な飼い主はゼナであるが、彼女が狼犬を連れて行かないときは、竜胆が世話をすることになる。
何故か、と言うのは判らないが一番家の中にいて、一番その犬といる時間が多い上に、何か仕事をしているかと言えばしていないから、だった。
面倒くさそうに首輪に繋いだリードを持って、片手には書物。
犬に引っ張られるようなそんな動きのままなのは、とても、とても、面倒くさいという意思が見て取れるだろう。
そして、狼犬グリム君は、竜胆を引きずって歩いているモノの、何かに気が付いたように方向転換。
のし、のしのし、と3m程の大きな体躯でちかよるのは。
新しく家にやってきた女の子、リードを持っている少女と同じく竜の翼と尻尾を持つもの。
家長の娘であるプリシアの方を、その瞳は静かに捕らえたのだ。
その動きに引っ張られるようについていく竜胆は、本から目を離さない、基本犬の好きなように動かして、面倒な時には放つという感じだ。
きょろきょろしている黒髪の少女に近づく、巨大な犬と、深紅の髪の女。
■プリシア > 屹度興味の引く催し物が在れば其れは見えていなかったのだろう。
此方から見えたのは、近付いてくる大きな犬。
普通に考えれば異常な大きさの其れだが、そう思っていないのは普段から其れを見ていたから。
詰まりは、家に居る飼い犬であった。
其の姿が見えれば、キョトンとした表情を浮かべる。
何時も見るのは家の中だからだ。
「グリムちゃん、こんなところで、どうしたの?
……?あれ?竜胆おねーちゃん?」
不思議そうにそう聞いたのは、此方からの視界に見えたのが大きな犬が一匹だったから。
前を犬が歩き、散歩に連れ出す飼い主が引っ張られていれば当然影に隠れてしまう。
チョコチョコと大きな犬に近付けばそう聞くのだけれども。
近付けば、当然だが首輪から伸びるリードに気付ける訳で。
其れをゆっくりと目で追えば、後ろの存在に其処でやっと気付くのだ。
母の妹で叔母に当たるのだが、見た目で呼ぶ為にそうした呼び方に。
呼び乍交互を見遣って、もう少しだけ考えて、ああ!と云った感じに手をパンッと叩く。
「竜胆おねーちゃんと、グリムちゃん、お散歩?」
其れから、次いでそう聞くのだった。
■竜胆 > 「―――――。」
グリムが先を歩き、それにつられて歩いていく、書物を読みふけりながらの歩行は、本来であれば危険なのかもしれないが、狼犬が前にいて、その陰に隠れるように歩くからこそ、問題がない状態となって居る。
傍から見れば、引きずられているように見えるだろう、間違いはないのだが。
そして、散歩コースである公園にやってくれば、リードを外すのだけども、その行動の前に一つ別のタスクが入る。
グリムの名を呼ぶ小さな声と、それに応えるように、ウォンと、鳴く狼犬。
視線を向けてみれば、姪が其処にいた。
グリムは、何時ものようにその大きな鼻面を、姪の股間に近づける。
犬の習性で、股間の匂いを嗅いで体調を調べるのだと言うのだが、このグリム、女の子にしかそれをしようとしない。
だからこそ、その頭をすぱぁん、とひっぱたいて辞めさせる。
「あら、プリシア。
こんなところで何をしてるの?」
最初のグリムへの質問と、自分への気づきの言葉をさらりと聞き逃していた、近づいてきた幼女に、グリムは鼻面をすりすり擦り付けていた。
おねーちゃん、とちゃんと判って居る言い方をしているのに、良し、小さく頷く。
間違えても叔母ちゃんと言って居れば、幼女に遠慮のない制裁が飛ぶのが、この竜胆と言う女であった。
「ええ、そうよ?
