2021/05/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にサシャさんが現れました。
■サシャ > 昼下がりの王都の富裕地区。
人通りも少なくゆったりとした時間が流れる通りを、
貴族らしい身なりの少女が鼻歌を歌いながら楽しそうに歩いていく。
「楽勝、楽勝ですわ~♪」
しかしてその正体は実は人間ではなく、魔族。
ハーピーのサシャは人間に擬態し、こっそりと王都に潜入していた。
目的は、魔族側のスパイ達への伝言な届け物。
敵地に潜入するのは最初は少し緊張したものの、ザルのような警戒に拍子抜け。
あっさりと任務を終えて、サシャは帰ろうかと考えていた。
「んー、でもせっかくですし、お土産でも買いましょうか♪」
お金は相応に持っている。真っ直ぐ帰れば余ってしまう。
ならば、少し贅沢をすべきだろう。
サシャの足は、高級服飾店や雑貨店が立ち並ぶ一角へと向かった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にクルサオルさんが現れました。
■クルサオル > マグメールの各地に冒険者の宿というのはある
同じ依頼があれば別の依頼もある為、自分に合う依頼を見つけるために宿を回ることはしばしばある。
別に、今すぐ金が欲しいわけではないが、宿代等にある程度は常に確保しておきたいのが冒険者の心得だ。
そうでなくても、やはり金はいくらあってもいい。
この国に来る前からそれは理解している為、依頼を物色するために宿を探している。
問題はこの冒険者が自身の容姿について全く頓着しないことだ。
10人中8,9人は振り向く程の美形。女か、男かもわからないほど端麗だ。
…………この者は、性別は大した意味は為さないからどっちでも合ってはいるのだが。
宿探しついでに雑貨店付近まで来ると、思わずぶつかってしまう。
「おっと、すみません。大丈夫ですか?」
そう、女性的な声でぶつかった相手に声をかけた
■サシャ > どの店に入るかうきうきと考えていたサシャだったが、
思わぬアクシデントにその思考は中断される。
ぶつかってきた誰かを見れば、かなり長身の…多分女だろう。
「ま、前向いて歩きなさいな!…ん?」
不注意だった自分のことは棚に上げて、そんな事を言うサシャだったが、
ふと、その女に何か違和感を感じた。
あまり富裕地区では見ないタイプの服装だとか、そういうのもあるが、
何か、こう……。
「……もしかして、魔族?」
人間とは匂いが違う気がした。
■クルサオル > ぶつかった相手に謝りながら、目の前の女性を見る
どこか他の者とは違うような、しかしよく溶け込んでいるような感覚
違和感を感じながらも、その姿を見れば少女と思わざるを得ないが…
「えぇ、こちらの不注意だった。ごめん…………すみません」
途中途中、喋った後に言葉を変えながら返答をする。
そのまますれ違うものかと思えば、そう声をかけられると
「あー…じゃあ、あなたも?」
そう聞きながら、周りを見渡して。
…幸い、まだ注目は浴びていないことに少し安堵する。
「すみません、話すならあちらのカフェでもいい?…ですか?」
そういって、そこそこ賑わっているがそこそこ席の空いているカフェに指さした。
■サシャ > 思った通り、目の前の長身も魔族らしい。
しかしまぁ、言葉遣いもぎこちない。
ここに潜入している他の魔族は、皆それは上手く溶け込んでいるものだったのだが…。
「あ、えぇと…」
サシャは少し逡巡した。魔族同士長時間話すのは、
流石にバレるリスクも高くなるのではないだろうか?
