2021/03/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 オークション会場 バルコニー」にレディ・レッドさんが現れました。
レディ・レッド > その日のオークションの場である公共の大屋敷
金か身分を持つ者が集う其処 もうすぐ花も咲き連れる季節だというのに冷える空気が濃くなっていた
それは昼間の宙を雪雲で覆いつくし、日向を遮り、白い粉粒の雪が深々と降り続ける

バルコニーは白い絨毯が敷かれる中で、会場の交わりに飽いたのか、供回りを一人連れているだけの貴族夫人
その入り口で一人、控える者を置いては手に携えていた黒塗りの傘が頭上を覆い、肩に預けられる。
バルコニーの中心に立っては、冷たい体であっても、漏れる吐息は薄く、白く凍り付き辺りに漂っていく。

「これなら、まだ昼間も悪くない。」

雪が降る空を眺め、月を浴びるときに比べればなんてことはない雪の宙
帯に差し込んでいた八角煙管を一つ 刻まれた葉を手慣れたように詰めるのなら、擦り灯した燐寸の火が無造作に表面を焙る

「―――ふぅぅぅぅ……。」

羅宇を携え、独特な紫煙を燻らせていく唇
愛煙家にしかわからないだろう こんな雪降る日 凍てついた空気の中で吸う煙はいつもより美味い
白く凍る吐息と紫煙が混じり、いつもより多くの白が辺りを霞ませる それを楽しく、美味く感じるのだ。

レディ・レッド > なんら飾り気もない
端の造りが八角の、飴色の磨かれた木筒が伸びる羅宇煙管
三口も吸えば終わりを迎える、刹那的な煙

手間もかかり、しかし何度と求めてようやく手放す気になれる
紙巻や葉巻では味わえない愛着と煙

唇から零れだすように煙が出ていくのなら、掌に軽く叩きつけるように羅宇が跳ねる。
まだ赤い粒が色づく残滓が火口から出ていき、雪の絨毯の上をジュッと小さな音
管に残る煙と灰を、フッと一吹きして掃う手慣れた素振り

帯に再び修めなおせば、踵を返し、入り口傍の屋根側へ。
軽々と、その鉄傘を閉じれば供回りは、やっと気が済んだ主の様子に肩の力を貫く。

会場内にて、また知れ増える顔と会話か、酒精を片手に興味の湧く品でも定めるのか
後に夫と酒を共にする際の、語りネタ程度のものは、提供されたそうだ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 オークション会場 バルコニー」からレディ・レッドさんが去りました。