2021/02/22 のログ
ご案内:「富裕地区/繁華街」にブレアさんが現れました。
■ブレア > 道は神経質な程に舗装されており、堅く平らだ。
まるで塵ひとつ落ちていないかのような、錯覚を覚える。
実際にそうかも知れない。貴族の歩く道は、先に誰かが歩いているし、来ているものだから。
彼らの通り道に赤いカーペットを敷いて回るような役回りの人間は、きっといる。
自分も祖国では、そういう対応をされる存在だった。
「………」
ショー・ウィンドウ越しに際立つ黒レースが豪奢なドレスを興味深そうに眺めている振りをしながら、
女はもの思いに耽っていた。このあたりを自分が歩くのは、別に不自然ではない。
富裕地区の街はずれには、結界で認識できないようになっている自分の棲家がある。
古城、と表現しても差し支えない建造物がそれである。勝手に同郷の二人と一緒に棲んでいる。
■ブレア > 基本、お互いに干渉しない。別行動、単独行動がおのおの通常であった。
ゆえに、女も今ひとり、ここにいるわけで。
時折、女の風貌に物問いたげそうにしている者もあったが。
今のところ、誰も声をかけてこない。直観が働いて、正しく危機管理が発揮されているのかは不明だが。
というか、恋人や家族、従者と思しき者たちと連れ立って歩いている者も少なくない。
だから、わざわざ女に声をかけて立ち止まることもないのだろう。
見知らぬ誰かより、見知っている人間のほうが大事だろうし。
■ブレア > ……ところで。
「誰に見せるでもねぇけど、ドレスの1着くらい買うか?
……以前は白を基調としたものばかりだったから。逆に――、
いや」
ショー・ウィンドウ越しに考えあぐねていたかと思えば。
急に振り返り。そのへんの通行人に声をかける。
「――俺に似合うデザインやカラーって、なんだと思うよ?」
■ブレア > 話しかけた相手が知り合いだろうと初対面だろうと、女に似合うそれはわからない。
もしくは、判断が難しいのではないだろうか。人は、その人に似合うものよりも、
その人に着て欲しいものをピック・アップする傾向があると思う。
自分で振っておいてなんだが。結局のところ、相手の好みを遠回しに聞いた感じになったような。
――しかし、相手は女の呼びかけに立ち止まってくれた。
相手の答えを待とうか。