しかしながら、何かしら王都の情報を追加で得られるかもしれない。
考えて考えて…、
「奢ってくれるなら構いませんわよ?」
付き合うことにした。
指さした先のカフェに、長身より先に歩いていく。
■クルサオル > 魔族の少女が少し考えた後、話を受けてくれると言ってくれたのでそのまま
彼女が先に歩くのを見ながら同じくカフェへと歩いて行く。
長髪を靡かせながら彼女と向かい合わせの席に座り、彼女を見つめる。
赤い瞳に青いツインテール。やはり少女にしか見えないが、魔族であるならばこの違和感も納得だった。
同族を見分けることは得意ではない。というより人間と共に暮らしてきたために分かりづらいのだ。
こうしてようやく面を合わせてわかるようになるぐらいに。
「奢るって言われても、手持ちはそこまでじゃないから、遠慮しなくていい…………ですよ?」
最後の敬語の言葉が思いだせず、つい数秒言葉に詰まった。
まだまだ敬語は難しい。
「僕はクルサオル。えーと…………可愛らしいお嬢さん、君の名前は?」
最近同業者に聞いた、相手に喜ばれる名前の聞き方を行う。
板にはついてないが、まぁ見る人が見ればこの者の容姿を加味して及第点といったところだろうか。
■サシャ > 「……話しやすい言葉でいいですわよ別に。何なら魔族の言葉でも構いませんわ」
相手の何とも微妙にちぐはぐな言葉に、サシャは呆れたように言う。
容姿端麗なのに、まるで田舎魔族、ちょっと賢いオークだとかみたいな喋りだ。
はたして擬態を解けばどんな魔族なのかとサシャは長身の顔をじっと見るが、いまいちよくわからない。
「サシャ。サシャ・ペトリャコワですわ。ハーピーの名家ですの。
聞いたことぐらいあるでしょう?」
周りに聞かれないようちらちらと見ながら、
サシャはクルサオルにだけ聞こえるような声色で語る。
■クルサオル > 「あぁ、ごめん。魔族の言葉とか知らないんだ」
そう素直に言えば、多分驚かれるんだろうなと思う。
けど事実故致し方なし。ましてや、魔族と面とこうやって話すのも初めてなのだから。
それに初対面の相手に噓も良くないって、育ててくれた人達も言ってたし。
「へー、ペトリャコワさん。ハーピーなんですね。有名なんですか?」
そんな間の抜けた声で返事をする。
名前の発音は完璧なのは、ある意味魔族であることの証明かもしれない。
それはそれとして、全く知らないという文字が顔にありありと見える。
■サシャ > 「は?知らない?」
クルサオルの言葉に、サシャは思い切り疑問符を浮かべる。
魔族なら魔族である程度共通の言語というものはあるし、
細かい種族ごと、例えば自分ならハーピーの言語もある。
サシャはこれでも名家の令嬢なので、ある程度種族ごとの言語も知っているのだが、
まさか知らないと返されるとは思わず。
「そっちも知らないんですのね…どういう出自ですの…?」
自分の家だって、全員が全員知っているとは限らないが、
それでも王都に潜伏するような魔族なら聞き覚えぐらいはあって欲しいところで。
サシャは訝しむような顔でクルサオルを見る。
いつの間にか頼んでいたカフェオレがテーブルに届けられた。
■クルサオル > 「はい。教えてもらったことはありません」
そう断言しながら、自分が注文したゆで卵とパスタを受け取る。
生まれてこの方、魔族と共に過ごしたのは同じく冒険者として生きている魔族だけだった。
魔族についての情報はある程度知っているが、魔族の国についての情報はほとんど知らない。
まして、価値観が人間に近いので魔族の価値観が理解できない時もある。
「出自?わからないなぁ。卵の時に人に拾われたから。
あ、マグメール王国じゃないよ?別の遊牧民で、そこから自立してここまで来たのさ」
話しやすい言葉でいい、と言われた瞬間に流暢に喋り始める。
身の上を明かすのは別にダメと言われたことはないし、隠すほどの事でもない。
「ま、多分捨てられたか「いなかった」事にされたんじゃないか、って育ての人達には言われたよ」
そう言うと、剝き終わったゆで卵をそのまま丸吞みする。
その姿は板についており、この者の受け継いでる種族がどういう系統かなんとなく察せられるかもしれない。
■サシャ > 「は?人に…人に?」
ぽかんとした顔を浮かべ、サシャはクルサオルの顔を見る。
田舎魔族どころの話では無かった。
卵を丸のみという人間はあまりしないような食べ方をする彼女は、魔族の国から潜伏している魔族ではない。
それどころか、魔族に捨てられ人間に育てられたなら大分人間寄りなんじゃなかろうか…。
「……あ、あはは。そうですのね…それは大変でしたわね…」