貴女は―――何故一人でいるのかしら?」
プリシアは幼い、母親であるリスか、若しくはトゥルネソルのドラゴンか。
若しくは―――ともかく、誰かしらが一緒にいる筈ではないのか?と。
何をしているのか、と幼女を放置して居る家族に、呆れのため息と、その感情は姪と同じように尻尾が地面を叩き、地面を凹ませるのだ。
竜胆は、目の前の幼女と同じく、角も、尻尾も、翼も隠さずに。生きていた。
■プリシア > 自分の声に答える犬の吠え声も、周りの人達からすれば驚くものだろうか。
慣れている其の鳴き声に答える様に、おいでおいで、と手招きするのだけれども。
近付いて来る犬の顔、其の顔が触れる前に如何やら頭を叩かれ止められたみたいで。
其の向かう先が自分の股間であったからの制止なのだが、其れには気付いていない。
不思議そうに又キョトンとするのだった。
「あのねあのね、竜胆おねーちゃん。
すごいのとか、おもしろいのとか、いっぱいあるの」
キョトンとしていたのだけれども、質問が向けられればちょっと考える様に。
説明を考えていた様なのだが、如何説明したら良いのか解らずで。
両手を上げたり、右左と動かしたり、身体も動かして説明するのだが。
そんなとても抽象的な答えで彼女へと返されるのだ。
鼻先を擦り付ける犬、何故か小さく頷く彼女。
其れ等の意味は解ってなさそうだが。
気にした様子も無く擦り付いて来る犬を撫でてあげるのだった。
「あ、あのね、今日はお友達と来たの。
でも、お遊び終わったから、みんな帰っちゃったの。
それでね、それでね、だからプリシア、あれを見てたの…わっ」
説明不足は否めないものの、其の分、聞かれた事にはちゃんと答える。
あれ、と云うのは指を差した先に在る公園の催し物と解るだろう。
彼女の次の質問に正直に答えていれば、其の言葉の終わりに揺れる地面。
グラッとちょっとバランスを崩すのだけれども、何とか踏み止まった。
「竜胆おねーちゃん、地面叩いたら、尻尾も地面も痛いの。
ね、大丈夫?大丈夫?」
其の原因が目の前であった彼女の尻尾の所為で、凹んでる地面も見えて。
其の凹んだ地面の側に依って、其れを凹ませた彼女の尻尾を見て、そう聞くのだ。
心配そうに、地面と彼女の両方を見詰め乍。
■竜胆 > おいでおいでされたグリム君は、とても嬉しそうに尻尾を振る。でも、股間をクンクンできないので、残念そうだ。
そんな様子などは、竜胆は知ったことでは無く、逆に何をしてると、言わんばかりにグリムを見下ろす。
きょとんとしている姪の顔には、気にしないで、と軽く手を振って見せるのだった。
「―――――。そ、う。なのね?」
正直に言って、何が言いたいのかが判らない。
全身を使って、両手両足どころか、背中の翼や尻尾まで興奮しているのかパタパタしているのが見える。
しかし、曖昧過ぎる言葉に、ふわふわとしている言語。
彼女は未だ、上手く伝えるための語彙が育っていないのだと判ってはいるが、難解な古代文字よりも難解なのだ。
すごい、おもしろい―――主語が何処にあるのか、彼女の視線は此方に。
ちゃんと目を見て話すと言うのはえらい事なのだけども―――だからこそ、判らなくなる。
視線の先を見て、納得するという事も出来ないのだ。
グリム君は、優しく撫でてくれる幼女に甘えるように顔を擦りつけ、なでなでされることを堪能する。
まったくエロ犬がと、言いたい所だけど流石に幼女の前でそれを言うのは憚られていた。
「ああ、あれ。」
ようやく、理解が近づいた。
公園の催し物、見習いなのだろう道化師が、手品を行っている。
視線の誘導や、小手先の技術で、魔術のように見せかける小技。
成程ね、と納得を一つ見せてから、踏鞴を踏んでいる姪の方に視線を戻す。
「大丈夫よ、其れよりも、娘を放置してる馬鹿姉の所業に呆れているの。
気にしないで良いわ。
貴女が思うよりも、私の尻尾は強いのだから。」
心配はしなくても良いと、幼女の頭をなでて見せる。
彼女は悪くないし、好奇心の儘に動いただけ。
まあ、家令長はいつも見ているだろうし、リスではない方の親も見ている筈だから、滅多なことはないとは思うが。
やれやれ、と溜息を一つ。
「グリムに乗って帰る?」
時間はそろそろ日が落ちてくる頃。
流石にこれ以上外に出していれば、幾らドラゴンと言えど、彼女であれば誘拐されてしまうやもしれない。
なので、保護して帰るべきだろう。
■プリシア > 流石に残念そうなのを判断するのは犬の感情を読めない此方には難しい。
見えない後ろの方で何かしたのかな?と其の程度の考え方しか出来なかった。
そして彼女からは気にしないで、と云われたので素直に頷いてみせる。
何故なのか気に為るのは気に為るけれど、手間を掛けさせたくはない自分なりの思い遣りだ。
因みに自分の説明が彼女に通じていないのは理解していない。
何処か違和感の在る納得した様な言葉だが、気付けなかった。
だから、自分はちゃんと彼女の説明が出来たんだと安心を抱く。
尤も、其の後の自分の動きで彼女は気付けたらしいので問題は無いのだが。
