2021/05/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にフェリーチェ・メランドリさんが現れました。
フェリーチェ・メランドリ > その富裕地区でも端にあるナイトクラブは、安酒を提供する酒場とも貴族御用達の高級バーとも差別化を図るため、いくつかの趣向を凝らしていた。
一点物の高級ワインも少し奮発すれば手が届くミードも取り揃え、半地下の防音が効いた空間に弦楽器のムーディな音楽が場を作り、そこにグラスのぶつかり合う音とヒールが掻き鳴らす音が時折交じる。
酒や料理を運ぶウェイトレスの半数近くが本職ではなく、王都で一発当ててやろうという所謂お上りさんで構成され、よく入れ替わるので新鮮さを損なうことなく常に新しい風を入れている。
チップ不要の代わりに自由に売り込みが出来るらしく、例えば奥の一番暗い場所だと"音楽に負けない声"を漏らす娼婦が奮闘中である。

そんな店舗が、今日の少女の仕事場だった。
紺色のネグリジェみたいな透けたドレスに、金鎖や銀鎖を垂らして数多くの宝石で飾った高級娼婦まがいの格好は、店側というかその更に上の出資者である貴族の指定。
販路を提供してくれるという話だったのに、騙されたのやら、それともやる気を試されているのか。
店の性質上、あまり暗い奥の方へ行くとお触りがトンデモなく過激化するし、明るい方へ行くと普段なら絶対着ないような下着へ注がれる視線がキツく、仕方なく中間付近の薄暗い場所でオーダーをとっているところだ。

「おまたせしました、こちらオリジナルブレンドの3色カクテルです」

丁寧なカーテシと共に両手の腕輪をアピールしながら、高そうなグラスをテーブルに置く。

フェリーチェ・メランドリ > 「うっ……」

ホール入りしたばかりなのに、遅い時間のせいか眠気がきてしまった。

女性のお客様には似合いの宝飾品を、男性のお客様には奥方へのプレゼントを勧めてみるが実りは多くない。
今日のところは大きな成果無しとして帰路につくこととした。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からフェリーチェ・メランドリさんが去りました。