サシャはカフェオレを飲みながら、内心少し焦っていた。
魔族だろうと軽率に声を掛けたが、魔族の国に味方するのかはわからない、いや、あまり期待できない相手だ。
下手すると自分の事を通報されてしまうかもしれない。
「しかしまぁ、人間が魔族を育てるだなんて珍しい事もありますのね」
しかしここで会話を切るのも不自然だろう。
サシャは彼女の話を続けることにした。
■クルサオル > 「うん。あ、もしかして密偵だった?」
サラリ、とそう聞く。
顔を見れば、魔族としてもかなり端麗だろう。
血自体はおそらく高位…………かはわからないが、そうである可能性はある。
もっとも、彼女自身、自分の事は分かってないことから推測以上の事はできないが。
「大変…………なのかなぁ。
まぁ気にしてないけどね。それにほら、別にこの国に義理立てもなければ人に肩入れするつもりもないし」
価値観が人間に近いだけで種族として人間であるとは思っていない。
どっちに着くかと言われてもピンとこない以上、こう答えるしかない。
「そうだね。まぁこの周辺で育ったわけじゃないし、そこの人達も変わった習慣も多かったからねぇ。
やっぱり宗教一つで、魔族への見方も変わるってことじゃない?」
もう一つゆで卵を丸吞みして。
…………味がするような食べ方じゃないはずなのに、非常に美味しそうな幸せな表情を浮かべていた。
■サシャ > さらりと言われた言葉に、思わずカフェオレでむせてしまう。
げほげほとしばらく咳き込んでしまう。
「た、例えそうだったとしても素直に言うわけないでしょう!」
ほぼほぼそうだと言っているようなものだが、サシャはそんな反応を返す。
それから目を瞑って、息を整えた。
「あー、国とかどうでもいいタイプですの…それはよかった…」
どうやら通報はされそうにないので、サシャは少し安堵した。
「そういうものなんですのね…人間はわかりませんわ」
何か蛇みたいな飲み込み方だなと卵を食べるクルサオルを見つつ、サシャはカフェオレを飲み終える。
■クルサオル > 咳き込む姿に、内心で当たりかと思う。
反応に出やすい魔族だなぁ。
「そうだよね。でも反応はすごく素直で可愛かったよ」
にっこりとどこか嫌味にすら感じられるほどいい笑顔を浮かべる。
なんだかこの子、可愛いし虐めたくなってしまう。
いけないいけない。そう思い直してパスタを啜った。
「うん。生きる宿と仕事があればそれでいいから。
なんかして欲しい仕事とかあれば受けるよ?
あ、情報収集とかは得意じゃないからそこは先に言っておくね」
安堵した彼女を身ながら、そう告げた。
スパイの真似事は得意じゃない。出来るのは直接戦闘の方がいい。
「そうかなぁ。魔族だって、分からないこと多いと思うけどね。
ほら、僕だって自分が何の種族はよくわかってないし」
自身の髪を掴み…………一瞬だけ擬態を解くと髪先が蛇になった。
■サシャ > 「は!?可愛い!?失敬ですわ!!」
サシャは自分でも自分の事を可愛いと思っているタイプであるが、
ここで言われると流石にからかわれていることはわかる。
彼女は顔を少し赤くしながら抗議した。
「お仕事、お仕事ねぇ…じゃあ今度この国に来たら護衛でもして貰おうかしら。
まぁ荒事にならないのが一番ですけど…」
しかし、雇うとして、窓口はどこなのか。
冒険者ギルドじゃサシャには利用できないし…。
「あー……もしかして睨んだら相手を石にできたりしますの?」
蛇になった髪の毛を見て、サシャは言う。
こんな特徴的な種族はアレぐらいだと思うのだが…。
■クルサオル > 「えぇ・・・・?可愛いって、本気の褒め言葉のつもりで言ったんだけども」
怒られたことに釈然としない表情を浮かべる。
そりゃまぁ、少しいじる気持ちがないと言えば…………噓になる。
しかし顔を赤くする彼女の姿も同時に可愛く見えた。
「うん、いいよ。直接その時は報酬を渡してくれると助かるかな。
あ、この国の通貨じゃなくてもいいよ。換金出来るところは知ってるからね」
そう告げて、またゆで卵を1つ丸吞みにした。
「ん?ん-……出来るけど。
滅茶苦茶疲れるからやりたくないかなぁ。
相手から追い剝ぎとか、体を解体することできなくなっちゃうし」
さらりとそう言ってのける。
…………おそらくこの少女の中で、この女の種族は当たりがついたことだろう。
■サシャ > 「そうは聞こえませんわ…」
プライドが高いだけにいじられるのには敏感な彼女の機嫌を損ねてしまったらしい。
サシャはぷい、と横を向き頬を膨らませた。
「じゃあまたこの国に来た時には頼みますわ。
