2021/02/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にノアさんが現れました。
ノア > 王都の富裕地区 ─── 硬質な足音を立て騒がしく衛兵らが駆け回ったのは、まだ陽も昇らぬ時間帯だった。なんでも、どこぞのお屋敷から貴重な絵画が盗まれていたのだという。

「 ……………………… 」

そんな富裕地区の路地を、暗闇に溶け込むような長い黒布を靡かせ歩く。全身をすっぽりと黒布に覆い隠した女は、目深に被ったフードの奥から 琥珀色の瞳で辺りを警戒しながら進む。

ノア > 暫く歩き続ければ、やがて足音も遠くなり。慎重に、路地を縫う様に進んでいた女の歩みも、徐々に軽やかとなって ──

こうして、とある絵画と1人の女は 暗闇に消えていった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からノアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にカーレルさんが現れました。
カーレル > 依頼人は自分よりも数倍は体積があろうかというご婦人
身動きが取れぬほどの肥満体型で、本当に人間だろうか?と対面した時には疑問に思った
絶えず、侍女が付いておりちょっとした事にもいちいち世話を焼いている所を見るに、
自分ではもう寝起きは出来ない様子であったが、取り立てて死にそうには見えないし、
命の危険があるというわけでないのはその依頼内容からも明らかであった
依頼というのはとある商店から、品物を彼女に直接、手渡すことであったが、
これの中身が限定品の甘味であると知ったのは、商店より商品を受け取った自分を、
依頼人の健康を気遣った家人たちが十重、二十重と取り囲むのを突破して、
彼女の屋敷の彼女の部屋で彼女に手渡した時であった
精巧に作られた菓子を形も崩すこと無く、彼女の前で箱より取り出したが、
次の瞬間には彼女の手に精巧であった菓子の成れ果てが握られ、開かれた口の底知れぬ闇の向こうへと放り込まれ、
聞くに耐えぬおぞましい咀嚼音を聞かされたのである

なにはともあれ、仕事を済ませて商品が主人の手元に届いてしまった事に対してか、
依頼を受けたときよりも幾らか不機嫌な侍女から報奨と、確かに届けた菓子は
依頼人の腹に…否、依頼人の希望通りの場所に収まったのだとでも言いたげなゲップの音を耳にしてから、
無事、依頼人の屋敷を後にするのであった

外はすっかり陽もくれて冷たい空気が肌をさす
仕事の達成感はあったが、なんとも言えないおぞましいものを見てしまったような一寸した後味の悪さを感じつつ、
内心、自分を取り囲んだ家人たちに詫びを入れながら煙草を咥えて火を付ける
す、と吸い込んだ煙をゆっくりと吐き出し、気分を改めてから、人の気配の薄い富裕地区を歩いていく
数歩も行かないうちに、仕事の達成感が勝り気分は晴れたが、それでも依頼人の異形じみた風体は
しばらく忘れられそうにはなかった

カーレル > 煙草が短くなると立ち止まり携帯灰皿に吸い殻を落とす
不意に吹き抜けた冷たい風にぶるっと身体を震わせれば、肩を縮こまらせて
肌寒さからか、寄り道せず真っ直ぐに自宅へ戻るのだった―――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からカーレルさんが去りました。