顔を擦り付ける犬には優しく撫で続けている。
止められはしたものの、顔を何処に擦り付けられても気にする様な事は無いのだが。
其処は周りの対応に任せるのだ。
「あのね、そのね、おかーさん、忙しいの。
だからね、プリシア、一人でも、お友達とちゃんと出来るよ、って。
だからね、おかーさん、悪くないの。
でもね、地面あんなになって、痛そうなの。
ね、竜胆おねーちゃん、本当に、大丈夫?」
撫でられる手の感触には気持ち良さそうにしているのだけれども。
彼女の母を責めるような言葉に、其れを庇う様にそう伝えるのだ。
実際にはちゃんと周囲は最低限の注意には目は光らせているだろうし、自分を守る加護も在るのだが。
其れを彼女が知っているか如何かは分からない。
「うん、竜胆おねーちゃんも、グリムちゃんも、一緒なら、帰るの。
えっとね、グリムちゃん、よろしくね?」
彼女の提案には深く考える事なく頷いた。
折角の申し出なのだから断るのは悪いと云う心遣いも勿論入っているのだが。
一人で帰る依りも誰か居た方が安心出来るからと云うのも在る訳で。
そう伝えれば、今度は自分からも乗せてくれる相手へと抱き付くのだった。
■竜胆 > 素直なのは良い事だ、時と場合にもよるのだけれど、今はいい方向に向いていると思う。
何もわからないと言うなら、それは守るのは近くにいる大人の義務だし、エロ犬の好きにさせるのは癪だった。
しかし、こればかりは何時も何度も躾けても治らない、本当にこの犬は、これだけは直さないのね、とグリムをにらむのだった。
プリシアの説明能力に関しては、まあ今は見守るしかあるまい。
彼女は幼い、その見た目よりも精神年齢が幼く感じられるし、知能も未だ、学習中と言う様子。
それならば、いま彼女にそれを何か言うのは良くは無かろう。
もっと学び、立つのならば――と、思う。
竜胆は魔術師だ、魔導士を目指す学徒とも言えるので、学びに関してはそれなりに真摯で居たい。
彼女は良く学んでいる方なので、見守る事にはしておこうと考えて居た。
「―――それでも、今の状況をみたら、リスは、貴女を放置して居るという事になるのよ。
そうね、友達と遊んでいる、一人で出来るは大事。
でも、一人きりでいるのは、出来るだけ慎みなさい、せめて、グリムとか、誰かを連れて歩くと良いわ。」
グリムは懐いているようだ、たぶん家の人、家令などを連れて行くでも良いだろう。
完全に一人きりと言うのは、彼女の見た目の年齢的に宜しくはないから、と。
まあ、判っては貰えると思わないのだけども。
強い魔力で包み込まれている加護に関しては、把握している。
プリシアの弱い所を守る様に、そして、いざ、何かあっても、彼女の命を守る加護だ。
加護があるから放置していいという訳ではないのだけども―――まあ、これ以上はお節介か。
尻尾を気にする彼女に、もう一度、大丈夫だから、と。
「ほら、グリム、乗せなさい。」
一緒に帰ると言うのであれば、グリムに伏せるように伝える。
抱き着くプリシアを潰さぬようにグリムは伏せれば、彼女を抱き上げて背中に乗せさせる。
乗ったのを確認してから、グリムとプリシアを見る。
「ちゃんとつかまって為さいな。」
そう、彼女に指示をしてから。
グリムを連れて、プリシアと家に帰るのだろう。
彼女の今日何をしていたのかを、説明を頑張って聞いてみるのだけど、どれだけ理解できただろうか―――。
■プリシア > 其の成長の緩やかさは、人の世に混ざり竜と共に生きている為だ。
双方の生き方や考え方を同じ様に学んでいるから如何しても追い付かない。
だが、其の成長の仕方は大器晩成型とも云えるかもしれないもの。
其処に至る頃には、どちらも含めた考え方を身に付ける事なのだろうから。
其れが実際に良いのか、完成に至るのかは解るものではないが。
彼女も含め、其れを周りは見守ってくれている。
其の環境も又、此方を守っている事と為る訳で。
「え、えっと、えっとね…あの…
うぅ…うん、ごめんなさい」
彼女の云い分は正しいのだが其れが直ぐ理解出来る程に頭は働かない。
如何云ったら良いのか解らなくて、でも彼女も悪い事を云っている訳じゃないのは解っていて。
如何云って良いのか解らない侭、彼女の意見にショボンとし乍も頷くのだった。
其れに合わせる様に、小さな翼は揺れ尻尾も垂れる。
彼女が思う通り、守るものがあるから放置しているのは間違いだ。
だが其れは此の国の現実を知る機会も在るかもしれないと云う厳しさも含まれているのだが、流石に其れ迄は理解するか如何か。
「あ、うん、それじゃ、乗るね?」
取り敢えず、此処で立ち話を続けていても仕方が無いか。
彼女の指示で伏せる犬に、彼女に抱えて貰って乗せて貰う。
確りと落ちない様に掴まって。
「うん、竜胆おねーちゃん、大丈夫なの」
彼女の次なる指示に頷き乍、其の侭、二人と一匹で帰宅するのだろう。
其の途中の説明も矢張り大雑把なものとなる訳で、其の読解力が彼女に問われる事となるのだった。