使い魔をよこしますから。国境近くに来てくださいまし」
そう言ってぴい、と口笛を吹くと、空から青い小鳥が降りてくる。
サシャがクルサオルを指さしながら小鳥に何事か話しかけると、小鳥は頷いてまた空に戻って行った。
「それなら、貴女は蛇の魔族なのでしょうね。
ただ、純血ならすぐわかりそうなものなのですけれど…」
メドゥーサだとかラミアだとか、蛇系の魔族。
視線で相手を石にするのは、この魔族の得意技だ。
しかし、純血なら気配でわかるはずだった。
■クルサオル > あちゃー、と内心でごちる。
どうやら機嫌を損ねてしまったらしいことを察して考えて。
「ごめんって。ほら、何でも言うこと一つ聞いてあげるから許して、ね?」
そんな軽い言葉で、しかし本来考えればとても重いことを言いながら許してもらおうと声をかける。
「ん、わかったよ。日時にも寄るけど可能な限り向かうよ。
大丈夫、約束を破ったことは今のところないから!」
ぐっ、と親指を立てる。
使い魔、というのは見るのは初めてだった。…………自分も欲しいなぁと思った、まる
「そうなの?ん-…………。
まぁ髪の毛は本来は蛇だけど、生まれた時の僕って粘液に蛇が生えてるみたいだったってそう言えば聞いたことあるならぁ」
そうぼやき、自身もゆで卵とパスタを食べ終わる。
■サシャ > 「何でも?……ふふーん、なら隣の店でバッグでも買ってくださるかしら?」
そう言うサシャの視線の先には、富裕地区らしい高級店。
カフェを奢らせた上にさらにお土産まで買えと言うのであった。
「わかりましたわ。貴女が頼もしい護衛であることを期待していますわ」
先ほど使い魔に下した命令は、クルサオルをしばらく観察すること。
護衛としての有用性は、その報告次第でわかるだろう。
「粘液に…ますますわかりませんわねぇ」
粘液に蛇が生えた姿の魔物など聞いたことがない。
それが目の前の女の真の姿なのだろうか?
■クルサオル > 「うひぇ…………」
言われて視線の先にある高級店。そのバッグなど。
いちおう買えなくはないだろうが、滅茶苦茶痛い出費に違いなく、つい苦い顔をした。
「わかった。わかったよ、それでちょっとは許してくれるなら」
しくしくと、そんな擬音が聞こえそうな声で頷く
「うん。まぁ、最悪力を使えば対策してない相手は大体なんとかできるしね。
そうでなくても、そこそこ腕には自信あるよ」
そう言うと、ポンポン、と荷物の中にある長剣をたたいた。
「そうだよねぇ。多分魔族同士の混血なんだろうけど。
ま、だからこそ認知出来なかったのかもしれないね。不義の子の可能性も高いし」
そうのほほんと。
■サシャ > 「…まぁ、別に私自身も戦うなり逃げるなりは得意ですから、
最悪囮にでもなってくださればお金は払いますわよ」
高飛車な魔族はさらりと言う。
結局のところ、雇うか、つまり腕を信用するか決めるのは彼女なのだ。
「混血だから認知できないだなんて、心の狭い魔族もいたものですわね。
しかしまぁ、そう言われれば納得ですわ」
初見で彼女の種族が分からなかったのも、混血だからと言われればそうだと思えてくる。
もやもやが晴れて、サシャはすっきりとした。
そして、飲み終えたカフェオレのグラスを置くと、サシャは立ち上がる。
「さ、早速約束を果たしてもらいますわよ!
私は先に行ってバッグを選んでますわ!」
そう言って、サシャはるんるんと言わんばかりの足取りで、カフェを先に出ていった。
■クルサオル > 「あぁ、それなら安心だ。本気で何もできない人を守るのって大変だしね。
まぁ魔族である以上、そういうタイプじゃないとは思ってたけども」
少し安堵したようにそういう。
ま、まずは自分は彼女の面接に受かるかどうかが問題だが。
「そこはほら、人間も魔族も、名家であればあるほど血統は気を付けるでしょ?
だから多分、そういうのも僕の場合は関係してるんじゃないかなぁって。
結局のところよくわからないけどね」
そう言うと、立ち上がったサシャを見上げて。
「うぅ、わかったよ。じゃあ会計済ませてくるね」
結局バッグもここの飲み物代も奢ることになってしまった。
しばらくは馬小屋で生活するようかなぁ、と自身の懐事情を見ながらトホホと肩を落とした。
そのまま律儀に彼女を追うように、カフェから出ていくのであった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からクルサオルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からサシャさんが去りました。