2021/04/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 妖精カフェ」に骨狂いさんが現れました。
■骨狂い > 昼過ぎの富裕地区のカフェ
王都という街並みの色合いから、人間嫌いというものが増えそうな流れは仕方がないといえる
此処には、昔は腕を鳴らした術師が建てたカフェがある
店内に入ると小さく鳴るドアベル
人間が一切いない従業員
契約という二文字で繋がった信頼から、店内で清掃や家事 注文によるホール担当を行う人外がいる
不安要素がありそうで、逆にぼったくり酒場などに比べれば、随分とクリーンといえる店内
旅行鞄状の、革鞄を携えたまだ若い身なりの魔女は店内に入ると一息ついた
接客などの対応はきちんと言葉が通じ合う人外
席へと案内されれば、椅子を後ろへ引いてくれもする
窓際の席へ腰を下ろせば、渡されるメニュー
蒼い、ハイライトの無い瞳が一通り眺めれば。
「ハーブティに、麦と葉野菜のキッシュをお願い。」
メニューを返しながら、時刻を見れば昼を過ぎたころ
とある裕福な老人 骨折治療後に、やや傾いてつながってしまったそれの治療をした帰り道
懐に余裕もあり、遅い昼餉にしようと訪れた人外のカフェは、人はまばら
過ごしやすい空間の中で、時間つぶしに持ち込んでいた文庫本サイズを開き、栞を挟んだ頁から読み始める。
■骨狂い > 先に運ばれてきたブレンドのハーブティ
いくつかの種類を混ぜて飲むそれは、季節ごとに味を変える
中には指定できるものの、敢えて指定無しにすると、キッシュと合うように向こうも調合を変えるだろう
妖精とはいたずら好きなというけれど、善意に傾いた方向性は逆に、悪戯とは真逆に気持ちが入る
人を選ぶような味ではないそれ ハーブティ片手に、文字の列を読み進めると傍に訪れる白い貴婦人
半透明な、食器の片づけや暖炉の火を入れるなどの手伝いをしたという実績ある妖精が、焼き立てのキッシュの入ったタルト皿を運ぶ
目の前にスプーンとともに置かれたのなら、チップを一枚。
給仕を行った白い貴婦人が下がった後で、栞を再び挟んだ文庫サイズの本を閉じ。
目の前の遅い昼餉にとりかかるとした魔女
スプーンでタルト容器の中の麦と葉野菜 ソースで包んだ上に茸の薄切りが散るそれを掬う
吹き冷ましながら、ドリアにも近いかもしれない、敢えて混ぜられた状態で焼き上げられたそれ
静かに咀嚼しながら、満足げに食べ終えるころにはきれいにされた空の容器
食後にもう一度注がれたハーブティのカップを手に、片付け終えられたテーブルの上
余韻に浸るように茶と読書を堪能したのなら、次の予定を書き込まれた手帳で確認する
遺跡で触媒になり得そうな、名のある骨を見つけたものの真偽を見極めるための、いわば鑑定
呼び名の骨狂いという、かかわりとは無縁になりそうな名前とは程遠い、役割がそれなりに与えられるものだと
手帳を閉じ、席を立つ。
ケープマントを身に羽織、首元をクロスタイの留め具が絞めるのなら鞄を手に、会計に向かうだろうか。
「ごちそうさま オーナーによろしくお伝えして。」
人外が商う奇異なカフェは、これでいて貴重な場所だといえる
ドアベルが鳴れば、そこはまた人外が掃除をし、店を整える場所へと戻っていき。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 妖精カフェ」から骨狂いさんが去りました。