2021/02/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にロブームさんが現れました。
■ロブーム > 暗いホールの中に、幾つかの光が灯っている。
それは、パーティの参加者が持つカンテラや、壁や机に置かれているランプの灯だ。
シャンデリアを敢えて使わず、薄闇の中で歓談をするという趣向。
一見すると不便なようだが、困った時はメイドを呼べば、いつの間にか側に来て、その手を引いてくれる。
闇の中で出会う者。自ら照らさねば顔も見えぬ闇の中での出会いを楽しむ――というのが、このパーティの表の趣向である。
そして、裏の趣向は、この暗闇の奥の扉の先にある。
「……」
その扉の前には、燕尾服を着た男が立っている。
仕立ての良い服ではあるが、しかしその著しく太った腹に、服は内から風船を入れられたかのように膨らんでいる。
右手でステッキをついているが、闇の中にある悪趣味な金色のステッキを見せびらかしているようにも見える。
この男は、このパーティの主催である。そして、この扉の先は――違法売買の為の商談部屋。
それも、魔族に囚われた人間の王族や、冒涜的なマジックアイテムがふんだんに売られている。
このパーティは、表向きはパーティ。しかして裏向きは――この暗闇に乗じた、違法取引の商談会なのだ。
■ロブーム > 時折、扉の中に入っていく者がいる。
老若男女その顔ぶれは様々だ。
彼らの中には、風評やその他の政治的理由でバフートやダイラスといった、裏社会に接触するに都合のいい街にアクセスできない者も多い。
そんな彼らにとっては、この催しは一種の"お取り寄せ"でもある。
「しかし……」
男は呟く。
これだけの大仕掛け。例え男が噂を流さずとも、何処かで情報が漏れそうなものだが、今の所冒険者や軍が探りを入れている様子はない。
罠か、それとも本当に気づいていないのか――そこまでは解らないが。
「(まあ、何にせよ、それが男であれば商品の一部として売ればいいし――女なら、或いは)」
私が楽しめるかもしれぬ、と口の端を歪ませる。
その眼には、己が破滅するかもれぬという不安は一切なかった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からロブームさんが去りました。