2021/02/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にファリエルさんが現れました。
ファリエル > 富裕地区にあるとある貴族の邸宅
その邸宅では今宵、宴が催されていた。
趣向を凝らした催しの裏では、当然の如く黒い噂も公然のものだけれど、急遽手伝いに駆り出された少女には知る由もなく。
普段から主人の付き合いがある家柄ということで、何事も勉強とばかりに慣れない場所に放り込まれてしまった。

初めのうちはあたふたとしていたものの、やるべきことは変わらない。
とりあえずは出された指示をひとつひとつしっかりとこなすことに注力する。

少し温かくなってきたこともあり、早春を彩る花々が飾り付けられたホール。
楽隊が奏でる軽やかな曲の合間に、さりげなく会場内を回って料理を補充して、使用済みのお皿を回収していく。
慌ただしいの最初のうちだけ。参加者の多くは、ダンスに興じている。
ある者は社交辞令として。またある者は今宵のパートナーを見定めるため。
そうでない者たちはと言えば、親し気な笑みを浮かべつつの腹の探り合い。

「え? はい、赤の25年物ですね。畏まりました。」

そんな参加者のひとりに呼び止められる。
いわく希少なワインをご所望らしい。在庫があるのかどうか確認はしていないのだけれど、これだけの宴を開ける家格ならば、同じような銘柄は置いてあるだろう。
しずしずと頭を下げると、ワインセラーのほうへと足早に向かおうとして。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からファリエルさんが去りました。